
骨粗鬆症でもインプラントは出来る?
骨粗鬆症の方でもインプラントは可能ですが、骨の質や服用中の薬によっては注意が必要です。
この記事はこんな方に向いています
- 骨粗鬆症の診断を受けていて、インプラント治療を検討している方
- 骨粗鬆症の薬を飲んでいるが、歯を失った後の治療方法に迷っている方
- 自分の状態でインプラントができるか不安を抱えている方
この記事を読むとわかること
- 骨粗鬆症とインプラントがどう関係するのか
- 骨粗鬆症の薬がインプラントに与える影響
- 治療前に知っておきたい注意点と対策
- 骨粗鬆症でも安心して治療を受けるための工夫
目次
骨粗鬆症でもインプラントはできるの?

骨粗鬆症の方でもインプラントは可能です。ただし骨の密度が低下しているため、治療計画や治癒の進み方に注意が必要です。医師の判断で適切な準備をすれば成功するケースも多くあります。
骨粗鬆症でも条件を満たせばインプラントは可能です。
インプラントはあごの骨に人工歯根を埋め込む治療です。骨粗鬆症では骨がもろくなるため「手術できないのでは?」と心配される方も多いですが、必ずしも不可能ではありません。近年は治療技術の進歩により、骨粗鬆症の方でも安全にインプラントを受けられるケースが増えています。
なぜ骨粗鬆症がインプラントに影響するの?
骨粗鬆症では骨密度が低下し、インプラントと骨が結合しにくくなる可能性があります。特に初期の安定性が不足すると、治療結果に影響が出ることがあります。
骨粗鬆症は骨の質が低下し、インプラントとの結合に影響を与えることがあります。
- 骨粗鬆症は骨がスカスカになり、折れやすくなる病気。
- あごの骨も例外ではなく、骨が弱いとインプラントが安定しにくい。
- 骨結合(オッセオインテグレーション)がスムーズに進みにくい場合がある。
骨粗鬆症によって骨の質が下がると、インプラントがしっかり固定されるまでに時間がかかることがあります。ただし全員が失敗するわけではなく、骨量や治療計画の工夫で成功例も多いです。
骨粗鬆症の薬はインプラントにどんな関係があるの?
骨粗鬆症の薬、とくにビスフォスフォネート製剤は、まれに「顎骨壊死」という副作用を起こすことがあり、インプラント治療に注意が必要です。薬の種類や服用期間によってリスクは異なります。
骨粗鬆症の薬はインプラント治療に影響を与える場合があるため要注意です。
- ビスフォスフォネート製剤 → 骨を壊す細胞を抑える薬。長期使用であごの骨の治癒が遅れることがある。
- デノスマブ(抗RANKL抗体薬) → 骨吸収を抑える薬。休薬のタイミングに注意が必要。
- カルシトニン製剤やビタミンD製剤 → 比較的リスクが少ない薬。
骨粗鬆症の薬とインプラントの関係
薬の種類 | 作用 | インプラントへの注意点 |
---|---|---|
ビスフォスフォネート製剤 | 骨吸収を抑える | 長期服用で顎骨壊死のリスク |
デノスマブ | 骨吸収抑制 | 休薬時期を歯科医と相談 |
カルシトニン製剤 | 骨代謝の調整 | 比較的リスクは低い |
ビタミンD製剤 | 骨の代謝を助ける | サポート的な役割 |
骨粗鬆症の薬は骨の治癒や血流に影響するため、インプラント手術のリスクを上げることがあります。必ず薬の種類や服用状況を歯科医師に伝えることが大切です。
骨粗鬆症の有無とインプラント治療
項目 | 骨粗鬆症がない場合 | 骨粗鬆症がある場合 |
---|---|---|
骨の質 | 骨密度が安定しており結合しやすい | 骨がもろく結合に時間がかかることも |
手術のリスク | 一般的なリスクのみ | 骨吸収抑制薬使用時に顎骨壊死リスクあり |
治療計画 | 標準的なインプラント手術で可能 | 骨造成・再生療法の検討が必要になることも |
治癒の経過 | 比較的スムーズ | 治癒が遅れる可能性がある |
アフターケア | 定期健診が重要 | より頻度高く経過観察が必要 |
骨粗鬆症があっても工夫次第で治療は可能
骨粗鬆症の方がインプラントを検討するときの注意点は?
骨粗鬆症の方は事前の全身管理が重要です。内科と歯科が連携し、服薬内容・骨の状態を確認したうえで治療計画を立てることが大切です。
事前の相談と検査でリスクを把握することが大切です。
- 内科主治医と歯科医師の情報共有を行う。
- 骨密度検査や血液検査で全身状態を把握する。
- 必要に応じて休薬のタイミングを検討する。
- 骨補填材や再生療法を組み合わせる場合もある。
骨粗鬆症の方にとって、インプラント治療は「骨の状態を見極めて進める」ことが成功のカギです。準備をしっかり行えばリスクは最小限にできます。
骨粗鬆症の方でもインプラントを成功させる工夫はある?
骨の質が低くても、インプラントの種類や手術法を工夫することで成功率を高められます。たとえば短いインプラントや骨造成を併用する方法です。
手術法や材料の工夫で成功率を高められます。
- 短いインプラント → 骨の高さが少なくても埋入可能。
- 斜めに埋入する方法 → 骨のある部分を利用して安定させる。
- 骨造成や再生療法 → 骨量が少ない部分に骨を増やす。
- 即時荷重を避ける → 時間をかけて骨と結合させる。
インプラントの方法は1つではありません。骨粗鬆症の方にはリスクを考慮した上で最適な方法を選び、慎重に進めることが成功の秘訣です。
定期的な健診は骨粗鬆症の方にとっても重要?
インプラント治療後は、骨粗鬆症の方に限らずすべての患者さんに定期健診が必要です。特に骨粗鬆症の方は骨の変化に注意するため、歯科での継続的なチェックが欠かせません。
骨粗鬆症の方は特に定期健診が大切です。
- 治療後はインプラント周囲炎の予防が最重要。
- 歯垢や噛み合わせの管理を徹底する。
- 骨の変化を長期的に確認する必要がある。
骨粗鬆症の方は骨の代謝が不安定になりやすいため、定期健診による早期発見・早期対応が治療の長期安定につながります。
骨粗しょう症予防のヒント

