インプラント

インプラントの治療費を判断するためのポイントとは?

インプラントの治療費を判断するためのポイント

梅田クローバー歯科クリニック 歯科医師 久野 喬

「ずっと美味しく食事を楽しみたい」「自然な笑顔を取り戻したい」——そんな願いを叶えるためにインプラントを考えているけれど…、いざ調べてみると治療費の違いに驚いたことはありませんか?

歯を失ってしまったとき、多くの人が「どうすれば元の生活に戻れるのか」と悩みます。ブリッジや入れ歯などの選択肢もある中で、 「自分の歯のように噛める」 という魅力から、インプラントに興味を持つ方は少なくありません。

でも、気になるのは 「費用」 のこと。「どうしてこんなに価格が違うの?」「安いものと高いもの、何が違うの?」そんな疑問や不安を抱えるのは当然です。

実は、インプラントの治療費には さまざまな要素 が影響しています。決して「安いから悪い」「高いから良い」ではなく、大切なのは 納得できる選択をすること。

このコラムでは、インプラント治療の費用を判断するための 大事なポイント をわかりやすくお伝えします。あなたが 「自分にとって最適な治療」 を選べるように、一緒に考えていきましょう。

インプラント治療の費用を決める要因

インプラントの費用は一律ではなく、 さまざまな要因 によって異なります。ここでは、主な要因を解説します。

1. インプラントの種類とメーカー

世界的に信頼されているメーカーのものは、 長期的な耐久性が高く、成功率も安定 しています。

一方、価格を抑えたインプラントは、 耐久性やサポート体制に不安がある場合も あります。

インプラントメーカーには国内外さまざまなものがありますが、品質基準や研究実績が異なります。実績のあるメーカーのものは、長年の臨床データに基づき、成功率が高いとされています。

さらに、メーカーによって使用されるチタンの純度や加工技術にも違いがあり、骨との結合性に影響を与えます。

2. 手術の難易度と追加処置

骨の状態 によっては、骨造成(骨を補う処置)が必要になることがあります。
精密機器の使用(3D画像診断やサージカルガイド)により、手術の安全性が向上することも。

骨が十分にある場合は比較的シンプルな手術となりますが、骨が不足している場合は ソケットリフトやサイナスリフト などの追加処置が必要になり、その分費用が加算されます。

また、歯周病や虫歯の治療が必要な場合、それらを事前に治療してからインプラント手術を行うため、最終的な費用が高くなることがあります。

3. 医師の技術と設備

経験豊富な専門医 による手術は、成功率が高く、安全性も確保されやすい。
最新の設備が整っているかどうかも、手術の精度や術後のケアに影響を与えます。

手術を行う医師の技術力は、インプラントの成功率を大きく左右します。経験豊富な歯科医師は、複雑な症例にも対応できるため、治療の選択肢が広がります。

また、クリニックの設備も重要です。 CTスキャンを完備しているか、滅菌環境が整っているか、手術室があるか などの要素によって、治療の精度や安全性が大きく変わります。

4. アフターケアと保証制度

インプラントは 術後のメンテナンスが重要 です。

保証期間やメンテナンスの充実度を確認しましょう。

インプラントは装着して終わりではなく、 定期的なメンテナンスが必要不可欠 です。適切なケアを怠ると、周囲炎(インプラント周囲炎)を引き起こし、最悪の場合はインプラントの脱落につながることもあります。

そのため、治療後の定期検診をしっかり行ってくれる歯科医院を選ぶことが大切です。

クリニックによっては 5年保証・10年保証 などの制度を設けているところもあり、長期間にわたり安心して治療を受けられる環境が整っているかを確認しましょう。

費用だけで選ばない!大切なチェックポイント

インプラントの費用

1.インプラントの費用計算の明細を知る

インプラント治療を受けた方の中には、 「安さだけで選んで後悔した」 という声もあります。以下のポイントを意識しましょう。

最初にインプラント治療にかかる費用明細を知ってください。費用明細を知ることで、医院から提示された見積りが妥当かどうか判断することができます。

具体的には、インプラント治療に使われる用語を知っておかれるとわかりやすいと思います。

「この価格には何が含まれているのか?」をしっかり確認する。

手術費・インプラント体・アバットメント・上部構造・メンテナンス費用 などが含まれているかを比較する。

インプラントの構造

2.価格が「一式」でなく、明細が提示されているかどうか?

