歯と口のトラブル

歯が欠けたときはどうする?原因と応急処置について

歯が欠けたときはどうする?原因と応急処置について

歯が欠けるという予期せぬ出来事が起こっても、適切な知識と早い対応でこの状況を最小限のリスクで済ませることが出来ます。歯が欠けた際の原因、応急処置、そして治療法についてご説明します。

歯が欠ける原因とは?

歯

歯が欠ける原因は様々です。主な原因は以下のようなものです。

  • 外部からの衝撃・・スポーツや事故などで強い衝撃を受けた場合、歯が欠けることがあります。
  • 歯ぎしりや食いしばり・・無意識に歯を強く噛みしめる習慣があると、歯に負担がかかり、欠けることがあります。
  • 虫歯・・虫歯が進行すると、歯の構造が弱くなり、欠けやすくなります。
  • 老化・・加齢により歯のエナメル質が薄くなり、欠けやすくなることがあります。

歯が欠けたときの注意点と応急処置

歯が欠けた際には、素早い対応が重要です。応急処置の一般的な手順は以下のようなものです。いずれにしても、早めの受診が必要です。

1. 落ち着いて状況を確認する

  • 冷静さを保つ・・パニックにならず、状況を慎重に評価する
  • 口内の確認・・鏡を使用して欠けた部分の範囲や大きさを確認
  • 破片の保存・・可能であれば欠けた破片を見つけて保管

2. 痛みと出血の管理

  • 痛み対策・・市販の鎮痛剤を適量服用する
  • 出血制御・・清潔なガーゼや布で軽く圧迫する
  • 冷却・・腫れを抑えるため、頬の外側から冷却する

3. 感染予防

  • うがい・・塩水やぬるま湯で優しくうがいを行う
  • 清潔な状態を保つ・・歯ブラシは柔らかいものを使用し、欠けた部分を避けて磨く
  • 抗菌性マウスウォッシュ・・医師に相談の上、使用を検討する

4. 欠けた破片の保存

  • 欠けた破片を見つけたら、清潔な容器に入れて保管する
  • 破片は牛乳や生理食塩水に浸すのが理想的(再接着できる場合がある)
  • 水道水での保存は避ける(細胞を傷つける可能性があるため)

5. 食事と飲み物の注意

  • 柔らかい食事:固い食べ物や極端に熱い・冷たい食べ物を避ける
  • 咀嚼位置:欠けた歯で噛まないよう意識する
  • 飲み物:アルコールや炭酸飲料は避ける

6. 歯科受診までの注意点

  • 運動制限・・激しい運動や頭を下げる動作を控える
  • 喫煙回避・・喫煙は治癒を遅らせる可能性があるため避ける
  • 会話の注意・・過度の会話や大きな口の動きを控える

7. 歯科医院への連絡

  • 早期連絡・・できるだけ早く歯科医院に連絡を取る
  • 状況説明・・欠けた時の状況、痛みの程度、出血の有無などを詳しく伝える
  • 緊急性の確認・・即時の受診が必要か、予約可能か確認する

8. 心理的なケア

  • 不安の管理・・過度の心配は避け、専門家の診断を待つ
  • 周囲のサポート・・必要に応じて家族や友人のサポートを求める

9. 予防対策

  • スポーツ時はマウスガードを着用
  • 定期的な歯科検診で歯の状態をチェック
  • 硬いものを噛む習慣がある人はそれを控える
  • 歯ぎしり、食いしばりの癖がある場合は就寝中にナイトガード(マウスピース)を使用する

歯が欠けた時の応急処置と注意点は以上のようなものですが、必ず歯科を受診することをおすすめします。

歯が欠けたときの治療法

歯が欠けた場合の治療法は、欠けた部分の大きさや位置に応じて異なります。

1. 診断

  • X線撮影・・歯の内部や周囲の骨の状態を確認
  • 視診と触診・・欠けた部分の範囲や深さを詳細に調査
  • 神経の状態を確認・・歯の神経が生きているか、感覚を調べる

