歯のクリーニングの前に歯垢が染まる液を患者さんの歯に塗布することがあります。これは一体何の為に行うのか、ご説明します。
歯の染め出しを行う目的とは?
歯みがきを毎日3回、食後にきっちりしているからといって、虫歯にならないわけではありません。
当院では、患者さんの歯に磨き残しの歯垢がどれくらい残っているかをはっきりと目で見て分かるように可視化する目的で、クリーニングの前に歯垢の染め出しを行っています。
初めて染め出し液を使った患者さんは、歯が濃い紫色や薄い紫色に染まっているのを見て驚かれるのではないでしょうか。
歯の染め出しでわかること
染め出し液で染まったところ=歯磨きが苦手なところ
歯垢を赤く染めることによって、「こんな場所にこんなにみがき残しがありますよ」とはっきりとわかります。丁寧に歯を磨いている患者さんでも、歯が全く染まらないということは殆どありませんので、ご安心くださいね。
毎日しっかり歯磨きしていても、案外歯垢は残っているものです。濃い色に染まっているところは、古い歯垢が残っている場所で、薄い色に染まっているところは、ごく最近歯垢がついた場所です。
この色の違いによって、日常的に磨き残している場所と、今日の歯磨きで磨き残した場所とが区別できます。色の濃い場所は普段から患者さんがブラッシングを苦手としている場所ですので、その部分をどうすればきれいに磨くことが出来るようになるのか、歯科衛生士がアドバイスします。
磨き残しの多いところは?
1.歯と歯の間
歯と歯の間が紫色に染まっている場合は、その部分に歯垢が残っていますので、歯磨きの時にデンタルフロスを追加で使いましょう。ホルダー式のフロス(糸ようじ)なら初めての方も使いやすいと思います。
フロスをゆっくりと横にひくようにして歯と歯の間に糸の部分を入れます。ゆっくりと小さく動かし、歯と歯の間の歯垢をかき出します。
2.歯と歯茎の境目
歯と歯の間にフロスを入れ、そのままゆっくりと横に動かしながら徐々にフロスの位置を歯茎まで下ろしていきます。歯茎を傷つけないように注意しながら、フロスを歯のカーブに添わせるように動かして、歯茎付近に付着した歯垢を除去します。
3.奥歯の噛む面の溝
奥歯は歯ブラシが届きにくく磨きにくい場所です。奥歯の溝には汚れが溜まりやすく、そのまま磨き残しになってしまうと虫歯になるリスクが高まります。
奥歯の溝をきれいに磨くには、歯ブラシをまっすぐ直角に歯面に当てて、軽い力で歯ブラシを出来るだけ細かく動かします。
クリーニングの前に歯を染める理由
に関するQ&A
歯の染め出しは、歯垢や歯石の残り具合を可視化するために行われます。患者さんの歯に残った歯垢の量を目で確認することで、磨き残しの場所を把握し、適切なクリーニングを行うためです。歯磨きの頻度や丁寧さによっても虫歯になるリスクは影響されるため、定期的な染め出しは予防歯科の重要な手段となります。
磨き残しが多い場所は以下の通りです。
1.歯と歯の間:デンタルフロスを追加で使用することで磨き残しを防ぎましょう。
2.歯と歯茎の境目:フロスを歯茎に添わせるように動かし、歯茎近くの歯垢を除去します。
3.奥歯の噛む面の溝:歯ブラシを直角に当てて細かく動かすことで、奥歯の溝の汚れを取り除きます。
これらの場所は歯磨きでは届きにくく、歯垢が溜まりやすい箇所ですので、特に注意してケアする必要があります。
歯垢を赤く染めることにより、「どの場所にどれだけ歯垢が残っているか」がはっきりと分かります。歯科衛生士は、染まった場所を見て患者さんに対してアドバイスを行い、磨き残しを防ぐための適切なブラッシング方法を指導することができます。定期的な染め出しは、虫歯や歯周病の予防に繋がる重要な手段となります。
まとめ
歯垢の染め出しをすることによって、歯垢の溜まりやすい要注意の場所(ブラッシングが苦手な場所)がわかります。その部分を丁寧にみがくように心がけることで、染め出し液を使っても最初の時ほど濃い色に染まらなくなってきます。
濃い色に染まらないということは、歯磨きが上達した証拠で、虫歯や歯周病の予防もしっかりと行えているということになります。どなたでも出来るようになりますので、ぜひ歯垢を残さない歯磨きをマスターしてくださいね。