1. 栄養バランスを意識する
- カルシウム → 骨の材料。牛乳・小魚・小松菜などに多い。
- ビタミンD → カルシウムの吸収を助ける。魚、きのこ類、日光浴で補える。
- ビタミンK → 骨の形成をサポート。納豆や青菜に多く含まれる。
栄養は「骨の材料+吸収+強化」のセットで考えると効果的
2. 適度な運動を取り入れる
- ウォーキングやジョギング → 骨に刺激を与え、強くする。
- 筋トレやストレッチ → 筋力をつけて転倒防止にもつながる。
毎日少しでも「骨に負荷をかける動き」をすることが大切。
3. 生活習慣を見直す
- 禁煙 → 喫煙は骨の血流やホルモンに悪影響。
- お酒はほどほどに → アルコールの過剰摂取はカルシウムの吸収を妨げる。
- 適正体重を維持 → やせすぎは骨量低下のリスクになる。
骨は全身の生活習慣の影響を大きく受けます
4. 定期的に健診を受ける
- 骨密度検査で自分の骨の状態をチェックできる。
- 早めに変化を知れば、予防策を強化できる。
「気づいたときにもう進行していた」を避けるために定期健診は欠かせない。
骨粗しょう症の予防には、
- 栄養(カルシウム・ビタミンD・ビタミンK)
- 運動(骨や筋肉への刺激)
- 生活習慣(禁煙・節酒・体重管理)
- 定期健診
この4つを柱にするのがポイント。
毎日のちょっとした習慣が、骨を丈夫な状態にキープします。
まとめ

骨粗鬆症とインプラントには深い関係がありますが、「骨粗鬆症だからできない」とは限りません。薬の影響や骨の状態をしっかり確認し、医科歯科連携のもとで計画を立てれば、安全に治療できる可能性は十分にあります。
インプラントを検討している骨粗鬆症の方は、まず歯科医師に相談し、自分に合った治療計画を立てましょう。