
ふと鏡を見たとき、写真を撮ったとき、ふいに気になる顎のズレ。
「なんだか顔が左右非対称に見える…」「口を開くと片方だけ痛む気がする…」そんな違和感を感じたことはありませんか?
もしかしたら、日常の何気ない瞬間に「私の顎、歪んでる?」と不安になることがあるかもしれません。人と話しているとき、ふとした瞬間に口元を隠したくなったり、笑顔がぎこちなく感じたり…。
「矯正治療をすれば治るのかな?」
「そもそも、どうしてこうなったんだろう?」
あなたのその悩み、決して珍しいものではありません。多くの方が「顎の歪み」について悩み、解決策を探しています。
このコラムでは、顎の歪みが起こる原因と、矯正治療で改善できるのかについて詳しく解説します。あなたの疑問や不安が少しでも軽くなり、前向きな一歩を踏み出せるように、分かりやすくお伝えしていきます。
顎のゆがみの原因とは?

そもそも、なぜ顎が歪んでしまうのでしょうか?
顎の歪みの原因には、大きく分けて 「生活習慣によるもの」「骨格によるもの」「外的要因によるもの」 の3つがあります。
顎のゆがみは、以下のような要因によって引き起こされることがあります。
① 生活習慣による影響
- 片側ばかりで噛む → 左右の筋肉のバランスが崩れる
- 頬杖をつく → 顎が片方に押され、歪みの原因に
- 猫背やストレートネック → 姿勢の悪さが顎の位置にも影響
② 先天的な要因(骨格の問題)
- 生まれつき顎の骨の成長に左右差がある
- 遺伝的に顎が小さい・大きいなどの影響
③ 外的要因(事故やケガ、成長過程の影響)
- 幼少期の転倒や衝撃で顎の発育が変わる
- 成長期の噛み合わせの変化による影響
「顎の歪みの原因は一つではありません。日常生活のクセが関係していることもあれば、骨格や成長の影響を受けている場合もあります。」
顎の歪みが引き起こす症状
顎の歪みは、見た目だけの問題ではありません。放っておくと、次のような症状が出ることがあります。
- 左右の顔のバランスが崩れる(顔の非対称)
- 噛み合わせが悪くなり、歯の摩耗が進む
- 顎関節症(口を開けるとカクカク音がする、痛みがある)
- 頭痛・肩こり・首こりの原因になることも
「実は、顎の歪みが原因で体の不調が起こることもあるのです。」
矯正治療で顎のゆがみは治るのか?
矯正治療は、歯並びや噛み合わせを改善することで、顎のゆがみの改善に寄与することがあります。しかし、顎のゆがみの原因が骨格的なものである場合、矯正治療だけでは完全な改善が難しいことがあります。そのため、顎のゆがみの程度や原因を正確に診断し、適切な治療法を選択することが重要です。
矯正治療が顎のゆがみに有効な場合
「矯正治療をすれば、顎の歪みは治るの?」という疑問にお答えします。
矯正治療で改善できる場合
- 歯並びや噛み合わせのズレが原因のケース → 矯正治療で改善可能
- 顎関節症が軽度な場合 → マウスピース矯正などで症状の緩和が期待できる
矯正治療が顎のゆがみに対して効果的であるのは、主に以下のケースです。
1. 噛み合わせの不均衡が原因の場合
不正咬合(歯列不正)によって顎の動きが偏ると、長期的には顎関節や筋肉のバランスが崩れ、ゆがみが生じることがあります。このような場合、矯正治療で歯並びや噛み合わせを改善することで、顎の位置も自然と正しい位置へと戻ることが期待されます。
具体例
- 下顎が左右どちらかに偏っている場合、噛み合わせを左右均等にすることで、顎の動きが正しくなる。
- 上顎と下顎の前後関係(出っ歯や受け口)が改善されると、顎のバランスが整う。
2. 成長期における治療
子どもや若年層の場合、顎がまだ成長している段階で矯正治療を行うことで、骨格そのものの形状や位置を調整することが可能です。成長誘導装置(ヘッドギアやマウスピースなど)を用いることで、成長に合わせて顎のゆがみを矯正することができます。
3. 生活習慣の影響を補正する場合
片側での咀嚼習慣や不良姿勢が原因で生じた軽度のゆがみは、矯正治療と並行して生活習慣を改善することで、比較的短期間で改善することがあります。
矯正治療で限界がある場合

