矯正歯科

部分矯正の治療期間はどのくらい?平均的な目安と注意点

部分矯正の治療期間はどのくらい?

梅田クローバー歯科クリニック 歯科医師 久野 喬

部分矯正の治療期間はどれくらいかかる?

平均的には6か月〜1年程度が目安ですが、症例や目的によって差があります。

矯正治療は「時間がかかる」というイメージをお持ちの方も多いですが、前歯など一部だけを整える部分矯正なら、比較的短い期間で治療が完了するケースがあります。この記事では、部分矯正の治療期間の平均的な目安や、期間に影響する要素をわかりやすく解説します。

この記事はこんな方に向いています

  • 前歯のがたつきやすき間を短期間で整えたい方
  • 部分矯正を検討しているが、治療期間がどれくらいかかるか気になる方
  • 結婚式や就職活動など、イベントまでに歯並びを改善したい方

この記事を読むとわかること

  1. 部分矯正の平均的な治療期間の目安
  2. 治療期間が長くなる場合と短くなる場合の違い
  3. 部分矯正でできること・できないこと
  4. 治療をスムーズに進めるためのコツ

 

部分矯正の治療期間はどれくらい?平均的な目安を知りたい

部分矯正の治療期間

部分矯正は、前歯の軽い不正咬合やすき間を整えるために行われる治療で、全体矯正に比べて短期間で終わる傾向があります。一般的には6か月〜1年程度が目安ですが、症例によっては3か月ほどで終了することもあれば、反対に1年半ほどかかる場合もあります。

使用する装置(ワイヤー矯正かマウスピース矯正か)や、治療のゴール設定(見た目だけ整えるのか、かみ合わせまで改善するのか)によっても期間は変動します。そのため、あくまでも「平均的な目安」と捉え、自分の症例については歯科医師にしっかり確認することが大切です。

平均は6か月〜1年ですが、症例により差があります。

部分矯正の治療期間の平均的な目安

症例のタイプ 平均的な治療期間の目安 特徴・ポイント
前歯のすき間を閉じる(軽度) 約3〜6か月 動かす距離が短く、短期間で整うことが多い
前歯の軽度のねじれ・傾き 約6か月〜1年 部分矯正でよく行われる症例、ワイヤー・マウスピースとも対応可能
奥歯を含む調整やスペース不足がある場合 約1年〜1年半 歯を削る・抜歯が必要なことがあり、工程が増える
骨格性の問題を伴うケース 部分矯正では不適応 全体矯正や外科的処置が必要になることがある

なぜ部分矯正は短期間で終わることが多いの?

部分矯正は、歯全体を動かす全体矯正とは異なり、前歯や一部の歯に限定して治療を行います。そのため、動かす歯の本数が少なく、移動距離も短い傾向があります。その結果、歯の移動にかかる時間が少なく済み、全体矯正に比べて短期間で治療が完了するのです。

また、部分矯正では「見た目を整えること」を目的とするケースが多く、噛み合わせ全体の大規模な改善を行わないことも、治療期間が短くなる理由のひとつです。ただし、短期間で終わることはメリットである一方、適応症例が限られる点には注意が必要です。

動かす歯が少なく距離が短いから、治療期間が短縮できるのです。

  1. 前歯のすき間を閉じる場合 → 数か月で改善できるケースがある
  2. 軽度のねじれや傾きを整える場合 → 半年〜1年程度が一般的
  3. 奥歯まで含める複雑な症例 → 1年以上かかることもある

部分矯正は「範囲が限られるから早い」という特徴がありますが、すべての症例に当てはまるわけではありません。

部分矯正の治療期間が延びるのはどんなケース?

部分矯正であっても、すべてのケースが短期間で終わるわけではありません。歯並びの乱れが強く、移動させる距離が大きい場合や、かみ合わせのバランスを調整する必要がある場合には、治療期間が延びることがあります。

また、歯を移動させるためのスペースが不足している場合には、歯を少し削る「ディスキング」や場合によっては抜歯を行うことがあり、これによって治療工程が増えて期間が長くなります。

さらに、マウスピース矯正では患者さんが指示通りに装着時間を守らないと、計画通りに歯が動かず治療が延長されることもあります。こうした要因が重なると、部分矯正でも1年以上かかるケースが珍しくありません。

歯の移動が複雑になると、部分矯正でも長期間必要です。

  1. 歯並びの乱れが強い → 歯を大きく動かす必要がある
  2. スペース不足 → 歯を動かす前に削合や抜歯が必要なこともある
  3. かみ合わせを調整する必要がある → 部分矯正だけでは完了しない場合がある
  4. 装置の使用時間が守られない → マウスピース矯正で装着時間が短いと期間が延びる

治療期間は「症例の難易度」や「患者さんの協力」によって左右されることを理解しておくと安心です。

部分矯正でできること・できないこととは?

