総入れ歯で噛みにくい、入れ歯に違和感がある等の問題を抱えている方の中には、インプラント治療を考えている方がおられるのではないでしょうか。総入れ歯の方の場合のインプラント治療についてご説明します。
目次
総入れ歯の方のインプラント
総入れ歯の方がインプラントにされる場合、片顎にインプラントを6~10本埋め込む手術が一般的でしたが、本数が多いと手術時間が長くなり、術後の腫れや痛みも大きく、経済的負担にもなりました。
最近では、上顎、下顎とも4本(または6本)のインプラントをバランス良く埋め込むオールオン4(または6)という方法が注目されています。総入れ歯の方向きの、オールオン4というインプラント治療法についてご説明します。
オールオン4が向いているのはこんな方です
「既に多くの歯を失っていて、残っている歯もグラグラしている」
「もうすぐ総入れ歯になりそう」
「総入れ歯を使っているけど使い心地が悪い」
「総入れ歯でうまく噛めない」
「総入れ歯が合わない」
などのお悩みのある方は、オールオン4を治療法の選択肢としてみてはいかがでしょうか?
オールオン4とは?
一般的なインプラント治療では顎の骨が薄い場合は、インプラントを埋入する前に増骨治療を行わなければなりませんでした。
しかしオールオン4は、骨の薄い部分を避けて4本(または6本)のインプラントを埋め込むことが出来ます。義歯をしっかりと支えるために、インプラントは垂直ではなく、角度をつけて斜めに埋め込まれます。
前歯部分に2本、奥歯には斜めにインプラント体を埋入し、固定式の連結型人工歯を装着します。人工歯はネジでしっかりと固定しますので、入れ歯のように外れる心配がなく、まるで自分の歯のようにしっかりと噛むことが出来るようになります。
どの位置に埋め込むかは、CTによる撮影を行い、顎の骨の量や携帯をコンピューターで解析した上で決められます。
オールオン4の場合、インプラント埋め込み直後に負荷をかけても骨との結合が促進されるという「即時荷重」という理論に基づき、手術当日に固定式の仮歯を入れます。
このため、その日のうちに軽い飲食ができるほか、不自由のない会話も可能になります。
オールオン4の手術の際には、静脈内鎮静という点滴麻酔を併用される患者さんが多く、うとうと眠っている間に手術が全て終了します。
オールオン4のメリット
オールオン4には以下のようなメリットがあります。
1. 1日で噛めるようになる
オールオンフォーはインプラントを埋入したその日のうちに仮歯をつけて食事することが出来ます。
2. 取り外す必要がない
人工歯は4本のインプラント体(人工歯根)にネジでしっかり固定します。総入れ歯のように外してお手入れする必要はありません。
3. 身体への負担が少ない
埋め込むインプラント体の本数(手術の本数)を減らすことで、治療による出血や腫れ、痛みを最小限に抑え、治療時間も大幅に短縮することが出来ます。
4. 増骨治療をしなくてよい
オールオン4では顎の骨が薄い部分を避けてインプラントを埋め込みます。そのため骨造成の手術を避けることが出来ます。
5. 費用が軽減できる
埋め込むインプラント体の本数が4本(もしくは6本)のため、従来よりも治療費の負担を軽減させます。
インプラントオーバーデンチャーとは?
インプラントオーバーデンチャーは、2~4本のインプラントで入れ歯を固定する治療法のことです。磁石で入れ歯を固定するタイプと、アタッチメントの部品を使ってインプラントと入れ歯と連結するタイプがあります。
総入れ歯はずれたり外れたりしますが、インプラントオーバーデンチャーはしっかりと入れ歯を固定しますので、総入れ歯のずれる、外れるといったお悩みを解決します。
インプラントオーバーデンチャーの入れ歯は、通常の入れ歯と同じく、外して洗ってメンテナンスをします。
また、上顎の総入れ歯は床とよばれるピンク色の樹脂で口蓋を大きく覆いますので、えづく、食べ物の味や温度がわかりにくい等のお悩みがありました。
インプラントオーバーデンチャーの上顎の入れ歯は、床の部分がなく、下顎の入れ歯と同じような形をしていますので、床が大きいお悩みも解決できます。
歯を失った数とインプラントの埋入本数の関係
失った歯の本数とインプラントの埋入本数についてご説明します。
- 歯を1本失った→必要なインプラントは1本
- 歯を2本失った→必要なインプラントは2本
- 歯を連続で3本失った→インプラントを2本埋入してブリッジを作る
- 全ての歯を失った→オールオン4(インプラント4~6本)またはインプラントオーバーデンチャー(インプラント2~4本)
このように、失った歯の本数と位置によって、必要なインプラントの埋入本数が変わりますので、インプラントの埋入本数を減らしたい方は担当医にご相談下さい。
総入れ歯の場合のインプラントに関するQ&A
オールオン4の治療対象は、多くの歯を失っており、残っている歯がグラグラしている方や総入れ歯を使用していて使い心地が悪い方、総入れ歯でうまく噛めない方、総入れ歯が合わない方などのお悩みを持つ方です。
オールオン4は、骨の薄い部分を避けて4本(または6本)のインプラントを斜めに埋め込む治療方法です。前歯部分に2本、奥歯には斜めにインプラント体を埋め込み、固定式の連結型人工歯を装着します。治療の際にはCT撮影やコンピューター解析によってインプラントの位置が決定されます。
オールオン4の手術では、静脈内鎮静という点滴麻酔を併用して行われることが多く、患者さんは手術中に眠っています。また、手術当日にはインプラント埋め込み後に即座に仮歯を装着する「即時荷重」の理論が適用されるため、軽い飲食や会話が可能です。
まとめ
総入れ歯の方向けのオールオン4、インプラントオーバーデンチャーという治療法についてご説明しました。どちらも自費診療となり、保険適用の総入れ歯と比べると治療費が高額になりますので、担当医とよく話し合って治療法を選択しましょう。