ガムを噛む習慣がある方が増えています。仕事中の眠気覚ましや、虫歯予防のための食後のキシリトールガムなど、単なる嗜好品としてではなく、はっきりとした目的を持ってガムを噛んでおられる方が多いように感じます。ガムを噛むことと歯との関係についてご説明します。
ガムにはどんな効果があるの?
ガムの効果1.唾液分泌を促して口の中を清掃する
ガムを噛むことは唾液の分泌を促し、口の中を洗浄して浄化する作用があります。外出先などで歯磨きが出来ないときや、食後に口臭が気になる時などにガムを噛むといいでしょう。しかし、ガムを噛むだけでは歯垢を除去する効果までは期待できません。
糖分を含んだガムは虫歯の原因になりますので、虫歯になりにくいキシリトールが配合されたガムを選ぶようにしましょう。スーパーやドラッグストアなどで市販されているガムは、キシリトールが50%ほどしか含まれていません。
歯のケアの効果を高めるためには、歯科医院で販売しているキシリトール100%のガムがおすすめです。10~20分くらい噛み続けると効果が上がります。
ガムの効果2.ストレス解消になる
ガムを噛むとストレスによるイライラの抑制に効果があります。ガムを噛むとストレス物質の血中濃度が抑えられます。これはガムを噛むと脳のストレスを感じる部分が落ち着くからだといわれています。
ガムの効果3.免疫力が高まる
ガムを噛むと、血液中のリンパ球の数が増えて免疫力が高まることがわかっています。これはガムを噛むと副交感神経が活発になってリラックスした状態になり、免疫機能が活発化するからだといわれています。
ガムの効果4.やる気ホルモン「ドーパミン」の分泌が促進される
ガムを噛むとやる気ホルモン「ドーパミン」の分泌が促進されます。食事の際にも良く噛むことでドーパミンが良く出ます。ドーパミンの分泌が活性化されると、学習能力や仕事能率のアップが期待できます。
逆にあまり噛まずに食べると、ドーパミンやセロトニンが不足してストレスがたまります。
ガムを噛みすぎることのデメリット
ガムを噛みすぎるとさまざまなデメリットが起こることがあります。
1.歯が擦り減る
ガムを噛むと歯に良いと聞いて、毎日真面目にガムを噛み続けた結果、歯の表面のエナメル質が擦り減って噛み合わせが深くなる場合があります。
噛み合わせが深くなると、噛むたびに下の前歯が上の前歯の裏側を上方向に突き上げる力がかかって、出っ歯になったり、前歯の間に隙間が出来たりすることがあります。
エナメル質のすり減りによって知覚過敏を起こすこともあります。
2.エラが張ってくる
ガムを噛み続けて噛む筋肉が発達することで、筋肉が付着している骨が隆起して、エラが張ってきます。
3.臼歯が擦り減って下顔面が短くなる
ガムを噛み続けて臼歯の噛む面が擦り減ると、下顔面がつぶれてきます。その結果、総入れ歯を外した時のように、顔の下半分がクシャッとした感じになります。
4.左右どちらかで噛む癖があると顔の形が左右非対称になる
ガムを左右どちらか片方でばかり噛む癖があると、噛む側の筋肉や骨が発達して、顔の形が左右非対称になります。
5.砂糖が含まれたガムをずっと噛むと虫歯になる
砂糖が含まれたガムをずっと噛んでいると、お口の中にずっと糖がある状態になります。虫歯菌は糖をエサにして酸を出し、歯を溶かしますので、砂糖を含んだずっとガムを噛んでいると、虫歯になってしまいます。
歯に良いガムの選び方
最後に、ガムを噛むときは糖類の入っていないものを選びましょう。ガムを噛むことで唾液量が増加し、お口が中性にもどりやすくなります。ただし、ガムに糖類が入っていると逆効果になってしまいますので、ガムはなるべく甘くないものを選びましょう。
ガムを噛むことの歯への影響に関するQ&A
ガムを噛むと、歯の表面のエナメル質が摩耗し、噛み合わせが深くなる場合があります。噛み合わせが深くなると、噛むたびに下の前歯が上の前歯に力をかけるため、歯が擦り減り、出っ歯や歯間の隙間が生じることがあります。
ガムを噛むことで唾液分泌が促される主な理由は、咀嚼の刺激による反射作用です。咀嚼運動をすることで、唾液腺が刺激されて唾液の分泌が増えます。
ガムを噛むと、脳のストレスを感じる部分が落ち着くと言われています。ガムを噛むことでストレス物質の血中濃度が抑えられ、イライラが軽減されます。
まとめ
虫歯予防が目的の場合は、キシリトール含有量50%以上のガムを選びましょう。歯科医院で販売しているガムは更に高濃度のキシリトールを含んでいる為、虫歯予防に効果的です。しかし、ガムの噛み過ぎは歯を傷めますので、注意しましょう。