マウスピース矯正インビザラインは、透明で見えにくく取り外し可能なため、日常生活において目立たずに矯正治療を受けることが出来ます。インビザラインでの矯正治療中の虫歯のリスクと予防策についてご説明します。
目次
インビザラインとは?
インビザラインは、透明なプラスチック製のアライナー(マウスピース)を用いて歯を少しずつ動かし、理想的な位置に導く矯正治療法です。従来のブラケットとワイヤーの矯正器具と比べ、目立ちにくく、取り外しが可能なため、食事や歯磨きをいつも通りに行え、不便を感じることが少ないのが大きな利点です。
インビザラインが虫歯を引き起こす可能性はあるのか?
インビザラインでの矯正治療中に虫歯になりやすいかどうかについては、マウスピースの使用方法と口腔衛生の維持が鍵となります。
インビザラインのマウスピース自体が直接虫歯を引き起こすのではありません。しかし装着中のマウスピースは、歯とマウスピースの間に食べカスや汚れがたまりやすい環境になりがちです。このことがインビザラインが虫歯のリスクを高める要因となります。
特に、アライナーの清掃を怠ったり、食後すぐにアライナーを装着したりすると、リスクはさらに高まります。
インビザライン使用時の虫歯リスク
インビザラインを装着すると、アライナーと歯が密着することで口内に密閉された環境を作り出します。そのため、以下のような理由で虫歯のリスクを高める可能性があります。
1. アライナー内で歯垢が歯につきやすくなる
アライナーを装着していると、歯垢が歯に付着しやすくなります。プラークは虫歯の主な原因であり、歯磨きが不十分な場合、虫歯になる可能性があります。
2. 唾液の流れを妨げる
唾液は口内を洗浄し、食べ物の残りカスや細菌の成長を抑制する役割があります。インビザラインのアライナーをつけている間は、歯に唾液が行き渡りにくくなり、は唾液による歯の保護作用を低下させることがあります。
3. 食べ物の残りカス
外食後などで食後の歯磨きが出来ない場合に、そのままインビザラインを装着すると、食事によって歯についた汚れがアライナーと歯の間に挟まり、細菌の栄養源となって虫歯に繋がることがあります。
インビザラインによる虫歯を防ぐための対策
インビザラインでの矯正治療中の虫歯リスクを減らすためには、以下の対策が効果的です。
1. アライナーを清潔に保つ
アライナーを取り外すたびに水できれいに洗い流し、定期的に専用のクリーナーや石鹸水で洗浄することが重要です。
2. 食後の口腔ケア
食事の後は、アライナーを再装着する前に歯を磨くことが推奨されます。可能であれば、フロスや歯間ブラシを使用して、歯間の清潔を保つことも大切です。同時にアライナーもきれいに洗ってから再度装着しましょう。
3. 定期的な歯科健診
矯正治療中は、定期的な歯科健診を受け、歯科衛生士による歯のクリーニングを定期的に行うことが重要です。
4. 水分補給を心がける
十分な水分を摂取することで、口内を潤し、細菌の増殖を抑えることができます。特に、砂糖を含まない飲料の摂取が推奨されます。
インビザラインを使用することによる虫歯のリスクは、適切な口腔衛生習慣とアライナーのケアによって大幅に減少させることが可能です。毎日の歯磨きとアライナーの洗浄を怠らず、定期的な歯科健診を受けることで、インビザライン治療中も健康な歯を維持することができます。
虫歯リスクを減らすための食事のヒント
インビザライン使用中の虫歯のリスクを減らすための食事のポイントは以下の通りです。
1. 糖分の多い飲食物の摂取を控える
糖分が多い食品や飲み物は虫歯のリスクを高めます。特にインビザラインを装着していると、歯とアライナーの間に糖分が入り込んでとどまりやすくなります。糖分の摂取を控えめにし、健康的な食事を心がけることが重要です。
2. 水分補給を心がける
インビザライン装着中は口内が乾きやすくなります。口内が乾燥すると細菌の増殖を招いて虫歯のリスクが高まるため、頻繁に水分補給をして口の中を潤すことが推奨されます。特に糖分が含まれていない水や無色の飲料が良いでしょう
3. 健康的な食品の選択
全般的に、バラエティ豊かな野菜や果物、全粒穀物、タンパク質などの健康的な食品を選ぶことで、虫歯のリスクを減らすことに繋がります。また、これらの食品は一般的に歯に良い影響を与え、全体的な口内健康を整えます。
インビザライン使用中の虫歯リスクと予防策に関するQ&A
インビザラインは透明なプラスチック製のアライナー(マウスピース)を使用した矯正治療法です。従来のブラケットやワイヤーに比べ、目立ちにくく、取り外し可能であるため、食事や歯磨きが容易で、日常生活での不便が少ないという利点があります。
インビザライン使用中の虫歯リスクは、マウスピースと歯の間に食べカスや汚れが溜まりやすい環境になることにより高まります。これは、アライナーが口内で密閉された空間を作り出し、歯垢が歯に付着しやすくなるため、唾液の自然な洗浄作用が妨げられるからです。
インビザラインによる虫歯を防ぐ主な対策には、アライナーの清潔保持、食後の口腔ケア、定期的な歯科健診、そして十分な水分補給があります。特にアライナーを清潔に保つことと、食後に歯を磨くことは非常に重要です。
まとめ
インビザラインを用いたマウスピース矯正は、「人から目立たない」「取り外し可能」、という特徴から多くの人に選ばれています。しかし歯に長時間マウスピースを装着する必要があるため、虫歯にならない為には食生活に少しの注意が必要です。虫歯のリスクを減らすためのポイントを一つひとつ心がけ、虫歯のない健康な状態で治療を終えましょう。
インビザラインを使用している間の虫歯リスクとその予防策について、以下の論文で得られた知見を紹介します。
1. インビザラインの臨床効果に関するシステマティックレビュー
インビザラインシステムは、抜歯を必要としない軽度から中等度の不正咬合の非成長患者において、従来の矯正治療法に対する実行可能な代替手段であることが示されています。しかし、大きな前後歯や垂直方向の不一致の修正においては効果が限定的である可能性があります。インビザラインの使用に関連する虫歯リスクに関する直接的な情報は見つかりませんでしたが、一般的な口腔衛生維持の重要性が強調されています。【Aikaterini Papadimitriou et al., 2018】
2. 虫歯リスクアセスメント
虫歯リスクアセスメントは、正しい予防と虫歯管理の意思決定プロセスにおいて重要な要素です。複数のリスク要因と指標が将来の疾患のリスクアセスメントの対象として提案されています。虫歯の経験は、将来の虫歯発症のための最も良い予測因子であることが強く示されています。年齢層によっては、リスク要因の予測モデルが予測の精度を高めることが示されていますが、追加のリスク要因の有用性は文献で現在測定されている限りでは疑問視されています。これは、特定の患者におけるこれらの追加要因の病気体験との関連の強さを理解し、個別化されたターゲットを絞った予防および管理計画の開発を支援するために、これらの追加要因を評価すべきではないということを意味しません。【S. Twetman & M. Fontana, 2009】
これらの知見から、インビザラインを使用している間の虫歯リスクを管理するためには、継続的な口腔衛生の維持と定期的なリスクアセスメントが重要であると言えます。特に、インビザラインを使用する場合は、装置の下でのプラークの蓄積を防ぐために、正しいブラッシング技術とフロスの使用が推奨されます。