TCHは「噛み続け癖」と呼ばれることもあり、食事以外の時に無意識で長時間上下の歯を接触させ続ける癖のことをいいます。TCHのある人はインビザラインでのマウスピース矯正が可能かどうかについてご説明します。
TCH(上下歯列接触癖)とは?
TCHとは上下歯列接触癖のことで、上下の歯を無意識のうちに接触させる、つまり噛んでいる状態になる癖のことです。
日頃私たちの上下の歯は接触しておらず、僅かに隙間が空いている状態です。1日のうちに上下の歯が接触しているのはたったの20分ともいわれ、食事や間食の時以外は、上下の歯は離れた状態にあります。
ところが、TCH(上下歯列接触癖)の人は、無意識のうちに上下の歯を長時間噛んでしまいます。それによって歯や顎に負担がかかり、歯を傷めたり顎関節症を発症するリスクがあります。
歯が接触する癖の中には他に噛みしめや歯ぎしりがありますが、それらは長時間続くものではないため、TCHとは区別されています。
TCHがあってもインビザライン矯正は出来る?
インビザライン矯正はマウスピース矯正の一つで、透明なプラスチック製のマウスピースを7日~14日程度で付け替えて歯を動かして行きます。
TCH(上下歯列接触癖)がある人がインビザライン矯正での治療を行うと、下記のようなことが起こりやすくなり、治療の妨げとなります。
- マウスピースが破損するリスクが増える
- アタッチメント(装置)が外れやすくなる
- 奥歯の噛み合わせが悪くなる可能性がある
- 歯が動きにくくなる
担当医の判断によりますが、TCHの程度によってはインビザラインでの矯正ではなく、ワイヤー矯正をお勧めする場合もあります。
▼インビザラインについて詳しくはこちらで解説しています。
TCHを改善するためには
TCHを改善するために簡単に出来る方法がいくつかありますのでご紹介します。
- 頬の筋肉をリラックスさせる
- 上下の歯を離した状態でリラックスする
- とにかく自分自身で上下の歯を離しておくように気をつける
1. 頬の筋肉をリラックスさせる
頬を両手で軽く挟んで上下の歯を合わせると、頬の筋肉が動くのが感じられます。上下の歯を噛んでいるときには頬の筋肉を使っています。上下の歯が触れてTCHを行っている時には、頬の筋肉が動くことをまず認識します。
2. 上下の歯を離した状態でリラックスする
口を開けていても閉じていても、食事中以外は上下の歯と歯の間に隙間が空いています。いつも歯と歯を離すように意識して、リラックスした状態を保つようにしましょう。
3. とにかく自分自身で上下の歯を離しておくように気をつける
緊張したり集中したり俯いた時に起こりやすいのがTCHです。なるべく気をつけて上下の歯を接触させないようにしましょう。
TCHのセルフチェック
TCHがないか以下のセルフチェックで確認してみましょう。
- 姿勢を正しくして目を閉じ、上下の歯が触れていない状態にする
- この状態で口や顎に違和感を感じる場合、TCHの可能性あり
- また、そのまま5分程度維持出来なければ、TCHの可能性あり
リラックスした状態で上下の歯が触れ合っていない状態を保つことが出来れば、TCHの心配はなさそうです。
TCHを行いがちな場面
TCHはお口の癖ですので、無意識のうちに行っています。日常生活の様々な場面で上下の歯を接触してしまっていますが、なかなか気づきにくいという問題があります。
TCHを行ってしまいがちなのは以下のような時です。
- 仕事中
- スマートフォンやパソコンと使っている時
- 集中して料理をしている時
主に緊張している時、集中している時、俯いている時にTCHを行いがちになるようです。
まとめ
TCH(上下歯列接触癖)は無意識のうちに上下の歯を接触させる癖で、これにより歯や顎への負担が増えます。TCHがある場合、インビザライン矯正の効果に影響が出る可能性があるため、注意が求められます。治療前にTCHの有無を確認し、日常生活での癖の改善に努めることが大切です。