
矯正後の歯並びを保つために欠かせないリテーナー。もし失くしてしまった場合、対応を誤ると歯が動いてしまう可能性があります。しかし、正しい応急対応を知っていれば、慌てずに対処できます。この記事では、リテーナーを失くしたときにやるべきことと、やってはいけないことをわかりやすく解説します。
目次
リテーナーを失くしたら、すぐに歯科医院に連絡を!
リテーナーを失くしたときは、まず落ち着いて、できるだけ早く矯正治療を受けた歯科医院に連絡しましょう。歯並びの後戻りを防ぐための第一歩です。
リテーナーを失くしたら、すぐに歯科医院へ連絡を。
リテーナーは矯正治療後の歯並びを保つ大切な装置です。装着をやめてしまうと、歯は元の位置に戻ろうと動き出す「後戻り」のリスクがあります。そのため、失くした場合は自己判断せず、まずは通院している歯科医院に相談することが重要です。電話で状況を伝えるだけでも、応急対応のアドバイスをもらえる場合があります。
なぜ早めの対応が大切なのか?
リテーナーを外して放置する期間が長くなるほど、歯並びが後戻りするリスクが高まります。特に矯正終了直後は要注意です。
時間が経つほど歯が動いてしまう。
矯正治療後の歯はまだ不安定で、リテーナーによって位置を保っている状態です。そのため、以下のような理由で早めの対応が求められます。
- 後戻りが起こりやすい時期がある → 特に矯正治療終了後6ヶ月以内は歯が動きやすくなっています。
- わずかなズレでも装置が合わなくなる → 数日でも歯が動いてしまうと、再度リテーナーを作製する際に合わないことがあります。
- 再治療の必要が出ることも → 放置してズレが大きくなれば、再度の矯正治療が必要になる可能性もあります。
後戻りを最小限にするには、「早めの連絡・早めの再作製」が鉄則です。
応急対応としてやるべきこと5つ
歯科医院に行くまでにやるべき応急対応には、歯の状態の確認や生活習慣の見直しなどが含まれます。できることを冷静に行いましょう。
歯科医院に行くまでにできる5つの対応を実行。
以下のような応急処置を心がけましょう。
- すぐに歯科医院へ連絡する
→ まず最初に行うべき行動です。予約が必要になることもあるため早めの対応を。 - 最後に装着した時期をメモしておく
→ 装着していた最終日や使用時間を記録しておくと、再作製時に参考になります。 - 歯の動きをチェックする
→ 鏡で見て、明らかなズレや隙間がないか確認します。 - 歯磨きとケアを徹底する
→ 歯垢を溜めないよう、丁寧に歯磨きとフロスを行いましょう。 - 硬いものや前歯で噛む食事を避ける
→ 余計な力が加わると歯が動きやすくなるため、柔らかいもの中心の食事にしましょう。
これらの行動で歯の動きを少しでも抑え、再作製までのリスクを軽減できます。
やってはいけないNG行動4選
リテーナーを失くした際に自己判断でやってしまいがちな行動の中には、歯並びの悪化を招くものもあります。NG行動は避けましょう。
リテーナー紛失時にやってはいけない行動があります。
次のような行動は避けてください。
→ 何もせずに時間が経つと、後戻りのリスクが急激に上がります。
→ サイズが異なり、かえって歯並びを乱す危険があります。
→ 矯正目的ではないため、適切な保持力がありません。
→ 古いものなどを無理に入れると、歯に悪影響を与える場合があります。
一見「応急処置になりそう」と思う行動でも、誤った対処はさらなるトラブルにつながります。必ず歯科医院の指示を仰ぎましょう。
再作製までの過ごし方と注意点
リテーナーの再作製には時間がかかるため、その間の過ごし方が重要です。生活習慣の見直しや歯のケアを意識して過ごしましょう。
再作製までの期間も油断せずケアを続けましょう。
再作製までの間は、以下のことに注意してください。
- できるだけ歯に負担をかけない食事
→ 噛む力が歯の位置に影響を与えることも。柔らかい食事を選びましょう。 - 口元への衝撃を避ける
→ 転倒やスポーツ時の衝撃で歯がズレる可能性があるため、必要に応じてマウスガードを使用。 - 歯磨きを丁寧に
→ 歯垢や歯石の蓄積は、リテーナー装着再開後のトラブルにもつながります。 - 再診までのスケジュールを把握しておく
→ いつ受診できるか、再作製までどの程度時間がかかるかを確認しましょう。
再作製までの期間は、歯が動きやすい不安定な状態です。毎日のちょっとした意識が、歯並びの維持に大きく関わってきます。
後戻りを起こしやすい人の特徴とは?
