インプラント

歯ぎしりの癖があってもインプラントは可能?

歯ぎしりの癖があってもインプラントは可能?

「寝ている間にギリギリ…と音がしていると言われたことがある」「朝起きると顎が疲れている気がする」そんな経験、ありませんか?

実は、こうした“無意識の習慣”である歯ぎしりに悩まれている患者さんは少なくありません。歯がすり減ったり、顎が痛くなったりするだけでなく、せっかく入れた被せ物が割れてしまう…なんてことも。

そして、そんな歯ぎしりの癖がある状態で、「インプラント治療って本当にできるの?」と不安になっておられる方も多いのではないでしょうか?

ご安心下さいね。歯ぎしりがあるからといって、必ずしもインプラントが不可能というわけではありません。大切なのは、リスクを正しく知り、きちんと対策をとることです。

本記事では、歯ぎしりとインプラントの関係性、どんな影響があるのか、そしてどのような対策をすれば安全に治療ができるのかを分かりやすくご紹介していきます。

歯ぎしりとは?その原因と影響

歯ぎしり

まず、歯ぎしりとはどのようなものかを理解しておきましょう。

歯ぎしりの主な種類

歯ぎしりの種類

グラインディング(Grinding) → 上下の歯をギリギリとこすり合わせるタイプ。
クレンチング(Clenching) → 強く噛みしめるタイプ。
タッピング(Tapping) → 歯をカチカチと鳴らすタイプ。

歯ぎしりの症状

朝起きたときの顎の痛みやこわばり → 夜間の歯ぎしりが原因で顎の筋肉が疲労し、痛みが生じることがあります。

歯の摩耗 → 歯ぎしりが続くことで歯の表面がすり減り、知覚過敏や噛み合わせの不調につながることがあります。

頭痛や首の痛み → 歯ぎしりによる筋肉の緊張が原因で、頭痛や肩こりを引き起こすこともあります。

歯のひび割れや破折 → 強い歯ぎしりが続くと、歯に細かいひびが入り、最悪の場合は歯が折れてしまうこともあります。

耳鳴りや耳の違和感 → 顎関節への負担が影響し、耳に圧迫感や違和感を感じることがあります。

歯ぎしりは無意識に行われるため、自覚しにくいことが多いですが、これらの症状が現れた場合は歯科医に相談することが大切です。

歯ぎしりの原因

ストレスや緊張 → 精神的な負担が原因で無意識に歯を食いしばることがあります。
噛み合わせのズレ → 歯の位置や顎のバランスが崩れていると、歯ぎしりが起こりやすくなります。
生活習慣 → アルコールやカフェインの摂取が多いと、歯ぎしりの頻度が増すことがあります。

歯ぎしりが歯や顎に与える影響

歯がすり減る → 長期間の歯ぎしりにより、歯の表面が摩耗し、知覚過敏を引き起こすことも。
顎関節症のリスク → 過度な負担が顎関節にかかり、痛みや開口障害を引き起こす可能性があります。
詰め物・被せ物の破損 → 歯ぎしりの圧力で詰め物や被せ物が壊れることも。
歯のひび割れや破折 → 強い歯ぎしりが続くと、歯に細かいひびが入り、最悪の場合は歯が折れてしまうこともあります。
歯肉の退縮 → 強い力が歯根に伝わることで、歯茎が下がり、歯の根元が露出する可能性があります。
インプラントのリスク増大 → 天然歯よりも噛む力の負担を受けやすいため、インプラントが緩んだり、骨と結合しにくくなったりする可能性があります。

歯ぎしりが習慣化すると、歯や顎へのダメージが蓄積され、結果的に歯の寿命を縮めてしまうこともあります。特に、インプラントを考えている場合は、歯ぎしりの影響をしっかり把握し、対策を講じることが大切です。

歯ぎしりがインプラントに及ぼす影響

「歯ぎしりがあると、インプラントは難しいの?」と思われるかもしれません。

確かに、歯ぎしりによって強い力がインプラントにかかると、影響がある可能性はあります。

インプラント体の揺れや緩み → 過度な咬合圧がかかることで、インプラントが骨としっかり結合しにくくなることがあります。
上部構造の破損 → 被せ物が欠けたり、壊れたりするリスクが高くなります。
骨吸収の進行 → 強い圧力がかかることで、インプラント周囲の骨が減少し、長期的に安定しにくくなることも。

しかし、適切な対策を取れば、歯ぎしりがあってもインプラント治療は十分可能です。

歯ぎしりがある場合のインプラント治療の対策

では、歯ぎしりのある患者さんがインプラントを成功させるためには、どのような対策があるのでしょうか?

