矯正歯科

インビザラインがダメと言われる理由とは?治療前に知っておきたい適応条件と注意点

インビザラインがダメと言われる理由とは?

「インビザラインで歯並びを治したいと思っていたのに、歯科医院で“あなたには向いていません”と言われた……」
そんな経験をされた患者さんも少なくありません。

透明で目立ちにくく、取り外しも可能なインビザラインは、近年とても人気のある矯正治療のひとつです。しかし、誰にでも適応できる万能な治療法ではなく、歯科医師から「インビザラインはダメ」と言われてしまうこともあるのです。

では、なぜそのように判断されるのでしょうか?
この記事では、インビザラインが向かない理由や、適応外である場合のリスク、そして代替となる治療法までをわかりやすく解説します。

「なぜ自分はダメなのか?」という疑問を解消し、自分にとって最適な矯正治療を見つけるための一助となれば幸いです。

なぜ「インビザラインはダメ」と言われるのか?

インビザラインはダメと言われる

インビザラインは多くの患者さんに選ばれる人気の矯正方法ですが、すべての症例に適しているわけではありません。歯科医師から「インビザラインは難しい」「ダメ」と言われるケースには、明確な理由があります。ここではその代表的な理由について解説します。

「インビザラインがダメ」と言われるのは、症例が適応外であることが多いためです。

インビザラインは、近年とても人気のあるマウスピース型矯正装置です。目立ちにくく、通院回数も少なく済むことから、多くの患者さんが「これなら続けられそう」と感じて治療を検討されます。

しかし、すべての患者さんにとって適切な治療法というわけではありません。歯科医師が「インビザラインはおすすめできません」「あなたには向いていません」と伝えるのには、以下のような理由があります。

歯の移動が難しい症例に対応しきれないことがある

  • インビザラインは比較的軽度な歯並びの乱れに適しています。
  • 重度の不正咬合や、抜歯を伴う大きな移動が必要なケースには向かないことがあります。
  • マウスピースでは歯に加えられる力の範囲が限定的なため、精密な移動が難しいことがあります。

骨格的な問題を解決できない場合がある

  • インビザラインは歯の位置を動かす治療に特化しています。
  • 受け口や顎のズレなど、骨格そのものに原因がある場合には対応できません。
  • こうした場合には、ワイヤー矯正や外科的矯正が必要になることもあります。

自己管理が必要な治療法である

  • インビザラインは患者さん自身がマウスピースを1日20?22時間装着する必要があります。
  • 装着時間が不足すると、思うように歯が動かず治療効果が出ません。
  • 忙しくて装着時間が確保できない方や、忘れがちな方には不向きです。

口腔内の状態が整っていないこともある

  • 重度の歯周病や虫歯があると、矯正治療そのものが難しくなります。
  • 歯がグラグラしている状態で歯を動かすと、歯を失うリスクが高まるため、まずは口腔内の健康を整える必要があります。

歯科医師が「インビザラインはダメ」と判断するのは、患者さんの症例や生活習慣、口腔内の状態などを総合的に見たうえで、安全かつ効果的な治療ができないと判断した場合です。

「目立たないから」「簡単そうだから」と選びたくなる気持ちは自然ですが、医師の判断には根拠があります。自分に合った矯正法を選ぶことが、最終的な満足度や治療成功につながるのです。

適応外のまま始めると起こり得る問題

インビザラインはマウスピース型の矯正装置で、比較的軽度な不正咬合に適しています。無理に適応外のケースで使用すると、治療が思うように進まず、結果として歯並びが悪化するリスクもあります。