2. 歯の再接着(可能な場合のみ)

  • 欠けた部分が保存されている場合は、歯医者がそれを再接着することが出来る場合があります。ただし、欠けた歯と欠片の双方の形状がピッタリ合っていることが必要です。

3. 軽度の欠け(エナメル質のみ)

  • ボンディング・・樹脂を使用して欠けた部分を修復。
  • 処置時間・・通常30分?1時間程度
  • メリット:迅速な修復が可能
  • デメリット:着色しやすい。汚れがつきやすい。将来的に再治療が必要になる。自由診療になる場合がある。

4. 中程度の欠け(象牙質まで及ぶ)

  • コンポジットレジン修復:歯の色に合わせた樹脂で修復。自由診療になる場合もある
  • 処置時間:1?2時間程度
  • メリット:比較的早い修復が可能
  • デメリット:着色しやすい。汚れがつきやすい。将来的に再治療が必要になる。自由診療になる場合がある。

5. 重度の欠け(歯髄に近い、または露出)

  • 被せ物・・セラミックや銀歯の被せ物で歯全体を覆う
  • 処置手順
  1. 歯を削って形を整える
  2. 歯型の採取
  3. 仮歯を装着
  4. 2~3週間後に最終的な被せ物を装着
  • 材質選択・・銀歯、セラミック、ジルコニアなど

6. 神経が露出または損傷している場合

  • 根管治療(歯の神経を取り除く処置)が必要
  • 処置手順
  1. 麻酔注射
  2. 歯の内部の感染組織除去
  3. 根管の洗浄と消毒
  4. 根管充填
  • その後、被せ物などで歯を保護する

7. 歯の欠けが大きく、修復が難しい場合

  • 抜歯・・歯を完全に除去
  • その後の選択肢
  1. ブリッジ・・隣接する歯に人工歯を固定
  2. 部分入れ歯・・取り外し可能な人工歯
  3. インプラント・・人工の歯根を埋め込み、その上に人工の歯を装着

8. 前歯の場合は審美的な考慮が必要になる

  • ラミネートベニア:歯の表面に薄い陶材を接着する
  • 処置手順
  1. 歯の表面を少量削る
  2. 印象採取
  3. 2~3週間後にベニアを装着

9. 治療後のケア

  • 定期的な歯科健診・・3~6ヶ月ごとに受ける
  • 適切な口腔ケア・・正しい歯磨き方法を行う
  • 食べ物の制限・・修復直後は硬い食べ物を避ける

10. 予防的な処置

  • ナイトガード・・夜間の歯ぎしり防止用のマウスピース
  • フッ素塗布・・歯のエナメル質を強化する
  • シーラント・・奥歯の溝を埋めて虫歯予防する(主に小児に対して行う)

11. 治療法の選択

  • 歯科医との相談・・患者さんのご希望、予算、歯の状態を考慮する
  • 長期的な視点・・将来的な再治療の可能性も考慮して選択する

歯の欠け方や程度、患者さんの状況によって適切な治療方法が選択されます。最適な治療法を決定するためには、歯科医との詳細な相談が不可欠です。

まとめ

歯が欠けた場合の対応によって、その後の歯の健康状態が大きく左右されます。歯が欠けた場合の応急処置と注意点を知り、冷静に対応することが重要です。

また、定期的な歯科健診や適切な口腔ケア習慣を通じて、今後歯が欠けるリスクを最小限に抑えることが出来ます。

この記事の監修者
医療法人真摯会 梅田クローバー歯科クリニック
院長 久野 喬

2014年 松本歯科大学卒業卒業。日本障害者歯科学会 認定医。ACLS講習終了。日本口腔インプラント学会。日本小児歯科学会。日本接触嚥下リハビリテーション学会。

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梅田クローバー歯科クリニック

大阪矯正歯科グループ大阪インプラント総合クリニック