インプラント

インプラントが向かない人の特徴とは?

インプラントが向かない人の特徴とは?

インプラントは失った歯を補う優れた治療法ですが、実は、インプラント治療には適応条件があり、場合によっては他の治療法を選択した方が良いこともあります。インプラントが向かない人の特徴、後悔しないための判断基準をご説明します。

インプラントが向かない人の特徴

実は、インプラント治療には適応条件があり、また生活習慣や健康状態によって適さない場合があります。例えば、骨が足りない場合や、全身の健康状態に問題がある場合、治療の成功率が下がることがあります。インプラントを検討する際は、自分が適応しているのかをしっかり確認することが大切です。

1. 顎の骨が十分にない方

インプラントは顎の骨に人工歯根を埋め込む治療です。そのため、顎の骨が十分でない場合、インプラントの安定性が確保できません。

骨が足りないと起こるリスク

  • インプラントが固定されず、グラつく可能性がある。
  • 治療後の定着がうまくいかず、インプラントが脱落する可能性がある。
  • 骨の不足が原因で、見た目の仕上がりが悪くなることもある。

このようなリスクがあるため、顎の骨が不足している場合は、骨を増やす「骨造成術(GBR)」を併用することがあります。しかし、これには追加の手術や治療期間の延長が必要になります

どういう場合に顎の骨が足りないと診断されるのか

  • 歯周病の進行・・重度の歯周病により、歯を支える骨が溶けてしまうことがあります。
  • 長期間歯がない状態が続いた場合・・歯を失ってから時間が経過すると、顎の骨が自然に吸収され減少することがあります。
  • 骨の厚みが不足している場合・・顎の骨の幅や高さが足りず、インプラントが埋め込めないことがあります。
  • CT検査で骨量が足りないと診断された場合・・歯科医院でのCT撮影により、骨の密度や厚みが確認されます。

これらの要因によって、顎の骨が不足していると診断されることがあります。骨造成術を行えばインプラントが可能になる場合もありますので、歯科医と相談することが大切です。しかし、これには追加の手術や治療期間の延長が必要になります。

2. 重度の歯周病がある方

歯周病は歯を支える骨や歯茎を破壊する病気です。重度の歯周病が進行している場合、インプラントの安定性が損なわれる可能性があります。

歯周病がインプラントに及ぼす影響

  • 歯茎や骨が健康でないため、インプラントを埋めても炎症が起こりやすい。
  • 「インプラント周囲炎」を引き起こし、インプラントが抜け落ちることがある。
  • 治療後のメンテナンスが不十分だと、再発のリスクが高い。

インプラント治療を検討する前に、まず歯周病治療を行い、口腔内環境を整えることが大切です。

歯周病の治療をしてある程度改善すればインプラントは出来る?

歯周病が進行している場合、インプラント治療の成功率が低くなるため、まず適切な治療を受ける必要があります。しかし、歯周病治療によって炎症を抑え、歯茎と骨の状態が改善されれば、インプラント治療が可能になる場合があります。

  • 軽度〜中等度の歯周病・・適切な歯周病治療を受け、炎症をコントロールできれば、インプラントが可能になるケースが多い。
  • 重度の歯周病・・骨の吸収が進んでいる場合、骨造成術(GBR)や歯周組織再生療法を併用し、十分な土台を作る必要がある。
  • 歯科医の診断が重要・・インプラントの可否はCT検査などを通じて慎重に判断されるため、専門医に相談することが大切。

歯周病が改善すれば、インプラント治療の可能性は広がります。ただし、日常のメンテナンスや定期的な健診を継続することが、長期的な成功のカギとなります。

3. コントロールできない全身疾患をお持ちの方

インプラントは外科手術を伴うため、全身疾患がある場合は注意が必要です。

インプラント治療に影響を及ぼす疾患

  • 糖尿病:傷の治りが遅く、感染症のリスクが高まる。
  • 心疾患:抗血栓薬を服用している場合、手術中の出血リスクが高まる。
  • 骨粗しょう症:骨の密度が低く、インプラントの固定が難しくなる。

これらの疾患があっても、しっかりと医師と相談し、適切な管理ができていればインプラント治療が可能な場合もあります。

4. 喫煙習慣がある方

喫煙はインプラントの成功率を大きく下げる要因のひとつです。

喫煙がインプラントに与える影響

  • 血流が悪くなり、骨とインプラントの結合が妨げられる。
  • 免疫機能が低下し、術後の感染リスクが高まる。
  • インプラント周囲炎を引き起こしやすくなる。

インプラントを長持ちさせるためには、禁煙することが強く推奨されます。

どの程度減煙、禁煙すればインプラントは可能になる?

