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静脈内鎮静法ってどんな麻酔?

静脈内鎮静法ってどんな麻酔?

「歯科治療が怖い…」「麻酔をしても緊張してしまう…」そんな不安を抱えている患者さんは、意外と多いのではないでしょうか?特に、インプラントや親知らずの抜歯などの大がかりな治療は、想像するだけで気が重くなってしまうかもしれませんね。

そんな方におすすめなのが、静脈内鎮静法という麻酔方法です。この方法を使うと、ウトウトとしたリラックス状態で治療を受けられ、「気がついたら終わっていた!」という感覚になる方も多いです。歯科治療の恐怖やストレスを大幅に軽減できるのが大きな特徴です。

では、静脈内鎮静法とは具体的にどのようなものなのでしょうか?メリットや注意点、全身麻酔との違いなどをご説明していきます!

静脈内鎮静法とは?どんな麻酔なのか

静脈内鎮静法とは、点滴を使って鎮静薬を体内に投与し、ウトウトとしたリラックス状態で治療を受けられる麻酔の一種です。全身麻酔のように完全に意識を失うわけではなく、治療中の会話も可能ですが、治療の記憶が曖昧になることが多いため、精神的な負担が軽減されます。

静脈内鎮静法の特徴

  • リラックスした状態で治療を受けられる
  • 治療の記憶がほとんど残らないことが多い
  • 全身麻酔とは異なり、意識はある
  • 投与する薬の量を調整できる
  • 術後の回復が比較的早い

このように、静脈内鎮静法は特に不安を感じやすい患者さんにとって、安心して治療を受けるための方法と言えるでしょう。

メリットとデメリット

どんな麻酔方法にも、メリットとデメリットがあります。静脈内鎮静法の特徴を理解して、ご自身に合った方法を選びましょう。

メリット

恐怖心や不安を和らげられる → 歯科治療に対する恐怖心が強い方でも、安心して治療を受けられます。
治療中の記憶が曖昧になる → 「気がついたら治療が終わっていた」という感覚になることが多く、ストレスを感じにくいです。
治療時間が短く感じる → リラックスした状態なので、治療の時間が短く感じられます。
嘔吐反射が強い方でも安心 → 嘔吐反射(口の中に器具を入れるとオエッとなる反応)が強い方にも有効です。

デメリット

麻酔が完全に覚めるまで時間がかかる → 治療後はしばらく安静が必要で、当日は車の運転ができません。
費用がかかる → 保険適用外のケースが多いため、通常の治療よりも高額になる場合があります。
すべての歯科医院で対応しているわけではない → 静脈内鎮静法を導入している歯科医院は限られており、事前に確認が必要です。

静脈内鎮静法は、精神的な負担を軽減できる一方で、デメリットもあるため、事前に十分に理解しておくことが大切です。

静脈内鎮静法が向いているのはどんな人?

静脈内鎮静法は、歯科治療への不安やストレスを和らげるための方法です。インプラントの埋入本数が多い場合や、とても怖がりな方がインプラント治療を受ける場合に用いることが多いです。以下のような方は、静脈内鎮静法を利用することで、より快適に治療を受けられる可能性があります。

1. 歯科治療に対して強い恐怖心がある方

「歯医者さんに行くだけで緊張してしまう」「治療中の音や振動が怖くて耐えられない」といった経験がある方には、静脈内鎮静法が適しています。

歯科恐怖症の方

  • 過去に痛みの強い治療を経験し、それがトラウマになっている。
  • 治療中の音や振動が怖くて、リラックスできない。
  • 麻酔が効いていても、恐怖心で体がこわばってしまう。

このような方にとって、静脈内鎮静法はまさに「救いの麻酔」です。鎮静薬の効果で自然にリラックスした状態になるため、「気づいたら終わっていた」と感じることが多く、過度な緊張やストレスを感じることなく治療を受けられます。

2. 嘔吐反射が強い方

歯科治療中に、器具が口の中に入るとオエッとなる(嘔吐反射が強い)方にも、静脈内鎮静法は有効です。

  • 嘔吐反射が強いため、治療のたびに苦しい思いをしている。
  • 口の奥に器具が入ると、反射的に吐き気がこみ上げる。
  • これまでに嘔吐反射のせいで、歯科治療を途中で断念した経験がある。

静脈内鎮静法を行うと、意識がぼんやりとした状態になり、過剰な反射が抑えられるため、治療中の苦しさが軽減されます。「嘔吐反射のせいで歯科治療が受けられない」と悩んでいる方には、非常におすすめの方法です。

