矯正歯科

矯正治療で歯並びが治っていく仕組みとは?

矯正治療で歯並びが治っていく仕組みとは?

「鏡を見るたびに気になる歯並び…」「笑顔に自信を持ちたいけれど、矯正って大変そう…」そんなお悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか?

実は、歯並びが整うことで見た目だけでなく、噛み合わせやお口の健康にも良い影響があります。とはいえ、「矯正治療で本当に歯が動くの?」「どうやってキレイな歯並びになるの?」と疑問に思われる方もいるかもしれません。

矯正治療は、科学的な仕組みに基づいて計画的に歯を動かしていく治療です。本記事では、矯正治療のメカニズムをわかりやすく解説し、患者さんが安心して治療に取り組めるようお手伝いします。

矯正治療の仕組み 歯はどのように動くのか?

矯正治療では、ワイヤーやマウスピースなどの装置を使って、少しずつ歯を理想的な位置へと移動させていきます。

持続的な力をかける → 矯正装置を装着すると、歯に一定の力をかけます。

骨の吸収と再生 → 力がかかった側の骨は吸収され、反対側では新しい骨が作られることで歯が移動します。

歯根膜の働き → 歯を支える歯根膜が圧迫と牽引を受けることで、骨が適応しながら歯が動いていきます。

矯正力の調整 → 矯正医が定期的にワイヤーの調整やマウスピースの交換を行うことで、適切な圧力を維持しながら歯を移動させます。

歯の移動速度 → 個人差がありますが、一般的には1か月に0.3〜0.5mm程度の移動が見込まれます。

矯正治療の段階

  1. 初期段階 → 歯の位置を調整し始める期間。痛みを感じやすい時期です。
  2. 中期段階 → 歯が動きやすくなり、見た目の変化が現れる。
  3. 最終調整段階 → 噛み合わせの細かい調整を行い、最適な歯並びへ仕上げる。

このサイクルを繰り返すことで、少しずつ歯並びが整っていきます。

なぜ歯並びが悪くなるのか?

歯並びが悪くなる原因には、さまざまな要因があります。

遺伝的要因 → 親の歯並びが影響することがあり、骨格や顎の大きさも遺伝します。
舌や口の筋肉のクセ → 指しゃぶり、舌の癖、口呼吸などの習慣が歯並びに影響を与えます。
乳歯が早く抜けた場合 → 乳歯を早く失うと、永久歯の生えるスペースが不足して適切な位置に生えることが出来ません。

これらの要因が組み合わさることで、歯がバラバラに生えて歯並びが乱れるのです。そのため、矯正治療では個々の患者さんの原因を特定し、適切な方法で歯を動かしていきます。

矯正治療の種類と特徴

矯正治療にはいくつかの方法があり、それぞれ特徴があります。

ワイヤー矯正(表側矯正・裏側矯正)

  • 歯の表面または裏側にブラケットを装着し、ワイヤーの力で歯を動かします。
  • 強い力をかけることができるため、幅広い症例に対応可能。

マウスピース矯正(インビザラインなど)

  • 透明なマウスピースを装着して、段階的に歯を移動させます。
  • 目立ちにくく、取り外し可能なため、食事や歯磨きがしやすい。

部分矯正

  • 特定の歯のみを動かす矯正方法。
  • 軽度の歯並びの乱れに適しており、治療期間も短め。

患者さんの歯並びの状態やライフスタイルに応じて、適した矯正方法を選ぶことが大切です。

矯正治療中に気をつけること

矯正治療中は、以下の点に注意しましょう。

歯磨きを丁寧に行う

  • 矯正装置があると歯垢が溜まりやすくなるため、専用の歯ブラシを使って丁寧に歯磨きをする。
  • 歯間ブラシやフロスを活用し、装置の隙間や歯の間に溜まった歯垢をしっかり除去する。
  • フッ素入りの歯磨き粉を使い、むし歯予防を徹底する。

定期的な健診を受ける

  • 矯正医の指示に従い、定期的に調整を行うことで、計画通りに歯が動くようにする。
  • 矯正装置に不具合がないかチェックし、必要に応じて修正してもらう。

装置の管理を適切に行う

  • マウスピース矯正の場合は、決められた時間しっかり装着する。
  • ワイヤー矯正の場合は、食事の際に固いものを避ける。
  • ゴムかけを指示された場合は、適切な時間装着し、治療計画を守る。

適切な管理をすることで、矯正治療の効果を最大限に引き出せます。

なぜ矯正治療後に後戻りが起こるの?

