矯正歯科

矯正治療の期間について教えて

矯正治療の期間について教えて

歯列矯正は歯に弱い力を長時間かけ続けることで歯を動かして行きます。そのため治療期間は2年程度かかる方が多くなります。矯正装置を歯に付ける期間が長いことから、治療を躊躇される方もおられると思います。矯正の治療期間についてご説明します。

矯正治療の種類と治療期間

矯正治療には全体矯正と部分矯正があります。

  • 全体矯正・・歯全体に矯正装置をつけて全部の歯を動かす。
  • 部分矯正・・主に2~8本の前歯のみの矯正で軽度な不正咬合を治す

全体矯正の治療期間

全体矯正では中~重度の不正咬合の治療を行います。重度の不正咬合とはガタガタや八重歯など、歯の重なりが大きいものや、出っ歯や受け口の突出が大きいものをいいます。そのため抜歯矯正になることが多く、治療期間の平均的な目安は2~3年程度です。

部分矯正の治療期間

部分矯正は主に前歯を対象としており、軽度のガタガタや出っ歯などを治療します。治療期間の平均的な目安は数ヶ月から1年程度ですが、全ての不正咬合に適用できるわけではなく、軽度の症状に適しています。

矯正装置の種類と治療期間

ワイヤー矯正、裏側矯正の治療期間

歯が最も早く動くのはワイヤー矯正で、歯1本1本の表面にブラケットという小さな装置を貼り付け、そこにワイヤーを通して歯に力をかけます。

裏側矯正はブラケットとワイヤーを歯の裏側に取り付けます。裏側矯正は出っ歯の治療に向いていると言われており、出っ歯の患者さんの場合はワイヤー矯正と比べて若干治療期間が短くなる可能性があります。

マウスピース矯正の治療期間

マウスピース矯正は透明なマウスピースを7日~10日程度で新しいものにつけかえて歯を動かして行きます。インビザラインというマウスピース矯正の場合はマウスピース1枚あたり歯を0.25mm動かす設計になっており、ワイヤーとブラケットを使った矯正よりも歯をゆっくりと動かすため痛みが少ないのが特徴です。

しかし、歯をゆっくりと動かすため抜歯矯正のように大きく歯を動かす矯正治療では治療期間が大変長くなってしまうため、抜歯矯正の場合はある歯が動くまでの期間はワイヤー矯正で行い、その後マウスピース矯正を行う場合があります。

治療中の通院の頻度

矯正治療中の通院頻度は、矯正装置の種類によって異なります。ワイヤー矯正と裏側矯正は1ヶ月に1回程度、マウスピース型矯正は1ヶ月から3ヶ月に1回の通院が一般的です。

治療初期にはIPR(ディスキング)、アタッチメントの接着、アンカースクリューの設置などで通院回数が不定期になることもあります。

歯をもっと早く動かすには?

PBMヒーリング

歯を動きやすくするために、PBMヒーリングと呼ばれる装置があります。PBMヒーリングは近赤外線を歯の周辺に照射することによって歯を動かす矯正治療をスピードアップさせられます。

片顎4分ずつ両顎で計8分使用することで、最大50~66%治療期間を短縮させることができます。

主にマウスピース矯正の患者さん向きに作られており、マウスピースの交換時期を5日程度に縮めることが出来ます。
※歯の動く速さには個人差があります。

▼PBNヒーリングについてはこちらで詳しく解説しています。

保定期間

治療が終了すると矯正装置を外すことができますが、矯正終了直後はまだ歯が動きやすい状態で、装置を外すことで歯並びが後戻りを起こすことがあります。

歯の後戻りを防ぐために、矯正装置を外した後は、保定装置(リテーナー)を歯に付けます。保定装置はマウスピース型のものが主流ですが、前歯の裏側に細いワイヤーをレジンで貼り付けて前歯が動かないように固定する場合もあります。

保定期間は、矯正治療期間と同等、またはそれ以上が理想的です。リテーナーは痛みを伴わず、装着時間を徐々に減らしていくことが可能です。

矯正治療の期間に関するQ&A

歯列矯正の治療期間はどの程度かかるのですか?

歯列矯正の治療期間は、一般的に2年程度かかる方が多いです。しかし、矯正の種類や不正咬合の程度によって治療期間は異なります。例えば、全体矯正では平均的に2~3年、部分矯正では数ヶ月から1年程度が目安です。

ワイヤー矯正とマウスピース矯正の治療期間にはどのような違いがありますか?

ワイヤー矯正は歯が最も早く動く方法であり、治療期間は比較的短いことが多いです。一方、マウスピース矯正は歯をゆっくりと動かすため痛みが少ないですが、治療期間が長くなることがあります。特に抜歯矯正のように大きく歯を動かす場合は、ワイヤー矯正で歯を動かした後にマウスピース矯正を行うことがあります。

矯正治療中の通院頻度はどの程度ですか?

矯正治療中の通院頻度は矯正装置の種類によって異なります。ワイヤー矯正と裏側矯正は月に1回程度、マウスピース型矯正は1ヶ月から3ヶ月に1回が一般的です。治療の初期にはIPRやアタッチメントの接着、アンカースクリューの設置などで通院回数が不定期になることもあります。

まとめ

矯正治療の期間は、治療の種類や症状の重さによって異なります。全体矯正では2~3年、部分矯正では数ヶ月から1年が一般的です。

ワイヤー矯正や裏側矯正、マウスピース矯正それぞれに特徴があり、治療効率を上げるための技術も導入されています。通院頻度も装置の種類により異なり、治療期間中の管理と治療終了後の保定が重要です。

矯正治療の期間については、以下の2つの研究が参考になります。

1. 固定装置による治療中のメンテナンス
固定装置に基づく矯正治療の平均期間は約20ヶ月と推定されています。この期間中、最適な歯の健康状態と固定装置のケアが重要です。不十分な装置のケアやコンプライアンスの問題は、治療期間の延長やエナメル質の脱灰や歯周病のリスク増加に繋がる可能性があります。【Fleming & Seehra, 2019

2. 異なる咬合異常の治療期間の比較
クラスI、クラスII、クラスIIIの咬合異常の治療期間を比較した研究では、矯正治療の平均期間は約19.7ヶ月であることが報告されています。クラスIIIの咬合異常が最も短い治療期間を要し、次いでクラスI、クラスIIが最も長い治療期間を要することが観察されました。【Majithia, Mascarenhas, & Husain, 2013

これらの研究結果から、矯正治療の期間は個々の症例や咬合異常の種類、患者のコンプライアンス、および治療計画によって異なることが分かります。平均的には約20ヶ月の治療期間が見込まれますが、これは患者ごとの状況に応じて変動する可能性があります。

この記事の監修者
医療法人真摯会 梅田クローバー歯科クリニック
院長 久野 喬

2014年 松本歯科大学卒業卒業。日本障害者歯科学会 認定医。ACLS講習終了。日本口腔インプラント学会。日本小児歯科学会。日本接触嚥下リハビリテーション学会。

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梅田クローバー歯科クリニック

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