
高齢になると歯が抜けてしまうと思っておられませんか?高齢の方の歯が抜ける原因の多くは歯周病によるものです。80歳で20本の歯を残すことを目指す8020運動についてもご説明します。
目次
日本人の平均寿命と歯の寿命
日本人の平均寿命は世界で最高の水準で、女性86歳、男性79歳ですが、歯の寿命となると事情は全く違ってきます。
早い方では30代後半から残存歯数が減り始め、80歳を超えると残存歯は9本以下になってしまいます。
永久歯は上下28本ありますが、80歳以上の方はその3分の2以上の歯を失っているということになります。
歯が抜けるのは老化現象のせい?

歯を失う原因の殆どが「虫歯」と「歯周病」です。従来は日本人は虫歯で歯を失う人が多かったのですが、近年は高齢者の方は歯周病で歯を失うケースが増えてきました。
わが国では、成人の8割以上が歯周病にかかっているといわれているため、高齢になる前に歯周病の予防や治療を行っていくことが今後大切になります。
歯肉炎が悪化すると歯周病へ移行し、歯を失うレベルまで悪化する
歯周病は初期段階の歯肉炎であれば回復の余地がありますが、歯周炎に進行してしまうと回復が困難になります。
歯肉炎から歯周炎へ移行してしまった人の割合を見ると、45歳以上では3割以上にものぼります。
歯周病は自覚症状があまりない状態で進行していき、そのまま何の処置もしないとやがて歯がグラグラになって抜けてしまいます。つまり、歯が抜けるのが老化現象などではなく、歯周病のせいです。
歯周病を予防するには、歯肉炎から歯周病になる前に、歯の定期健診を受けて治療や予防を行っておくことが重要です。
80歳で20本の歯を残す8020運動について
中高年の方が歯を失う大きな原因は歯周病であることがわかっています。歯周病を防ぎ、生涯自分の歯で噛むことを目指して、厚生労働省は2000年より「健康日本21」という国民健康づくり運動を推進しています。
この運動では、壮年期死亡の減少、健康寿命の延伸、QOL(クオリティーオブライフ=生活の質)の向上を目的とした9分野について目標や対策を設定しています。
歯科保健の分野では、1992年から「8020 (ハチマルニイマル)運動」が推進されてきました。
8020運動とは、生涯にわたって健全な咀嚼能力を維持し、健やかで楽しい生活を送るために、80歳で自分の歯を20本以上残すことを目指そうという運動です。
8020運動の実現に向けての目標
8020運動で「80歳で20本の歯を維持する」取り組みの実現に向けて、歯医者での定期健診や歯石除去、専門的な器械を用いたクリーニングなど、虫歯と歯周病の予防についてのいくつかの目標が設定されています。
現時点での80歳以上での平均残存歯数は9本以下と、目標からはまだまだ遠いということは、歯のメンテナンスがまだまだ不足しているということでしょう。。
予防歯科医療の先進国と言われるスウェーデンやオランダでは、定期的に歯のメンテナンスを国民に義務づけてきました。その結果、80歳で平均25本の歯が残っている状態になったとのことです。
老化現象で歯が抜けることはあるかに関するQ&A
はい、老化現象によって歯が抜けることはあります。高齢になると、歯の寿命が短くなり、歯周組織や歯の支持組織の退行が進むため、歯が抜けやすくなります。
日本人の平均寿命は世界で最高水準であり、女性は86歳、男性は79歳です。しかし、歯の寿命に関しては異なります。早い段階から歯の数が減少し、80歳以上では残存歯が9本以下になることが一般的です。
歯を失う主な原因は「虫歯」と「歯周病」です。以前は虫歯が主な原因でしたが、最近では高齢者の中では歯周病による歯の喪失が増えています。
まとめ
高齢者にとって歯を失う第一の原因は歯周病です。歯周病の予防が重要であることと関連して、80歳で20本の歯を残すことを目標とした8020運動についてもご説明しました。