
「歯石取り後に歯がスカスカになるのは大丈夫なのか」という疑問にお答えします。
答えは「はい、スカスカになるのは問題ありません」歯と歯の隙間や歯ぐきの中に長期間歯石が溜まり、空間を埋めていたのを除去するためです。
この記事はこんな方に向いています
- クリーニング後にお口を見て不安な方
- 歯を削られたのではないかと思う方
この記事を読むとわかること
- 歯石取りで歯がスカスカな理由
- スカスカになった後に起こること
- 歯石取りはなぜ必要なのか
歯石取りで歯がスカスカと感じる理由
歯石とは、歯垢(プラーク)が唾液中のカルシウムなどと結びついて石のように硬くなり石灰化した状態で、歯の表面や歯と歯の間、歯周ポケットにしっかりと沈着します。これが長期間にわたって蓄積されたままであると、歯と歯の隙間や歯ぐきとの間がふさがれた状態になります。しかし、歯石をきれいに取り除くと、本来の歯と歯の間の空間や歯ぐきのラインが露出します。この変化で「前よりも隙間が増えた」「歯と歯の間から風が通る感じがする」「食べ物が詰まりやすくなった」などとスカスカに感じるのです。
本来の状態を感じやすくなった
実際には歯が削れたり、位置が変わったわけではなく、歯石が取れて本来の状態に戻り、歯周病が進行していた場合には歯ぐきが下がっていたり、骨が吸収されていることもあり、隙間がより顕著になります。つまり、「スカスカになった」のではなく、「スカスカだったのが見えた、感じやすくなった」というのが正確な状態です。
スカスカになった後に起こりやすい変化6つ
歯石が除去されたことで、今まで隠れていた本来の口腔環境が露出したために起こる変化です。
1. 食べ物が詰まりやすくなる
歯石は長年の蓄積によって歯と歯の間を埋めてしまうことが往々にしてあります。歯石を除去したことで歯の隙間が広くなったように感じられ、食事の際に食べかすが挟まりやすくなります。特に繊維質のある食べ物(ネギ、肉、セロリなど)は詰まりやすく、不快感を覚えることがあります。
2. 知覚過敏の症状が出やすくなる
歯石の下にあった部分の歯面は、象牙質が露出していることが多く、冷たいものや熱いもの、甘いものがしみやすく敏感になることがあります。これは一時的な知覚過敏で、歯石で覆われていた部分がむき出しになることが原因です。
3. 歯ぐきが下がって見える
歯周病が進行していた場合、歯石を取った後に歯ぐきが痩せて下がったように見えることがあります。実際には炎症が治まって歯ぐきが引き締まった結果であり、病的な悪化ではありませんが、見た目の変化に驚く方も多いです。
4. 一時的な違和感や不安感
歯石によって口の中の環境が急に変わることで、歯が動いたような感覚や噛み合わせの違和感を感じることがあります。特に歯石が重度に付着していた方は、支えがなくなったような不安感を覚えることがありますが、数日から数週間で慣れていくことがほとんどです。
5. 歯がグラグラするように感じる
進行した歯周病の方は、歯石が支えのようになっていたケースもあります。そのため、歯石除去後に歯が動いたりグラつくと感じることがあります。これは、歯を支える骨や歯ぐきがすでに弱っていた証拠であり、適切な歯周治療とケアが必要です。
6. プラークが付きやすくなる
歯石がなくなることで表面が滑らかになりますが、隙間があるとそこに汚れが残りやすくなります。歯ブラシやデンタルフロス、歯間ブラシなどでのセルフケアを怠ると、すぐにプラークが溜まり始め、再び歯石が形成されやすくなります。
歯石取り後スカスカが埋まるのはいつ?
歯石除去後のスカスカ感という歯茎の腫れが原因で起きた隙間は、通常2~3日程度で歯茎が引き締まり、自然に改善されます。歯茎が引き締まると、歯周ポケットの数値も改善し、歯周病菌が活動しにくい健康な状態になります。歯がぐらつくように感じることがありますが、それは歯石が取れて本来の歯茎に戻った証拠です。ずっとスカスカした状態が続くわけではないので、ご安心ください。
歯石取りはなぜ行う必要があるのか
では、歯石取りがなぜ必要なのか、理由をご紹介します。
① プラーク(歯垢)は時間が経つと歯石に変わる
食べかすや細菌のかたまりであるプラークを綺麗に掃除できず放置すると約2〜3日で石のように硬くなり、歯石になります。
プラークは歯みがきで落とせますが、歯石は歯科医院での除去が必要です。
② 歯石は歯周病の原因になる
歯石の表面はざらざらしていて引っかかりやすく、細菌がつきやすい状態になっていて、その結果、歯ぐきに炎症が起き、腫れ、膿が出てしまい、強い口臭の原因になります。歯周病は一度進行してしまうと元の状態に戻すのが難しい、取り返しのつかない病気です。歯石取りが面倒と先延ばしにしているうちに症状が悪化し、最終的には歯を失い、食事を楽しめなくなることもあります。こうした変化は日常生活の満足度を大きく下げ、さらに、歯を失ってからの義歯治療や健康維持には高額な費用がかかることも少なくありません。
将来の健康と快適な生活を守るためにも、定期的に歯科医院で歯石を除去し、歯周病の予防に努めましょう。
歯石が引き起こす変化の例
組織 | 健康な状態 | 歯石がたまった状態 |
---|---|---|
歯ぐき | ピンク色で引き締まっている | 赤く腫れ、出血しやすい |
歯と歯茎の間 | 歯周ポケットが浅く狭い | 歯周ポケットが深くなる |
歯 | しっかり固定されている | グラグラしてくる可能性 |
③ 歯石は自然には取れない
歯石は、歯科医院専用の器具であるスケーラーでしか取れません。放っておくと歯周病が進行し、最悪の場合歯を失うこともあります。また、資格を持っていない人が勝手にスケーラーを購入して口の中を触ると、歯周組織を傷つけ悪化させる可能性があります。歯石は見える部分にのみ付着するのではなく、歯肉縁下(えんか)にも付着するため、専門知識を備えた歯科医師及び歯科衛生士による診断や処置が必要です。
歯石取りのメリット
- 歯周病や口臭の予防
- 歯ぐきの出血や腫れの改善
- 歯の寿命を延ばす
- 口の中がさっぱりする
歯石取りの目安
- 3〜6ヶ月に1回のペースで歯科医院を受診
- 歯周病リスクが高い人はより短い間隔での定期検診が必要
歯石取りなどのクリーニングの内容や費用は歯科医院によって異なるため、希望する治療か事前に確認することが大切です。当院ではエアフロ―という微粒子のパウダーをジェット水流で吹き付けて、歯垢、バイオフィルム(細菌の塊)、早期の歯石などを除去する治療法を保険適用で行っています。定期的にクリーニングを受ける方が、虫歯や歯周病などの細菌感染で治療に通うより安くなるというデータもあります。お口の健康を守るためにも、定期的なクリーニングを受けましょう。
まとめ
歯石取りをした後にスカスカと感じるのは、実は健康な状態に戻る過程で起きる自然な現象です。知覚過敏や食べ物の詰まり、違和感などが出る場合は、適切なセルフケアと定期的な歯科メンテナンスで対応できます。もしも症状が強く長く続く場合は、歯科医院に連絡して対処を行ってもらいましょう。気になることがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。