1. ナイトガードの使用

ナイトガード

ナイトガード(マウスピース)を装着することで、インプラントや天然歯を保護できます。
寝ている間の歯ぎしりによるダメージを軽減できます。
オーダーメイドのものを使用することで、よりフィット感が高まり、効果的です。

ナイトガードの効果

ナイトガード(マウスピース)は、歯ぎしりによるダメージを軽減するために有効な手段です。

  1. 歯やインプラントの保護 → ナイトガードを装着することで、強い圧力から歯やインプラントを守ることができます。
  2. 顎関節への負担軽減 → クッションの役割を果たし、顎の筋肉や関節にかかる負担を減らします。
  3. 歯の摩耗防止 → 歯同士が直接こすれることを防ぎ、歯の摩耗や破損を防ぐ効果があります。
  4. 歯ぎしりの自覚を促す → ナイトガードを使用することで、自分の歯ぎしりの癖を自覚し、治療のきっかけにすることができます。
  5. ストレス軽減効果 → 顎の緊張を和らげることで、歯ぎしりを無意識に抑える効果も期待できます。

ナイトガードの使用は、歯ぎしりが原因でインプラントの安定性が損なわれるリスクを減らすために非常に重要です。歯科医と相談しながら、自分に合ったナイトガードを選びましょう。

また、ナイトガードは使用しているうちに特に強くこすれる部分が磨り減り、穴があく場合があります。穴があいてしまった場合は、早めに歯科医院で作り直してもらいましょう。

2. インプラントの素材選び

ジルコニア製の被せ物を選ぶことで、摩耗しにくく、耐久性が向上します。
セラミックやメタルフリーの材料も選択肢として検討可能です。

3. 咬合調整を行う

噛み合わせを慎重に調整することで、インプラントに過度な力がかからないようにできます。
専門の歯科医による咬合チェックが重要です。

4. ストレス管理

ストレス管理

ストレスが原因の歯ぎしりには、リラックス方法を取り入れることが有効です。
ヨガや深呼吸、マッサージなども歯ぎしりの軽減に役立ちます。

このような対策を講じることで、インプラントの長期安定性を高めることができます。

歯ぎしりがあってもインプラントを成功させるために

「歯ぎしりがあるからインプラントは無理」と思わずに、まずは専門の歯科医に相談することが大切です。

ナイトガードの使用でインプラントを保護する
耐久性のある被せ物を選ぶ
咬合調整で力のバランスを整える
ストレス管理で歯ぎしりを軽減する

これらの対策をしっかりと行うことで、歯ぎしりのある患者さんでもインプラント治療を成功させることが可能です。

まとめ

歯ぎしりがある場合でも、インプラント治療は適切な対策を講じれば十分可能です。

歯ぎしりはインプラントに影響を与えるが、適切な対策でリスクを軽減できる。
ナイトガードの使用や咬合調整が重要。
ストレス管理も歯ぎしり対策のひとつ。

インプラント治療を検討されている患者さんは、一度歯科医に相談し、ご自身に合った治療方法を見つけてくださいね。

この記事の監修者
医療法人真摯会 梅田クローバー歯科クリニック
院長 久野 喬

2014年 松本歯科大学卒業卒業。日本障害者歯科学会 認定医。ACLS講習終了。日本口腔インプラント学会。日本小児歯科学会。日本接触嚥下リハビリテーション学会。

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梅田クローバー歯科クリニック

大阪矯正歯科グループ大阪インプラント総合クリニック