歯ぎしりの癖があってもインプラントは可能?どんな影響があるの?
歯ぎしりの癖があっても、適切な対策を行えばインプラント治療は可能です。
ただし、歯ぎしりを放置したままでは、インプラントや周囲の骨に過度な負担がかかり、破損や脱落などのリスクが高まります。治療前に歯ぎしりへの対応を含めた治療計画を立てることが大切です。
この記事はこんな方に向いています
- 歯ぎしりの癖があるが、インプラント治療を検討している方
- インプラントに悪影響があるのか不安な方
- 長持ちさせるためのケア方法を知りたい方
この記事を読むとわかること
- 歯ぎしりがインプラントに与える具体的な影響
- 治療を安全に行うための注意点
- 歯ぎしり対策とインプラントを長く維持するコツ
目次
歯ぎしりがあってもインプラント治療は受けられますか?
歯ぎしりの癖がある方でも、医師がそのリスクを考慮した治療計画を立てることで、インプラント治療は十分可能です。ただし、歯ぎしりによる咬合力の強さが大きい場合は、被せ物や人工歯根に負担がかかるため、事前に噛み合わせ調整やマウスピースの使用などの対策を行うことが必要です。
歯ぎしりがあっても、正しい対策をすればインプラント治療は可能です。
歯ぎしり(ブラキシズム)は、睡眠中などに無意識で歯を強く噛みしめる習慣で、歯や顎に大きな力をかけます。そのため、「歯ぎしりがあるとインプラントはできないのでは?」と不安に感じる方も多いでしょう。
しかし、歯ぎしりがあっても治療は可能です。重要なのは、以下のようにリスクを把握し、対策を行うことです。
- 噛み合わせのチェック → 歯科医師が上下の歯の接触状態を確認し、力が集中する箇所を特定。
- ナイトガード(マウスピース)の使用 → 睡眠時に装着することで、インプラントや歯への負担を軽減。
- 被せ物の素材選択 → 衝撃を吸収するタイプのセラミックやレジンを選ぶ場合もある。
歯ぎしりを無視して治療を行うと、インプラントの寿命が短くなる可能性があります。治療前の診査・設計段階でしっかりと歯ぎしり対策を組み込むことが、安全で長持ちするインプラント治療の第一歩です。
歯ぎしりとは?その原因と影響
まず、歯ぎしりとはどのようなものかを理解しておきましょう。
歯ぎしりの主な種類
- グラインディング(Grinding) → 上下の歯をギリギリとこすり合わせるタイプ。
- クレンチング(Clenching) → 強く噛みしめるタイプ。
- タッピング(Tapping) → 歯をカチカチと鳴らすタイプ。
歯ぎしりの症状
- 朝起きたときの顎の痛みやこわばり → 夜間の歯ぎしりが原因で顎の筋肉が疲労し、痛みが生じることがあります。
- 歯の摩耗 → 歯ぎしりが続くことで歯の表面がすり減り、知覚過敏や噛み合わせの不調につながることがあります。
- 頭痛や首の痛み → 歯ぎしりによる筋肉の緊張が原因で、頭痛や肩こりを引き起こすこともあります。
- 歯のひび割れや破折 → 強い歯ぎしりが続くと、歯に細かいひびが入り、最悪の場合は歯が折れてしまうこともあります。
- 耳鳴りや耳の違和感 → 顎関節への負担が影響し、耳に圧迫感や違和感を感じることがあります。
歯ぎしりは無意識に行われるため、自覚しにくいことが多いですが、これらの症状が現れた場合は歯科医に相談することが大切です。
歯ぎしりの原因
- ストレスや緊張 → 精神的な負担が原因で無意識に歯を食いしばることがあります。
- 噛み合わせのズレ → 歯の位置や顎のバランスが崩れていると、歯ぎしりが起こりやすくなります。
- 生活習慣 → アルコールやカフェインの摂取が多いと、歯ぎしりの頻度が増すことがあります。
歯ぎしりが歯や顎に与える影響
- 歯がすり減る → 長期間の歯ぎしりにより、歯の表面が摩耗し、知覚過敏を引き起こすことも。
- 顎関節症のリスク → 過度な負担が顎関節にかかり、痛みや開口障害を引き起こす可能性があります。
- 詰め物・被せ物の破損 → 歯ぎしりの圧力で詰め物や被せ物が壊れることも。
- 歯のひび割れや破折 → 強い歯ぎしりが続くと、歯に細かいひびが入り、最悪の場合は歯が折れてしまうこともあります。
- 歯肉の退縮 → 強い力が歯根に伝わることで、歯茎が下がり、歯の根元が露出する可能性があります。
- インプラントのリスク増大 → 天然歯よりも噛む力の負担を受けやすいため、インプラントが緩んだり、骨と結合しにくくなったりする可能性があります。
歯ぎしりが習慣化すると、歯や顎へのダメージが蓄積され、結果的に歯の寿命を縮めてしまうこともあります。特に、インプラントを考えている場合は、歯ぎしりの影響をしっかり把握し、対策を講じることが大切です。
関連ページ:歯ぎしりの歯への影響
歯ぎしりがインプラントに与える影響とは?
