歯と口のトラブル

食いしばりが引き起こすトラブルとは?効果的な対策と今日からできる習慣

食いしばりが引き起こすトラブルとは?

「ふと気づいたら、歯をグッと噛みしめていた」
そんな経験、ありませんか? 実はこれ、「食いしばり」と呼ばれる無意識のクセで、意外と多くの人がやっているんです。特に仕事中の集中時や、寝ている間など、自覚がないまま続けてしまうことも多いのがやっかいなところ。

このクセ、放っておくと歯がすり減ったり、顎の痛み、さらには肩こりや頭痛につながることもあるんです。
「なんとなく疲れが取れない…」そんなあなたの悩み、もしかすると食いしばりが関係しているかもしれません。

この記事では、そんな“見えにくい問題”である食いしばりについて、効果的な対策や日常でできる予防法をわかりやすくご紹介します。今すぐできることから、未来の健康を守っていきましょう!

気づかぬうちにやっている「食いしばり」の怖さ

食いしばり

食いしばりは、日中の集中時や就寝中など、無意識に行ってしまう癖のひとつです。自覚がないまま続けると、歯や顎、全身にまで悪影響を及ぼすこともあります。

食いしばりは無自覚のうちに進行し、身体にさまざまな負担をかける癖です。

たとえば、パソコン作業中やスマホを操作しているとき、「気がつけば歯をグッと噛みしめていた」なんてことありませんか?
実はこのような“無意識の食いしばり”は、誰にでも起こりうるクセなんです。

特に起こりがちな場面

  • 緊張しているとき(会議、試験、運転など)
  • 集中して作業をしているとき(仕事・趣味・ゲームなど)
  • ストレスが溜まっているとき(対人関係、睡眠不足など)
  • 寝ているとき(就寝中の無意識の噛みしめ)

こうしたシチュエーションでは、歯と歯が強く接触している時間が長くなり、常に歯や顎、筋肉に負担がかかる状態が続いてしまいます。

なぜ怖いの?放っておくとどうなる?

食いしばりは一見無害に思えるかもしれませんが、実際には以下のようなリスクがあります。

歯のすり減り、ひび割れ

詰め物や被せ物の脱落や破損

顎関節の痛みや違和感(顎関節症)

首・肩のこり、頭痛

睡眠の質の低下による日中のだるさ

ポイントは「自分では気づきにくい」ということ。

痛みや見た目の異常が出るまで気づかず、症状が進行してから初めて「何かおかしい」と思うケースも少なくありません。
だからこそ、少しでも「あれ?」と思ったときは、早めに歯科医院で相談するのがおすすめです。

放っておくとこんなトラブルに…?

食いしばりを放置すると、歯がすり減ったり割れたりするだけでなく、顎関節症や頭痛、肩こりの原因になることも。歯のトラブルだけでは済まないため、早めの対処が必要です。

食いしばりは全身に悪影響を及ぼす可能性があるため、放置はNG。

代表的なトラブル

歯のすり減りやヒビ割れ:強い力がかかり、歯が摩耗したり、ひびが入ることがあります。

詰め物や被せ物の破損:食いしばりによって人工物に過度な負担がかかるため、破損しやすくなります。

  • 顎関節の不調 → 顎に負荷がかかり続けることで、顎関節症を引き起こす可能性があります。
  • 肩こり・頭痛・睡眠の質の低下 → 慢性的な食いしばりは筋肉の緊張を引き起こし、全身症状に影響することも。

このように、口腔内だけでなく首や肩、頭にまで症状が広がるケースがあるため、「歯が痛くないから大丈夫」とは言えないのです。

実は多い!歯科医院での相談事例

歯科医院には「朝起きたら顎が痛い」「詰め物がすぐ取れる」といった相談が多く寄せられます。診察の結果、実は原因が食いしばりだったというケースは珍しくありません。

見逃されがちですが、食いしばりが原因の不調は意外と多く報告されています。

エピソード例

  • 会社員Aさん → 「最近、被せ物が何度も外れるんです」→実は就寝中の食いしばりが原因。
  • 主婦Bさん → 「肩こりがひどくて、歯医者に来ることになるとは思いませんでした」→噛みしめ癖が慢性化。

見た目の症状だけで判断できないのが食いしばりの厄介なところ。少しでも違和感があれば歯科で相談することが大切です。

食いしばり対策はここまでできる!