価格を一式で出す医院にはご注意ください。インプラント治療はどんな方法で何を使うのかが分かれば妥当な価格は自ずと決まってきます。一式で提示するということは水増ししている可能性もあるということです。

3.インプラントの価格表を公開しているか?


一番信頼できるのは、価格表を公開している場合です。この方法でなら幾らと、予め決まっているわけですから、余計な費用を請求されることはありません。

今すぐにでも確認できるのは、「ホームページに価格表が掲載されているか」です。インプラント治療を受けたい医院が既にいくつか絞られている場合は、すぐにその医院のホームページを見て、インプラントの価格表がサイトに載っているかどうかをみて下さい。

ただし実際にインプラント治療にかかる費用は、患者さんお一人おひとりの歯や骨の状態によって違います。必要なインプラントの本数や、骨造成が必要かどうかによってかなり費用が変わってきます。また、静脈内鎮静などの特別な麻酔を使うかどうかなど、担当医の意見を聞かなければわからない部分は多くあります。

そのため、価格表はあくまでも参考価格と思ってご覧になってください。

4.インプラント治療費の支払方法は?分割可能か?

分割払い

インプラントは高額な治療費がかかりますので、歯科医院では支払い方法に様々な分割プランをご用意しているのが普通です。カード払いは出来るのか、分割払いの場合は何回まで可能か、金利手数料はどの位かかるのか、などの支払いのための条件も歯科医院によって様々です。

なるべくなら、金利手数料の安い独自の分割プランを持っていたり、支払い回数の幅が広かったりなど、患者さんにとっての払いやすさや余裕のある支払いを考えた支払い方法のオプションのある歯科医院を選びましょう。

5. アフターケアの重要性を知る

メンテナンスを怠ると、せっかくのインプラントが台無しに なることも。

長期的に通えるクリニックを選び、定期検診を受けられるかをチェック。

6. 自分に合った選択をする

「価格」だけでなく、「安心・安全・信頼性」を基準にする。

治療後の生活や満足度を考えて選択する。

保険適用の有無と医療費控除について

インプラント治療は基本的に 自由診療 ですが、ケースによっては 医療費控除 の対象になります。この情報を加えることで、費用の負担軽減について読者に役立つ情報を提供できます。

医療費控除とは?
 → 1年間に支払った医療費が 一定額を超えると、確定申告で所得税の還付が受けられる 。

インプラントは医療費控除の対象になる?
 → ほとんどのケースで適用可能だが、美容目的では対象外となることも。

控除を受けるためのポイント
 → 領収書を保管し、治療費の詳細が分かるようにしておく。

インプラント以外の治療法との比較

歯を失った場合の治療には、インプラント以外に入れ歯、ブリッジがあります。それぞれの治療法の特徴を比較すると、どれがご自身に合った治療なのかの判断基準になります。

治療法 メリット デメリット
インプラント 天然歯のような噛み心地・耐久性が高い 費用が高め・手術が必要
ブリッジ 比較的安価・治療期間が短い 健康な歯を削る必要がある
入れ歯 取り外し可能・安価 違和感がある・噛む力が低下

まとめ

第二の永久歯と言われているインプラント治療は、治療費が高額になる為、中々手がでなくて悩んでる方もおられると思います。そういった方に安心して治療していただくためにも、インプラントの治療費が妥当な額であるかどうかを判断出来るよう、いくつかのポイントをご紹介しました。

治療費の総額は医院によって違いますので、まずはインプラントの初診カウンセリングをお受けになり、治療費の提示を受けて、その内容を念入りに確認して検討し、実際に治療を受けるかどうかをお決め頂きたいと思います。

この記事の監修者
医療法人真摯会 梅田クローバー歯科クリニック
院長 久野 喬

2014年 松本歯科大学卒業卒業。日本障害者歯科学会 認定医。ACLS講習終了。日本口腔インプラント学会。日本小児歯科学会。日本接触嚥下リハビリテーション学会。

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梅田クローバー歯科クリニック

大阪矯正歯科グループ大阪インプラント総合クリニック