喫煙者の方がインプラント治療を受けるためには、可能な限り禁煙することが望ましいですが、完全に禁煙できない場合でも、以下のような対策を取ることで治療の成功率を向上させることができます。

  • 手術前の禁煙・・少なくとも1か月前から禁煙することで、血流が改善し、骨との結合がスムーズになります。
  • 術後の禁煙・・インプラントの骨結合が安定するまでの3〜6か月間は禁煙するのが理想的。
  • 減煙でも効果あり?・・完全に禁煙できなくても、喫煙量を大幅に減らすことでインプラントの成功率を上げることが可能。
  • 歯科医との相談・・禁煙サポートを受けながら治療を進めることも可能。

禁煙・減煙の程度によってインプラントの成功率が左右されるため、可能な範囲で禁煙に取り組むことが大切です。

5. 歯ぎしりや食いしばりの癖がある方

歯ぎしりや食いしばりの癖があると、インプラントに強い負荷がかかり、破損や脱落のリスクが高まります。

歯ぎしりのリスク

  • インプラントに過度な圧力がかかり、欠けたり割れたりする。
  • 骨とインプラントの結合が不十分になる。
  • 周囲の歯や顎関節にも悪影響を及ぼす。

この場合、ナイトガード(マウスピース)を使用することで、負担を軽減できることがあります。

6. インプラントのメンテナンスが難しい方

インプラントは一度埋め込めば終わりではなく、定期的なメンテナンスが必要です。

メンテナンスが不十分な場合のリスク

  • インプラント周囲炎が進行し、最終的にインプラントが脱落する。
  • 周囲の歯や歯茎にも悪影響を及ぼし、口腔全体の健康が損なわれる。
  • インプラントの寿命が短くなり、再治療が必要になる。

日頃の歯磨きや定期的な健診を怠ると、インプラントは長持ちしません。自分でしっかりケアできるかを考えることが重要です。

インプラントが向かない人の代替治療

インプラントが難しい場合でも、他の治療法を選択することで快適な噛み心地を得られます。

主な代替治療

  • ブリッジ・・隣接する歯を支えにして人工歯を固定する方法。
  • 部分入れ歯・・取り外し可能で、比較的手軽に使用できる。
  • 総入れ歯・・全ての歯が欠損している場合に使用。

それぞれの治療法にメリット・デメリットがあるため、歯科医と相談して最適な方法を選びましょう。

まとめ

インプラントは素晴らしい治療法ですが、すべての患者さんに適しているわけではありません。以下のような特徴に当てはまる方は、慎重に検討する必要があります。

 顎の骨が足りない → 骨造成術が必要な場合がある
 重度の歯周病がある → まず歯周病治療を行う必要がある
 糖尿病や心疾患などの持病がある → 医師と相談が必要
 喫煙習慣がある → 禁煙しないと成功率が低下する
 歯ぎしりや食いしばりがある → ナイトガードで対策が必要
 メンテナンスを継続できない → 定期的な健診とケアが必須

インプラント治療を考える際は、歯科医としっかり相談し、ご自身に合った方法を選ぶことが大切です。もし迷われている場合は、専門医に相談し、適切なアドバイスを受けてくださいね。

この記事の監修者
医療法人真摯会 梅田クローバー歯科クリニック
院長 久野 喬

2014年 松本歯科大学卒業卒業。日本障害者歯科学会 認定医。ACLS講習終了。日本口腔インプラント学会。日本小児歯科学会。日本接触嚥下リハビリテーション学会。

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梅田クローバー歯科クリニック

大阪矯正歯科グループ大阪インプラント総合クリニック