矯正歯科

矯正中にマウスピースを毎日洗う理由とは?

矯正中にマウスピースを毎日洗う理由とは?

梅田クローバー歯科クリニック 歯科医師 久野 喬

「ちょっとぐらい洗わなくても大丈夫だよね?」
「毎日なんて面倒くさいし、昨日は疲れてたから…」

そんな風に思いながら、1日ぐらいマウスピースの洗浄をサボったことはありませんか?

実は、それ たった1日のサボりが、あなたの口の中で小さな異変を引き起こしているかもしれません。

矯正治療中のマウスピースは、あなたの歯とともに1日中働き続けています。けれど、その間に目に見えない汚れがどんどん溜まり、気づかぬうちに 口の中の環境を悪化させる原因 になっているのです。

「そんな大げさな…」と思いますよね?
でも、例えば 1日放置したマウスピースを指で触ったときのぬるっとした感触 を思い出してください。あれこそが、あなたの歯の健康に悪影響を与える 細菌の温床 なのです。

「たった1日ぐらい…」と思ってしまう気持ち、とてもよくわかります。
でも、マウスピースを毎日洗うことには、ちゃんとした理由がある のです。

では、その理由を詳しく見ていきましょう。

マウスピースは毎食後に洗う必要がある

インビザライン

マウスピース型の矯正装置は、透明で取り外し可能なため、審美性と利便性に優れています。患者さんは1日の大半、約22時間以上の装着が推奨されており、食事や歯磨きの際に取り外します。

飲食の度に着脱しなければならないため、外食の後などにマウスピースを出先で洗えないという状況になることもあり、食べ物のカスや唾液が付着したまま、再度装着するということも起こります。そのため、洗えるタイミングで出来るだけきれいに洗う必要があります。

マウスピースを毎日洗うべき理由

1. 細菌の繁殖防止

お口の中には様々な細菌が存在し、マウスピースの表面にも付着します。洗浄を怠ると、これらの細菌が繁殖し、口腔内の健康を脅かす可能性があります。特に、マウスピースは湿度と温度が高い環境で使用するため、細菌の温床となりやすいです。

2. 口臭の予防

マウスピースに付着した食べ物のカスや細菌が分解されると、不快な臭いを発生させます。毎日の洗浄でこれらの原因物質を除去し、口臭の予防につながります。

3. 虫歯や歯周病のリスク軽減

きれいに洗っていないマウスピースは、歯垢の蓄積を助長し、虫歯や歯周病のリスクを高めます。そのため、矯正治療中はマウスピースの清潔さを保つことが重要です。

4. マウスピースの変色防止

マウスピースは透明で目立たないことが特徴ですが、きれいに洗わないと食べ物や飲み物の色素が付着して変色することがあります。毎日の洗浄で清潔さを保つことで、見た目の美しさを維持できます。

5. 矯正効果の維持

汚れたマウスピースは、歯に正しくフィットしなくなる可能性があります。その結果、矯正効果が減少し、治療期間の延長を招くことがあります。適切な洗浄でマウスピースの形状と機能を維持することが大切です。

洗わずに放置するとどうなる?

「1日ぐらい洗わなくても平気」と思っていても、 実は口の中ではすでに変化が始まっています。

  • 歯垢やバクテリアが増殖し、口臭が悪化する
  • 歯茎が炎症を起こし、歯周病のリスクが上がる
  • マウスピースが変色し、汚れが落ちにくくなる

このように、たった1日サボっただけで 思わぬトラブルの原因 になってしまうのです。

マウスピースの正しい洗浄方法

では、どうすればマウスピースを清潔に保てるのでしょうか?

毎日の基本ケア

  • 使用後は必ず流水でしっかりすすぐ・・取り外したマウスピースを流水で洗い、表面の汚れを落とします。
  • やわらかい歯ブラシで優しく磨く(研磨剤入りの歯磨き粉はNG)・・柔らかめの歯ブラシを使用し、優しく磨きます。歯磨き粉は研磨剤が含まれているため、使用を避けましょう。
  • 専用の洗浄剤を週に1~2回使用する・・定期的にマウスピース専用の洗浄剤を使用し、清潔に保ちます。
  • 乾燥させすぎず、適度な湿度で保管する