適応外の症例で使うと、治療の失敗や後戻りのリスクがあります。

代表的なトラブル例

歯が動かない
→ マウスピースの力では歯が動きにくい症例もあります。

治療期間が延びる
→ 想定よりも長引き、再設計や再治療が必要になることも。

見た目の仕上がりが不満足
→ 特に前歯の見え方に違和感が残るケースがあります。

後戻りしやすい
→ 動かし方に無理があり、歯が元の位置に戻りやすい場合も。

これらの問題は、インビザラインが得意とする範囲を超えて使用された結果として起こります。無理な適応は患者さんにとっても大きなリスクです。

実際にあったインビザラインの「合わなかったケース」

合わなかったケース

インビザラインに期待して治療を始めたものの、途中で「やっぱりダメだった」と中断せざるを得なかった患者さんのケースも存在します。

期待して始めたのに中断せざるを得なかった患者さんもいます。

実例紹介

  1. 重度の叢生(ガタガタの歯並び)
    → マウスピースでは並べきれず、最終的にワイヤー矯正へ移行。
  2. 骨格的な不正咬合
    → 受け口や出っ歯の原因が骨格由来だったため、外科的矯正が必要に。
  3. マウスピースの装着時間が守れなかった
    → 1日20時間以上の装着が難しく、効果が出ずに治療断念。

このような体験談を通しても、適切な治療選択の重要性がわかります。

インビザラインが向いていない主な理由

歯科医師が「インビザラインは難しい」と判断するのには、いくつかの臨床的根拠があります。以下はその代表例です。

不向きな理由には歯並びや生活習慣、骨格の問題などがあります。

インビザラインが不向きな主なケース

重度の不正咬合
→ 奥歯の大きなズレや骨格の異常を伴うケース。

抜歯が必要な症例
→ 歯の移動距離が大きく、コントロールが難しい。

顎のズレや外科的処置が必要な場合
→ 骨格性の問題にはマウスピース矯正では限界があります。

装着時間の確保が難しい方
→ 1日20?22時間の装着が必須。自己管理が難しい方には不向き。

歯周病が進行している方
→ 歯を動かすことで歯槽骨への負担が大きくなります。

これらのケースでは、治療の精度や結果の安定性を考慮し、インビザライン以外の方法を勧められることがあります。

それでも矯正したい人への代替案とは?

インビザラインが適さない場合でも、他の矯正治療で理想の歯並びを目指すことは可能です。歯科医院では複数の治療法を提案してくれることが多いため、柔軟な選択肢を知っておくことが大切です。

インビザライン以外にも、効果的な治療法は複数あります。

主な代替案

  1. ワイヤー矯正
    → 幅広い症例に対応でき、精密な歯の移動が可能。
  2. 部分矯正
    → 前歯だけの軽度な調整で済むケースに適している。
  3. 外科的矯正(顎の手術を伴う)
    → 骨格性の不正咬合に対しては根本的な改善が見込める。

それぞれの治療にはメリット・デメリットがあるため、歯科医師としっかり相談して自分に合った方法を選ぶことが大切です。

まずは正確な診断を受けることが大切です

インビザラインが適しているかどうかは、レントゲンや口腔内写真、精密検査をもとに総合的に判断されます。見た目の問題だけでなく、噛み合わせや顎の動きなども診断に含まれます。

治療の適応可否は、専門的な診断が欠かせません。

診断で確認されるポイント

  1. 歯の重なり具合やねじれの程度
  2. 顎のズレの有無
  3. 歯周病や虫歯などの口腔内の健康状態
  4. 装着時間の自己管理が可能か

正確な診断を受けることで、「なぜダメなのか」の理由が明確になります。納得して治療法を選ぶためにも、カウンセリングを受けることをおすすめします。

まとめ

自分に合った治療法で後悔のない選択を

インビザラインは便利で見た目も良く、人気の矯正方法ですが、すべての患者さんに適しているわけではありません。「ダメ」と言われた理由をしっかり理解し、他の選択肢も検討することが大切です。

自分に合った治療法を見つけるためにも、まずは信頼できる歯科医院でしっかり診断を受け、納得のいく治療計画を立てましょう。

この記事の監修者
医療法人真摯会 梅田クローバー歯科クリニック
院長 久野 喬

2014年 松本歯科大学卒業卒業。日本障害者歯科学会 認定医。ACLS講習終了。日本口腔インプラント学会。日本小児歯科学会。日本接触嚥下リハビリテーション学会。

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梅田クローバー歯科クリニック

大阪矯正歯科グループ大阪インプラント総合クリニック