
歯の詰め物を誤って飲んだら、とても不安に感じられるでしょう。身体に異常が起きないかという危険性や、対処法について詳しくご紹介いたします。
歯の詰め物が取れたらまずすべきこと
歯の詰め物(インレー)が突然取れてしまうと、驚いてしまい、どうすればよいのか戸惑います。まず、詰め物が取れたときには慌てずに下記のことを確認しましょう。
- 詰め物が無事にあるかどうか
- 自分で接着しない
- 詰め物が取れた歯で噛まない
1.詰め物が無事にあるかどうか
詰め物が外れたのがすぐに分かったならば探して、見つかれば捨てずに保管してください。詰め物が綺麗に取れていて、歯の状態も問題がなければ再装着可能なケースがあります。保管する際は、形が欠けないように固いケースへ保管しましょう。
詰め物がないけどどこへ行ったの?
詰め物がお口の中に見当たらなければ、誤飲している可能性が高いです。消化器官を通り、数日後には便として排泄する方が多いですが、まれに体内に留まることがあります。保険適用の銀の詰め物でも、保険適用外のセラミックでも同様です。飲み込んでから不調になっているという場合は、消化器内科があるクリニックを受診し、内容を説明しましょう。
激しくむせた場合は誤嚥(ごえん)
歯の詰め物が取れて激しく咳き込んだり、むせてしまった場合は、誤嚥という状態になっています。気道に詰め物が入って詰まってしまうと、気道閉塞を起こす可能性があり、呼吸などに支障をきたします。やたらむせてしまうなと感じたら、なるべく早めに内科を受診してください。
2.自分で接着しないようにする
市販の歯科用ではない接着剤(セメント)を使用して自分で詰め物をくっつけることは、絶対にやめましょう。周囲の歯の高さに合わせるよう歯科医師がセメントを入れて接着して噛み合わせを確認しています。市販の接着剤で勝手にご自身で行うと噛み合わせが悪くなったり、お口の中に接着剤が溶け出て健康を損なうリスクがあるため危険です。しっかり接着できなければ隙間が生じてしまい、虫歯菌や歯垢(プラーク)が侵入して二次虫歯を引き起こしてしまいます。
3.詰め物が取れた歯で噛まない
詰め物が取れた歯では上手に噛むことが出来ません。人工物が取れてくぼみがあるような状態になっているため、食べ物が詰まりやすく、綺麗に清掃できなければ虫歯になるリスクが高まります。刺激の強い食事(熱い飲み物や冷たい飲み物、固い食べ物)などについても痛みが発生するためなるべく避けるようにしましょう。
詰め物が取れる原因
詰め物が取れてしまう原因はいくつか考えられます。
粘着性のある食べ物を食べた
キャラメルやガム、餅やヌガーなど粘着性の高い食べ物を食べるとどうしても詰め物が外れやすくなります。
接着剤の劣化
詰め物は歯科専用の接着剤で取り付けられますが、時間や年数を経るごとにセメントの接着力が弱まることがあります。
歯ぎしりや食いしばり
歯ぎしりや食いしばりの癖が日常的にある方は、強い力がかかるため、歯やセメントが摩耗します。癖がない方に比べて早く詰め物が外れることがあります。
詰め物の寿命
個人差はありますが、詰め物の寿命に関してはおおよそ下記の通りです。
- 銀歯については約5年以内
- レジン(歯科用プラスチック)については2~5年
- セラミックについては10~15年
銀歯は溶け出してイオン化して体内に蓄積し、レジンは耐久性という意味では劣ります。セラミックはノンメタルなので金属アレルギーの方も使用でき耐久性はありますが、突然強い衝撃が加わった場合に欠ける可能性があります。耐久年数と審美性という点など総合的に考えるならば、セラミックインレーを選択しましょう。
虫歯
詰め物と歯の間に虫歯ができると、虫歯の酸により歯が溶け、接着面に段差ができることで隙間が生じます。それにより外れやすくなります。唾液などが虫歯部分に入り込むとプラークが付着し、虫歯は更に進行します。
詰め物を飲んだ場合の危険性と対処法
「詰め物を飲み込んでしまった」と気づいても、多くの場合は心配ありません。上述した通り、詰め物は消化器官を通り抜けて便と一緒に排出されます。金属製やセラミック製の詰め物であっても、体に悪影響を与えることはほとんどありません。
詰め物を飲んだ際の医院での対処法
なるべく早めに詰め物を作り直す必要があります。詰め物をお口の中で飲み込まずに保管できた方でも、形が欠けていたり、すり減りが起きていれば再作製になります。詰め物の近くに虫歯ができた場合についても、お口の健康維持のために虫歯治療を行い、歯を削るなどの処置があれば、合わなくなる可能性が高く同様の処置になります。
詰め物が取れないようにする予防法
食いしばりや歯ぎしりが日常的に癖づいている場合は、マウスピースで歯を保護しましょう。ナイトガードを就寝前に装着すると効果的です。この場合、市販のマウスピースを買うのではなく、ご自身に合ったナイトガードを使用しなければ歯にかかる力を分散できません。歯科医師に相談して作製しましょう。
まとめ

詰め物が取れてしまったり、飲み込んでしまった場合、焦ることなく適切な対応を取ることが大切です。万が一誤嚥が疑われる場合には、すぐに医師の診察を受けるようにしましょう。また、普段から定期的な歯科検診を受け、詰め物の状態を確認してもらうこともトラブルを防ぐポイントです。