歯ぎしりは、インプラントの人工歯根や被せ物に過剰な力をかけることで、ゆるみ・破損・骨吸収を引き起こすリスクがあります。天然歯のように歯根膜で衝撃を吸収できないため、ダメージがダイレクトに伝わりやすい点が問題です。
歯ぎしりはインプラントに過大な負担をかけ、破損や骨の吸収を招くことがあります。
歯ぎしりによる影響は以下のようなものがあります。
- インプラント体(人工歯根)の緩みや脱落
→ 過剰な力が骨とインプラントの結合部分にかかり、固定が弱まることがあります。 - 被せ物(上部構造)の破損
→ 咬合力が集中し、セラミックの被せ物が欠けたり割れたりするリスクが高まります。 - 周囲の骨の吸収
→ 強い咬合圧が持続すると、顎の骨が徐々に減っていく「骨吸収」を起こすことがあります。
これらの影響は、歯ぎしりの強さ・頻度・治療後のケア状況によって変わります。天然歯と違い、インプラントには衝撃を緩和する歯根膜がないため、力のコントロールが特に重要です。しかし、適切な対策を取れば、歯ぎしりがあってもインプラント治療は十分可能です。
関連ページ:インプラント治療が適さないケース
歯ぎしりがある人に必要な治療前のチェックとは?
歯ぎしりのある方は、治療前に噛み合わせ検査や顎関節の状態チェックを受け、力の方向や癖を把握することが不可欠です。これにより、インプラントの埋入角度や本数、被せ物の設計を適切に調整できます。
治療前に噛み合わせや顎の状態を精密に検査することが、歯ぎしり対策の第一歩です。
歯ぎしりの癖がある場合、治療前の診断の精度が成功の鍵になります。チェックすべき主な項目は次の通りです。
- 咬合診査(噛み合わせ検査)
→ どの歯に力が集中しているか、歯ぎしり時の摩耗パターンを確認します。 - 顎関節の可動性の確認
→ 顎関節症などが併発していないかを診査し、関節の動きを安定させます。 - 口腔内スキャン・咬合シミュレーション
→ デジタル技術で噛み合わせの動きを再現し、インプラントを入れる位置や角度を検討します。 - 骨量・骨質の評価
→ CT撮影で骨の硬さや厚みを確認し、インプラントがしっかり固定される部位を選定します。
こうした準備を行うことで、歯ぎしりの力を分散させ、インプラントの長期安定性を高めることができます。
歯ぎしりがある場合のインプラント治療の対策
歯ぎしりによるインプラントへの影響を防ぐには、マウスピースの使用やストレスケア、生活習慣の見直しが効果的です。歯科医院での定期的な噛み合わせ調整も欠かせません。
マウスピースや生活習慣の改善で歯ぎしり対策を行うことが重要です。
1. ナイトガードの使用
ナイトガード(マウスピース)を装着することで、インプラントや天然歯を保護できます。
寝ている間の歯ぎしりによるダメージを軽減できます。
オーダーメイドのものを使用することで、よりフィット感が高まり、効果的です。
ナイトガードの効果
ナイトガード(マウスピース)は、歯ぎしりによるダメージを軽減するために有効な手段です。
- 歯やインプラントの保護 → ナイトガードを装着することで、強い圧力から歯やインプラントを守ることができます。
- 顎関節への負担軽減 → クッションの役割を果たし、顎の筋肉や関節にかかる負担を減らします。
- 歯の摩耗防止 → 歯同士が直接こすれることを防ぎ、歯の摩耗や破損を防ぐ効果があります。
- 歯ぎしりの自覚を促す → ナイトガードを使用することで、自分の歯ぎしりの癖を自覚し、治療のきっかけにすることができます。
- ストレス軽減効果 → 顎の緊張を和らげることで、歯ぎしりを無意識に抑える効果も期待できます。
ナイトガードの使用は、歯ぎしりが原因でインプラントの安定性が損なわれるリスクを減らすために非常に重要です。歯科医と相談しながら、自分に合ったナイトガードを選びましょう。
また、ナイトガードは使用しているうちに特に強くこすれる部分が磨り減り、穴があく場合があります。穴があいてしまった場合は、早めに歯科医院で作り直してもらいましょう。
2. インプラントの素材選び
ジルコニア製の被せ物を選ぶことで、摩耗しにくく、耐久性が向上します。
セラミックやメタルフリーの材料も選択肢として検討可能です。
3. 咬合調整を行う
噛み合わせを慎重に調整することで、インプラントに過度な力がかからないようにできます。
専門の歯科医による咬合チェックが重要です。
関連ページ:噛み合わせは大切?
4. ストレス管理
ストレスが原因の歯ぎしりには、リラックス方法を取り入れることが有効です。
ヨガや深呼吸、マッサージなども歯ぎしりの軽減に役立ちます。
このような対策を講じることで、インプラントの長期安定性を高めることができます。
歯ぎしりがあってもインプラントを成功させるために
「歯ぎしりがあるからインプラントは無理」と思わずに、まずは専門の歯科医に相談することが大切です。
- ナイトガードの使用でインプラントを保護する
- 耐久性のある被せ物を選ぶ
- 咬合調整で力のバランスを整える
- ストレス管理で歯ぎしりを軽減する
これらの対策をしっかりと行うことで、歯ぎしりのある患者さんでもインプラント治療を成功させることが可能です。
まとめ
歯ぎしりがあっても、正しい対策でインプラントは長持ちする
歯ぎしりがあるからといって、インプラント治療を諦める必要はありません。ただし、歯ぎしりを軽視すると、破損・骨吸収・脱落などのリスクが高まります。
安心して治療を受けるためのポイント
- 事前に噛み合わせ・骨量をしっかり診査する
- ナイトガードを活用して力を分散する
- 定期健診を続けて咬合状態を維持する
歯ぎしりとインプラントは一見相性が悪いように思われますが、歯科医師と協力し、正しく管理すれば十分に両立可能です。長期的な視点で自分の口腔習慣を見直し、安心して噛める未来を手に入れましょう。
関連ページ:詰め物や被せ物がとれやすくなる原因