矯正治療後に「後戻り」を起こしやすい人には共通の傾向があります。自分のリスクを知っておくことで、リテーナー紛失時の対応にも差が出ます。
後戻りしやすい人には特徴があります。
リテーナーを失くした際に特に注意が必要なのは、もともと後戻りのリスクが高いタイプの患者さんです。以下のような特徴がある方は、歯が元の位置に戻りやすいため、より早急な対応が求められます。
後戻りを起こしやすい人の特徴
- 矯正治療が終わって間もない人
→ 矯正終了後6ヶ月以内は、歯や歯茎、周囲の骨がまだ不安定な状態のため、歯が動きやすいです。 - 重度の不正咬合だった人
→ もともと歯並びや噛み合わせが大きくズレていた方は、歯が元の位置に戻ろうとする力が強く働きます。 - 舌や口唇の癖がある人
→ 舌で歯を押す癖(舌癖)や、口をぽかんと開ける癖がある方は、歯に継続的な力がかかりやすく、後戻りの原因になります。 - 歯ぎしり・食いしばりのある人
→ 無意識の圧力が歯の位置を変えてしまうため、リテーナーなしでは後戻りのリスクが高くなります。 - リテーナーの装着時間が短い人
→ 決められた装着時間を守れていないと、リテーナーの効果が不十分となり、歯が動いてしまいます。
このような傾向がある方は、リテーナーを失くした場合、たとえ数日でも油断できません。そのため、紛失に気づいたらすぐに歯科医院に相談し、再作製の準備を進めることが大切です。また、日常的な癖や生活習慣の見直しも、後戻りの予防につながります。
リテーナーを失くしたときの対処法に関連するQ&A
リテーナーを失くしてから1〜2日程度で急激に動くことは少ないですが、矯正終了直後や後戻りしやすい方は数日でもズレが生じる可能性があります。できるだけ早く歯科医院に連絡し、指示を仰ぎましょう。
市販のスポーツ用マウスピースやナイトガードはリテーナーの代わりにはなりません。適切な圧力がかからないだけでなく、逆に歯並びを乱す可能性もあるため使用は避けてください。
古いリテーナーを使う場合は、サイズや形状が合っているかどうかが重要です。無理に装着すると歯や歯茎にダメージを与えることもあるため、事前に歯科医院で確認してから使うようにしてください。
はい、以下のような対応ができます。
- 歯に負担のかからない柔らかい食事を心がける
- 歯磨きをていねいに行い、歯垢をためないようにする
- 舌で歯を押すなどの癖を意識的に避ける
- 最後にリテーナーを装着していた日をメモしておく
これらを実践することで、歯の動きを最小限に抑えることができます。
再作製には通常数日〜1週間程度かかります。歯型の採取や調整のための通院が必要になる場合もありますので、なるべく早めに受診の予約を取りましょう。
まとめ
慌てず冷静に、正しい対応を心がけましょう
リテーナーを失くしたときは、驚いたり焦ったりしてしまいがちですが、最も重要なのは「冷静に正しい対処をすること」です。
まず歯科医院に連絡し、必要に応じて応急対応を行いましょう。
そして、やってはいけないNG行動を避けることで、後戻りのリスクを抑えることができます。再作製までの期間も、丁寧な歯磨きや歯への負担軽減を意識して過ごすことで、歯並びをしっかり守ることができます。