矯正治療後に歯が元の位置に戻る「後戻り」は、多くの患者さんが経験する可能性がある現象です。なぜ後戻りが起こるのでしょうか?

後戻りの主な原因

歯を支える骨や組織が安定するまでに時間がかかる

矯正治療で歯を動かした後、歯の周囲の骨や歯根膜が完全に安定するまでに時間がかかります。そのため、何も対策をしないと歯が元の位置に戻ろうとする力が働きます。

舌や頬の筋肉の影響

矯正治療前の歯並びは、舌や頬の筋肉のバランスによって形成されていることが多いです。治療後もその影響が残っていると、歯が元の位置に戻る原因になります。

噛み合わせの変化

歯の噛み合わせは、顎の動きや筋肉のバランスによって変化します。噛み合わせが適切に維持されていないと、歯並びが崩れる可能性があります。

リテーナーの装着を怠る

矯正治療後のリテーナー(保定装置)を正しく装着しないと、歯は自然と元の位置に戻ろうとします。「もう大丈夫かな」と思って装着を怠ると、後戻りが進んでしまうことがあります。

後戻りを防ぐためには?

リテーナーを指示された期間きちんと装着する

治療直後は特に重要で、日中も装着することが推奨される場合があります。その後も夜間だけの装着を継続することで、後戻りを最小限に抑えられます。

舌や頬の筋肉のトレーニングを行う

舌の位置や口の周囲の筋肉を正しく使うことで、歯並びの維持につながります。MFT(口腔筋機能療法)を活用することもおすすめです。

定期的に歯科医院でチェックを受ける

歯の位置に変化がないか確認し、必要に応じて微調整を行うことが重要です。

 

矯正治療は、適切な力を加えて歯を少しずつ移動させ、理想的な歯並びを作る治療です。

  • 矯正治療後も歯が後戻りしないように、リテーナーの装着や筋肉のバランスを整えることが大切。
  • 舌や頬の筋肉の影響で歯並びが変化することがあるため、正しい習慣を身につける。
  • 定期的な健診で歯の状態をチェックし、必要に応じてメンテナンスを受ける。

矯正治療を正しく理解し、しっかりとケアを行うことで、美しい歯並びを維持できます。気になる方は、ぜひ歯科医院で相談してみてくださいね!

矯正治療後のメンテナンス 後戻りを防ぐには?

矯正治療が終わった後も、歯が元の位置に戻らないように注意が必要です。

リテーナー(保定装置)をしっかり装着する

治療後に一定期間、リテーナーを装着し、歯の位置を安定させる。

噛み合わせのチェック

定期的に歯科で健診を受け、噛み合わせのバランスを確認する。

歯並びを維持するための習慣作り

姿勢を正しく保つ。
舌の位置を意識する(舌が前に出る癖を直す)。

このような習慣を身につけることで、矯正後の歯並びを長く維持することができます。

まとめ

矯正治療は、適切な力を加えて歯を少しずつ移動させ、理想的な歯並びを作る治療です。

歯並びが悪くなる原因には、遺伝や生活習慣が関係している。
矯正治療では、持続的な力をかけることで、骨の吸収と再生を促しながら歯を動かす。
矯正の種類にはワイヤー矯正やマウスピース矯正があり、ライフスタイルに応じた選択が可能。
治療中の管理が重要で、適切なケアを行うことで効果を高められる。
矯正治療後のリテーナー装着や噛み合わせのチェックを怠らないことが、後戻りを防ぐ鍵。

矯正治療を正しく理解し、しっかりとケアを行うことで、美しい歯並びを維持できます。気になる方は、ぜひ歯科医院で相談してみてくださいね!

この記事の監修者
医療法人真摯会 梅田クローバー歯科クリニック
院長 久野 喬

2014年 松本歯科大学卒業卒業。日本障害者歯科学会 認定医。ACLS講習終了。日本口腔インプラント学会。日本小児歯科学会。日本接触嚥下リハビリテーション学会。

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梅田クローバー歯科クリニック

大阪矯正歯科グループ大阪インプラント総合クリニック