日常生活の中でも、食いしばりを軽減するための工夫はたくさんあります。意識的な行動の積み重ねが、無意識の癖を変える第一歩になります。

毎日の習慣を少し変えるだけで、食いしばりの対策は可能です。

今日からできるセルフケア習慣

上下の歯を離す意識を持つ:唇は閉じても、上下の歯は軽く開けておくのが理想です。

深呼吸やストレッチをこまめに行う → 緊張状態をやわらげ、無意識の食いしばりを防ぎます。

就寝前にマッサージをする → こめかみや顎周辺をほぐすことで筋肉の緊張を緩和します。

デスク周りの環境を見直す → 姿勢が悪いと噛みしめやすくなるため、イスやPCの位置を調整。

ポイントは「力を抜くことを習慣化する」こと。精神的な緊張と食いしばりは密接に関係しているため、リラックスを意識することが何よりの対策になります。

上下の歯を離しておく感覚は、舌でコントロール出来るようになりましょう。最初は舌に力が入って疲れちゃうかもしれませんが、続けているうちに無意識で出来るようになりますよ。

舌は正しい位置にありますか?昼間の食いしばりはこれで防げる!

舌の正しい位置

日中の食いしばりは、舌の位置と深く関係しています。舌が正しい位置にあると、自然と上下の歯が接触せず、顎や歯に余計な負担がかかりません。逆に、舌の位置が低い人は無意識に食いしばる傾向が強くなります。簡単な意識づけだけでも、改善に大きな効果が期待できます。

舌の正しいポジションを保つことで、日中の無意識な食いしばりを防ぐ手助けになります。

「上下の歯は常にくっついていないとダメ」と思っている人、意外と多いんです。でも、本来、上下の歯はわずかに離れているのが正解。

そのために重要なのが、「舌の位置」なんです!

あなたの舌、どこにありますか?セルフチェックしてみましょう

舌の先が、上の前歯のすぐ裏側(スポットと呼ばれる位置)についている

舌全体が上あごに軽く吸い付いているような状態

上下の歯は接触していない(数ミリ浮いている)

これが「正しい舌の位置」です。
逆に舌が下がっていると、口呼吸になったり、下顎に力が入りやすくなったりして、無意識のうちに歯を噛みしめてしまう原因になります。

正しい舌の位置を保つためのトレーニング

1日数回、舌を上あごにくっつける意識をする
→ 仕事中や移動中など、気づいたときに意識して行ってみましょう。

深呼吸をしながらリラックス
→ 舌の緊張を緩めることにもつながります。

「ポッピング」トレーニング
→ 舌で上あごを吸いつけ、ポンっと音を鳴らすトレーニング。舌の筋肉が鍛えられ、自然と正しい位置に戻りやすくなります。

舌の位置が整うと、口腔内全体のバランスが良くなり、食いしばりや顎の緊張が起こりにくくなります。さらに、唾液の循環がスムーズになることで、口腔内の乾燥や虫歯予防にもつながるといううれしい効果も!

ポイント:

  1. 舌は「上あご」に軽く吸いつく位置が正しいポジション
  2. 正しい舌の位置で、自然と歯が接触しなくなり、食いしばりを防ぎやすくなる
  3. ちょっとした意識とトレーニングで誰でも実践可能!

歯科医院で行う具体的な治療法とは?

セルフケアだけでは改善が難しい場合、歯科医院での治療が有効です。マウスピースの作製や咬合調整など、専門的な対処で症状の軽減を図ります。

歯科医院では、原因に合わせた専門的な治療が受けられます。

主な治療法

  1. ナイトガード(マウスピース)の装着:就寝中に装着して、歯や顎へのダメージを軽減します。
  2. 咬み合わせ(咬合)の調整:不正咬合が原因となっている場合、噛み合わせを整えることで負担を軽減します。
  3. ボツリヌストキシン(ボトックス)治療:筋肉の緊張を和らげることで、食いしばりをコントロールする方法もあります。

症状がひどい場合や、セルフケアで改善がみられない場合は、専門的なアプローチを検討しましょう。マウスピースは保険適用となることもあるので、気軽に相談してOKです。

まずはできることから始めよう

気づいたその時が改善のチャンスです。「ちょっと気になるな」と感じたら、まずは歯科医院へ相談を。症状が軽いうちの方が、治療もスムーズに進みます。

早期発見・早期対応が、後悔しない対策につながります。

まとめ

効果的な対策で歯と身体を守ろう!

食いしばりは、誰にでも起こり得るクセですが、早めに気づいて対処すれば十分に改善可能です。歯科医院と連携しながら、自分に合った対策を見つけましょう。

  1. 生活習慣を見直す
  2. リラックスを意識する
  3. 歯科での専門的ケアを活用する

これらを実践することで、歯だけでなく身体全体の健康にも良い影響を与えてくれます。

この記事の監修者
医療法人真摯会 梅田クローバー歯科クリニック
院長 久野 喬

2014年 松本歯科大学卒業卒業。日本障害者歯科学会 認定医。ACLS講習終了。日本口腔インプラント学会。日本小児歯科学会。日本接触嚥下リハビリテーション学会。

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梅田クローバー歯科クリニック

大阪矯正歯科グループ大阪インプラント総合クリニック