3. 長時間の治療が必要な方

インプラント治療や親知らずの抜歯など、長時間にわたる治療を受ける方にとっても、静脈内鎮静法は大きな助けになります。

  • インプラント手術で数時間の治療が必要になる。
  • 親知らずを複数本抜くため、処置に時間がかかる。
  • 長時間口を開けていると、顎が疲れてしまい辛い。

静脈内鎮静法を用いると、リラックスした状態のまま治療を受けられるため、時間が短く感じられます。また、長時間口を開けていると筋肉が緊張して疲れやすくなりますが、鎮静効果によってリラックスした状態を維持できるため、治療後の疲労感も軽減されるのがメリットです。

4. 痛みに敏感な方

歯科治療では局所麻酔を使用するのが一般的ですが、痛みの感じ方には個人差があり、「麻酔をしても痛い」と感じる方も少なくありません。

  • 局所麻酔が効きにくく、通常の麻酔では痛みを感じることがある。
  • ちょっとした刺激でも強い痛みを感じる体質。
  • 過去に麻酔を受けた際、「全然効いていなかった」と感じたことがある。

静脈内鎮静法は、麻酔の効果を高め、痛みを感じにくくする作用もあります。リラックスした状態になることで、通常よりも麻酔がしっかりと効きやすくなるため、「痛みが怖い」という方にとっては非常に有効です。

5. 高血圧やストレスが原因で治療を受けにくい方

「歯科治療のストレスで血圧が上がってしまう」という方にも、静脈内鎮静法はおすすめです。

  • 緊張すると血圧が上がりやすい。
  • 歯科治療のストレスで動悸や息苦しさを感じる。
  • リラックスしないと治療を受けるのが難しい。

緊張やストレスによる血圧の上昇は、静脈内鎮静法の鎮静効果によって抑えられます。特に、血圧が高めの方や持病のある方は、事前に歯科医師と相談し、安全に治療を受ける方法を考えることが重要です。

以上のように、静脈内鎮静法は以下のような方に適しています。

歯科治療が怖くて不安な方(過去のトラウマがある、治療の音や振動が苦手)
嘔吐反射が強く、口の中に器具を入れるとオエッとなる方
インプラント手術や親知らずの抜歯など、長時間の治療を受ける方
痛みに敏感で、局所麻酔が効きにくい方
歯科治療のストレスで血圧が上がったり、動悸を感じたりする方

このような方々にとって、静脈内鎮静法は「不安やストレスを軽減し、リラックスした状態で治療を受けられる方法」です。

「歯科治療が怖い…」「緊張しすぎて治療が受けられない…」そんな悩みをお持ちの方は、ぜひ静脈内鎮静法を検討してみてくださいね!歯科医院で相談すれば、あなたに合った治療方法を提案してもらえるはずです。

静脈内鎮静法と全身麻酔の違い

静脈内鎮静法とよく比較されるのが全身麻酔です。それぞれの違いを見てみましょう。

静脈内鎮静法 全身麻酔
意識 あり(ぼんやりした状態) なし(完全に眠る)
記憶  ほとんど残らないことが多い 完全に残らない
麻酔方法 静脈に薬を投与 静脈または吸入麻酔
回復時間 比較的早い 長め(入院が必要な場合も)
適応範囲 比較的軽度な手術や治療 大がかりな手術

静脈内鎮静法は、意識が残っているものの、リラックスできる状態を作るのが特徴です。一方、全身麻酔は完全に意識を失うため、侵襲の大きい手術に使われます。

静脈内鎮静法の流れと注意点

静脈内鎮静法の流れを事前に知っておくことで、安心して治療を受けられます。

  1.  事前の診察とカウンセリング → 医師が患者さんの健康状態を確認し、麻酔の適応を判断します。
  2.  治療前の準備 → 血圧や脈拍を測定し、点滴を準備します。
  3.   鎮静薬の投与 → 点滴を通じて鎮静薬を注入し、リラックス状態になります。
  4.  治療の実施 → 麻酔が効いた状態で治療を行います。
  5.  麻酔が覚めるまで待機 → 治療後はしばらく安静にし、完全に覚めたことを確認してから帰宅します。

治療当日は、車の運転や激しい運動は控える必要があります。事前に家族や友人に迎えを頼んでおくと安心です。

まとめ

静脈内鎮静法で安心して治療を受けよう

静脈内鎮静法は、歯科治療に対する不安や恐怖を和らげ、リラックスして治療を受けるための方法です。特に歯科恐怖症の方や長時間の治療を受ける方におすすめです。

「歯医者さんが怖い…」とお悩みの方は、ぜひ一度歯科医院で相談してみてくださいね!

この記事の監修者
医療法人真摯会 梅田クローバー歯科クリニック
院長 久野 喬

2014年 松本歯科大学卒業卒業。日本障害者歯科学会 認定医。ACLS講習終了。日本口腔インプラント学会。日本小児歯科学会。日本接触嚥下リハビリテーション学会。

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梅田クローバー歯科クリニック

大阪矯正歯科グループ大阪インプラント総合クリニック