洗浄時の注意点

矯正用マウスピースを洗う時には、単に汚れを落とすだけでなく、性能と清潔さを保つ工夫が必要です。

1. 歯磨き粉は使用しない

  • 一般的な歯磨き粉には研磨剤が含まれており、マウスピースの表面に傷をつける可能性があります。
  • 小さな傷には細菌が入り込みやすくなり、洗浄の効果が減少します。
  • 歯磨き粉の代わりに、ぬるま湯と専用洗浄剤を使用することをおすすめします。

2. 熱湯を使わない

  • 熱湯で洗うと、マウスピースが変形する可能性があります。
  • 特にプラスチック素材のマウスピースは、温度変化に敏感です。必ずぬるま湯または水で洗浄してください。

3. 柔らかいブラシを使用する

  • 硬いブラシを使うと、表面が傷つく原因になります。柔らかめの歯ブラシやマウスピース専用のブラシを使いましょう。
  • 優しく磨くことで、表面の汚れを効率的に落とせます。
  • ゴシゴシ強く磨かないようにしましょう。

4. アルコールや漂白剤を使わない

  • 強い洗浄力を持つ化学薬品や漂白剤を使用すると、素材が劣化したり変色することがあります。
  • 専用の洗浄剤や、薬局で購入できる適切な製品を使用してください。

5. 洗浄後はしっかり乾燥させる

  • 洗浄後に濡れたまま保管すると、細菌やカビが繁殖しやすくなります。
  • 洗浄後は清潔な布やペーパータオルで水分を拭き取り、完全に乾燥させてから保管しましょう。

6. 専用ケースに保管する

  • マウスピースを裸のまま保管すると、空気中のホコリや雑菌が付着する可能性があります。
  • 洗浄後は清潔な専用ケースに保管し、ケース自体も定期的に洗うことが重要です。

7. 洗浄頻度を守る

  • マウスピースは基本的に毎日洗浄し、週に1~2回程度専用洗浄剤を使って念入りにケアすることが推奨されます。

8. 定期的にマウスピースをチェックする

  • 洗浄の際に、マウスピースの表面に亀裂や変形がないか確認しましょう。
  • 異常があれば、すぐに歯科医師に相談してください。適切なタイミングで交換が必要な場合もあります。

矯正用マウスピースは、毎日のケアによって清潔さと機能を保つことができます。洗浄時にはこれらの注意点を守り、マウスピースを快適に使用し続けることが大切です。

洗うのを怠った場合のリスク

マウスピースの洗浄を怠ると、以下のようなリスクが生じます。

カビが発生する

湿った環境で放置するとカビが生える可能性があります。

口臭が強くなる

細菌の繁殖により、口臭が強くなることがあります。

虫歯や歯周病が進行する

歯垢の蓄積により、虫歯や歯周病が進行するリスクが高まります。矯正中は特に歯磨きが難しいため、これらのリスクが顕著になります。

矯正治療の妨げになる

汚れたマウスピースは適切に歯にフィットしなくなり、矯正力が低下する可能性があります。その結果、治療の遅延や効果の低下につながることがあります。

見た目への影響

変色や汚れの蓄積により、マウスピースの透明性が失われ、審美的な問題が生じることもあります。これらの理由から、洗浄を怠ることは非常にリスクが高いといえます。

まとめ

「たった1日ぐらい…」と思ってしまうマウスピースの洗浄ですが、その 1日が積み重なると、口腔内に大きな影響を与える ことがわかりました。矯正治療を成功させるためにも、 毎日たった1分の洗浄習慣 を意識して、清潔なマウスピースを保ちましょう!

矯正中のマウスピースは、毎日のケアが欠かせません。毎日洗浄することは、以下のようなさまざまな理由から大変重要です。

  • 細菌の繁殖を防ぎ、お口の中の健康を維持する
  • 臭いや変色を予防し、見た目の美しさを保つ
  • 虫歯や歯周病のリスクを軽減する
  • 矯正治療の効果を最大限に引き出す

洗浄時には、適切な手順と注意点を守り、マウスピースを清潔に保ちましょう。

この記事の監修者
医療法人真摯会 梅田クローバー歯科クリニック
院長 久野 喬

2014年 松本歯科大学卒業卒業。日本障害者歯科学会 認定医。ACLS講習終了。日本口腔インプラント学会。日本小児歯科学会。日本接触嚥下リハビリテーション学会。

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梅田クローバー歯科クリニック

大阪矯正歯科グループ大阪インプラント総合クリニック