部分矯正は、軽度の歯並びの乱れや前歯のすき間の改善には効果的で、短期間で整った見た目を手に入れることができます。しかし、奥歯を含む大きなかみ合わせの改善や、骨格に起因する不正咬合には対応できない場合が多いです。

治療の対象となる歯が限られているため、「前歯の軽いがたつきを整える」「すき間を閉じる」などの比較的シンプルな目的には向いていますが、全体の噛み合わせの改善まで望む場合には全体矯正が必要になります。治療期間の目安を知る際には、自分の症例が部分矯正で適応できるかを歯科医師と相談することが重要です。

軽度の不正咬合には有効ですが、重度の症例には不向きです。

できること

  • 前歯の軽度のがたつき改善
  • 前歯のすき間を閉じる
  • 軽い傾きやねじれの修正

できないこと

  • 奥歯の大きなズレや噛み合わせの調整
  • 骨格に起因する不正咬合の改善
  • 大きな歯列全体の拡大

部分矯正は「軽い歯並びの悩みを短期間で改善したい方」に向いていますが、万能ではありません。

治療期間を短くするために患者さんができる工夫は?

部分矯正の治療期間は、患者さん自身の協力度によって大きく左右されます。特にマウスピース矯正では、1日20時間以上の装着が推奨されますが、この装着時間を守らなければ歯は予定通りに動かず、治療が長引いてしまいます。ワイヤー矯正の場合でも、装置が壊れたり外れたりすれば治療のスケジュールに遅れが出ます。

また、通院を定期的に行わず調整が滞れば、その分治療は延びてしまいます。さらに、歯垢がたまって虫歯や歯周病が起これば、治療を中断せざるを得ないこともあります。つまり、治療を予定通りに進めるためには、患者さん自身が日常生活の中で意識を持ち、協力することが欠かせません。

協力度で治療期間が短縮できます。

  1. 装着時間を守る → マウスピース矯正は1日20時間以上が基本
  2. 食生活に注意 → 硬いものを避けて装置の破損を防ぐ
  3. 通院を欠かさない → 調整が遅れると治療も遅れる
  4. 歯磨きを丁寧に行う → 歯垢がたまると虫歯や歯周病で中断する可能性がある

矯正治療は歯科医師任せではなく、患者さんの協力によってスムーズさが大きく変わります。

部分矯正を検討するときに知っておきたい注意点は?

部分矯正は、短期間で見た目を整えられるメリットがありますが、その適応範囲には限界があります。前歯の軽度の不正咬合やすき間などには向いていますが、奥歯の噛み合わせや顎の骨格に関わる問題には対応できないことが多いため、治療前に十分な診断と説明を受けることが不可欠です。

また、治療後には歯並びの「後戻り」を防ぐために、リテーナーを一定期間装着する必要があります。見た目を短期間で改善できる点に目を向けがちですが、長期的な安定性を確保するためには、治療後の保定やかみ合わせの調和を考えることがとても大切です。

適応範囲を理解し、無理のない計画を立てることが重要です。

  1. 適応範囲を確認する → 無理に部分矯正を行うと後悔につながる
  2. かみ合わせも考慮する → 見た目だけ整えても機能に問題が出る可能性あり
  3. 治療後の保定が必要 → 後戻り防止のためリテーナーを装着する期間が必要

部分矯正は「短期間で見た目を整える治療」ですが、長期的に安定させるには慎重な診断と計画が欠かせません。

まとめ

部分矯正の治療期間は平均6か月〜1年、早めに相談することが大切

部分矯正の治療期間は平均して6か月〜1年程度ですが、症例の難易度や使用する装置、患者さんの協力度などによって大きく変わります。短期間で効果を出しやすい反面、適応できる症例が限られるため、希望通りの治療ができるかどうかは専門的な診断が欠かせません。

イベントまでに歯並びを整えたいと考えている方や、短期間で改善を目指したい方は、まず早めに歯科医院で相談することが重要です。自分の症例に合った治療方法と現実的な期間を把握することで、安心して矯正治療に取り組むことができます。

平均は6か月〜1年。相談は早めに。

この記事の監修者
医療法人真摯会 梅田クローバー歯科クリニック
院長 久野 喬

2014年 松本歯科大学卒業卒業。日本障害者歯科学会 認定医。ACLS講習終了。日本口腔インプラント学会。日本小児歯科学会。日本接触嚥下リハビリテーション学会。

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梅田クローバー歯科クリニック

大阪矯正歯科グループ大阪インプラント総合クリニック

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