矯正治療のみでは対応できない顎のゆがみも存在します。このような場合、追加の治療が必要になります。
1. 骨格性の問題
顎の骨そのものが非対称の場合、矯正治療だけでは限界があります。この場合、外科的治療が必要になることがあります。特に以下のような場合は、外科手術との併用が推奨されます。
- 顔の左右の非対称が顕著な場合
- 噛み合わせの改善だけでは、顎のゆがみが修正できない場合
2. 筋肉や関節の異常
顎関節症や顎周囲の筋肉の不均衡が原因の場合、矯正治療のみでは根本的な解決が難しいことがあります。この場合、以下のような追加の治療が行われることがあります。
- 顎関節症治療・・スプリント療法や理学療法。
- 筋機能療法・・口周囲の筋肉トレーニング
3. 治療効果が限定的な場合
成人の患者さんでは、顎の骨がすでに完成しているため、成長誘導による修正が難しく、治療の効果が限定的になる場合があります。この場合、期待される改善度を治療前にしっかり把握することが重要です。
矯正治療でゆがみを改善するためのポイント
顎のゆがみを矯正治療で改善するには、以下のようなポイントを意識することが重要です。
初期診断の徹底
矯正歯科専門医や口腔外科医による精密な診断を受け、顎のゆがみの原因や程度を把握します。CTスキャンやX線撮影を活用することで、骨格の状態を正確に確認します。
複数の治療オプションの検討
矯正治療だけでなく、外科治療や筋機能療法などを組み合わせた包括的なアプローチが効果的です。
生活習慣の改善
治療中も片側噛みや不良姿勢など、顎に負担をかける習慣を見直しましょう。これにより、治療効果が最大化されます。
日常生活で気をつけること
- 両側でバランスよく噛む → 片側ばかりで噛まない習慣をつける
- 頬杖をやめる → 無意識に支えていないかチェック
- 姿勢を正す → デスクワーク中も猫背にならないように
セルフケア方法
- 顎のストレッチ・マッサージ → 口を大きく開けてゆっくり閉じる運動を毎日行う
- 夜間の歯ぎしり対策(マウスピースなど) → 無意識に顎へ負担をかけない工夫を
普段のちょっとした意識が、顎の歪みを防ぐ第一歩です
治療後の保定装置の活用
矯正治療終了後も、保定装置を使用して治療効果を維持することが重要です。顎の位置が元に戻る「後戻り」を防ぐためにも、定期的な健診を受けることが推奨されます。
矯正治療の種類とその効果
顎のゆがみの改善には、以下のような矯正治療が考えられます。
歯列矯正

ブラケットやマウスピースを用いて歯並びを整え、噛み合わせを改善します。これにより、顎の位置や動きが正常化し、ゆがみの軽減が期待できます。
外科矯正
骨格的な問題が原因の場合、外科手術と矯正治療を組み合わせて顎の位置を修正します。この方法は、重度の顎のゆがみや顎変形症に適用されます。
筋機能療法
口周りの筋肉のバランスを整えることで、顎の動きを正常化し、ゆがみの改善を図ります。特に、生活習慣や癖が原因の場合に有効です。
矯正治療を受ける際の注意点
矯正治療を検討する際には、以下の点に注意が必要です。
- 専門医への相談・・顎のゆがみの原因や程度を正確に診断するために、矯正歯科専門医や口腔外科医に相談しましょう。
- 治療計画の確認・・治療期間、費用、期待される効果、副作用などを事前に確認し、納得した上で治療を開始することが大切です。
- 生活習慣の見直し・・片側だけで噛む癖や不良姿勢など、顎のゆがみを助長する習慣を改善することも重要です。
まとめ
- 顎の歪みの原因は様々で、自分に合った治療が必要
- 矯正治療で改善できるケースもあれば、外科治療や他のアプローチが必要な場合もある
- 気になる場合は、まずは歯科医・矯正歯科医に相談してみるのが一番
「顎の歪みが気になる…」「これって治るの?」と悩んでいるなら、一人で抱え込まずに専門家に相談してみましょう。あなたに合った最適な治療方法が、きっと見つかります。
顎のゆがみは、矯正治療で改善できる場合がありますが、その効果は原因や程度によって異なります。骨格性の問題や成長期での治療タイミングなど、さまざまな要因が関係します。
また、生活習慣の見直しや筋機能療法など、総合的なアプローチが効果的な場合もあります。顎のゆがみが気になる方は、早めに専門医に相談し、適切な対処を行いましょう。