
歯磨きをしていて歯が痛むときは知覚過敏や虫歯が理由と考えられます。それぞれについてご説明します。
目次
歯が痛いが虫歯でない場合は知覚過敏と考えられる
虫歯じゃないのに痛みを感じる場合は、知覚過敏が疑われます。
知覚過敏とは、歯のエナメル質の内部にある象牙質が露出しているときに起こります。象牙質の中には象牙細管と呼ばれる細い管がたくさん存在しており、象牙細管を通って歯の神経に刺激が伝わって、歯がしみる、痛いという症状が起こります。
知覚過敏の痛みは瞬間的なもので、長く続く痛みではありません。しかし、食べ物や飲み物の温度や、甘いもの、酸っぱいもの、冷たい空気などのちょっとした変化や、歯磨きの時に触れるだけで瞬間的な痛みが出ます。
知覚過敏の代表的な症状は?
- 冷たいものや熱いものを飲食すると歯がしみる
- 甘いものがしみる
- 酸っぱいものがしみる
- 痛むのは一時的ですぐに感じなくなる
虫歯はかなり進行しないと痛みを感じない
歯磨きをしていて歯が痛い場合に、「虫歯かな?」と思われるかもしれませんが、実は虫歯の場合はかなり悪化しないと痛みを感じません。それは歯が痛みを感じるメカニズムによります。
歯はエナメル質、象牙質、歯髄の三層から成り立っています。歯茎から上に出ている部分の歯の表面は、硬いエナメル質にしっかりと覆われています。虫歯になってエナメル質が溶かされると、その内部にある象牙質が溶かされていきます。歯の神経は象牙質の更に内側にある歯髄に存在します。
虫歯の穴が大きくなって歯の神経の近くまで虫歯に侵されてしまうと、その部分に食べ物が当たったり詰まったりして時に痛みを感じることがありますが、虫歯の穴が小さいうちはほぼ痛みを感じません。
そのため、歯磨きの時に歯が痛いと感じるのは、虫歯ではない可能性が高いです。もちろん虫歯である可能性もないわけではありませんが、どちらかというと虫歯でない可能性の方が高いということです。
知覚過敏が起こる原因と治療法
象牙質が露出して知覚過敏が起こる原因はいくつかありますのでご説明します。
1.歯周病
歯周病が進行すると歯茎が下がって、今まで歯茎の中に埋まって見えない状態になっていた象牙質が露出した状態になってしまい、様々な刺激でしみや痛みが起こります。
歯周病が原因の知覚過敏の場合は、歯周病の治療をすぐに始める必要があります。象牙質の露出が大きい場合はその部分を薬でコーティングする場合もあります。
2.歯ぎしりや食いしばり、噛みしめ
歯ぎしりや食いしばり、噛みしめの癖がある方の場合、歯の特定の部分に強い力がかかって、その部分がすり減ってしまい、エナメル質が殆どなくなってしまっているということがあります。
歯ぎしりが起こる医学的な原因ははっきりわかっていません。そのため、対症療法としてマウスガードと呼ばれるマウスピースをつけて寝るという方法が取られることが多いです。ただしマウスピースは歯ぎしりや食いしばりから歯を守るのみで、歯ぎしりや食いしばりそのものをやめさせる効果はありません。
また、強い力で表面がすり減った歯を薬でコーティングしたり、噛み合わせの高さの調整を行うこともあります。どうしても痛みが続く場合は、歯の神経を取って被せ物をすることもあります。
3.酸味の強いものを飲食しすぎている
歯は酸に弱いため、酸性度の高い飲食物に長く触れると簡単に溶けてしまいます。健康の為に黒酢ドリンクを毎日飲んでいたら知覚過敏になった、という方もおられます。
酸性の飲食物によってエナメル質が溶かされるのを「酸蝕(さんしょく)」といい、酸蝕によって歯の表面が溶けて痛みが出ている状態を「酸蝕症」または「歯牙酸蝕症」と呼びます。
酸蝕症を防ぐためには、酸性のすっぱいものを飲食したあとは水で口をゆすぐ、酸性のものを長時間にわたって飲食しない、寝る前に酸性のものを飲食しない、などに気をつけましょう。
知覚過敏専用の歯磨き剤を使うのも効果あり
知覚過敏の改善に有効なのは、硝酸カリウムと乳酸アルミニウムの2種類の有効成分を含有した歯磨き剤です。硝酸カリウムは歯髄の神経の働きを鈍らせることで歯磨きの時の痛みを緩和します。乳酸アルミニウムは露出した象牙質の中の象牙細管を封鎖し、痛みを伝達しないようにします。
様々なメーカーから知覚過敏の症状を緩和する薬効成分を含んだ歯磨き剤が市販されています。歯科医院でも取り扱っていますので、歯科医師か歯科衛生士にお尋ねください。
歯磨き中に歯が痛いのは知覚過敏?虫歯?に関するQ&A
知覚過敏の症状は、冷たいものや熱いもの、甘いもの、酸っぱいものがしみることや一時的な痛みです。一方、虫歯の場合はかなり進行しないと痛みを感じません。
知覚過敏の原因は、歯の象牙質の露出によるものです。歯周病が進行すると歯茎が下がり、象牙質が露出することで知覚過敏の症状が起こる場合があります。また、歯ぎしりや食いしばりの癖がある場合、歯の特定の部分がすり減ってエナメル質がなくなり、知覚過敏の症状が生じることがあります。
知覚過敏の治療法として、歯磨き剤に含まれる硝酸カリウムや乳酸アルミニウムといった成分が効果的です。これらの成分は歯の神経の働きを鈍らせたり、象牙細管を封鎖することで痛みを軽減します。
まとめ

歯磨き中に歯の痛みを感じたら、虫歯か知覚過敏が疑われますが、原因によって治療方法は違いますので、まず歯科医院を受診して診断を仰ぎましょう。歯科ではなるべく痛みが起こらないような処置を行いますので、ひどくなる前に来院されるようおすすめします。