歯と口のトラブル

根管治療後に痛みが再発する理由とは?原因と再治療の目安を解説

根管治療後に痛みが再発する理由とは?原因と再治療の目安を解説

梅田クローバー歯科クリニック 歯科医師 久野 喬

「根管治療後に、いったん治まった痛みが再発するのはなぜですか?」

根管内に残った細菌の再増殖や、見つけにくい根管の感染、被せ物などからの再感染、歯の亀裂などが原因として考えられます。

根管治療後に痛みがなくなっても、数カ月後や数年後に「噛むと痛い」「歯ぐきが腫れてきた」と感じることがあります。
このような場合は、歯の内部や根の先で再び炎症が起きている可能性があります。

ただし、根管治療後の痛みがすべて再発を意味するわけではありません。治療直後の一時的な痛みと、いったん落ち着いたあとに戻ってきた痛みは分けて考えることが大切です。

根管治療後の痛みでは、「いつから痛むのか」「一度治まったのか」「噛むと痛いのか」など、痛みの経過が原因を考える重要な手がかりになります。

この記事を読むとわかること

  1. 根管治療後に痛みが再発する主な理由
  2. 治療直後の痛みと再発した痛みの違い
  3. 痛み方から考えられる原因
  4. どのような症状なら歯科医院へ相談した方がよいか
  5. 再発した場合にどのような治療を検討するのか

 

根管治療後に痛みが再発する主な理由は何ですか?

根管治療後に痛みが再発する主な理由は何ですか?の図解

根管治療後に痛みが再発する原因として、まず考えられるのが根管内や根の先に残った細菌による炎症です。

根管は単純なまっすぐの管ではなく、細かく枝分かれしていたり、強く湾曲していたりすることがあります。そのため、感染した部分をすべて機械的に清掃することが難しい場合があります。

また、治療時には問題がなくても、その後に新たな感染経路ができて再び細菌が入り込むこともあります。

主な原因は次のとおりです。

  1. 複雑な根管の一部に感染が残っていた
    → 細い枝や湾曲した部分など、治療器具が届きにくい場所に細菌が残り、時間がたって再び炎症を起こすことがあります。
  2. 未処置の根管があった
    → 歯によっては根管の本数や形が複雑で、見つけにくい根管が残ることがあります。
  3. 被せ物や詰め物の隙間から再感染した
    → 根管治療後も、歯の上側から細菌が侵入しないよう封鎖することが大切です。被せ物や詰め物に隙間が生じると、そこから再感染する可能性があります。
  4. 新しい虫歯ができた
    → 根管治療後の歯でも、新たな虫歯ができれば細菌が歯の内部へ入り込むことがあります。
  5. 歯に亀裂が入った
    → 歯の亀裂から細菌が侵入したり、噛む力によって痛みが出たりする場合があります。

根管治療後の再発には、「最初の治療で感染源が残った場合」と「治療後に新しい感染経路ができた場合」の両方があります。

根管治療後の痛みが再発する原因を整理すると、次のようになります。

原因によって必要な治療が変わるため、「根管治療をした歯が痛い」というだけで再治療を決めるのではなく、まず原因を調べることが大切です。

考えられる原因 どのような状態か
根管内に感染が残っている 複雑な根管などに細菌が残っている可能性がある
未処置の根管がある 見つけにくい根管に感染源が残っている場合がある
被せ物などから再感染した 隙間から細菌が歯の内部へ入り込んだ可能性がある
新しい虫歯ができた 治療後に新しい感染経路ができている
歯に亀裂が入った 亀裂から細菌が侵入したり、噛むと痛みが出たりする

大切なのは、再発した痛みの原因が根管そのものとは限らないことです。
被せ物や噛み合わせ、歯の亀裂なども確認しながら、原因を絞り込んでいきます。

根管治療については、一般社団法人 日本歯内療法学会でも、根管治療の基本や治療後の注意点について一般向けに情報が公開されています。

根管治療では、歯の内部にある感染した神経や組織を取り除き、根管内を清掃・消毒していきます。治療の流れについて詳しく知りたい方は、歯の神経を取る根管治療についてもあわせてご覧ください。

治療直後の痛みと再発した痛みはどう違いますか?

根管治療後に痛みがあるからといって、すべて再発というわけではありません。
治療直後は、根の先にある組織が処置による刺激を受け、数日程度、噛んだときの痛みや違和感が出ることがあります。

一方、いったん痛みがなくなったあと、数週間・数カ月・数年たってから再び痛みが出た場合は、再感染や別の問題を確認する必要があります。

「治療直後から痛みが続いている」のか、「一度治ったあとで痛みが戻った」のかによって、考えるべき原因は変わります。

根管治療後の痛みは、出てきた時期によって次のように考えます。

再発かどうかを患者さん自身で判断する必要はありませんが、いつから痛み始めたかは歯科医師に伝えましょう。

痛みが出た時期 考え方
治療直後 処置による刺激で一時的に痛む場合がある
数日たって少しずつ軽くなる 治療後の経過としてみられることがある
治療後も痛みが強くなっていく 炎症などがないか確認が必要
一度治まったあとに再び痛む 再感染などの原因を調べる必要がある

特に、長い間問題なく使えていた歯が急に痛み始めた場合は、治療直後の痛みとは分けて考えた方がよいでしょう。

根管治療の直後には、一時的に痛みが出ることがあります。治療後の痛みについては、治療が終わったはずなのに痛いのはなぜ?で詳しく解説しています。

根管治療後の痛み方から原因を判断できますか?

痛み方だけで原因を断定することはできませんが、診断の手がかりにはなります。

根管治療後の再発でみられることがあるのは、次のような症状です。

  1. 噛むと痛い
    → 根の先の周囲に炎症があると、噛んだときに歯が浮いたような感じや、響くような痛みが出ることがあります。
  2. 何もしなくてもズキズキする
    → 炎症が強くなっている場合には、安静にしていても痛むことがあります。
  3. 歯ぐきが腫れる
    → 根の周囲に炎症が起こり、膿がたまると歯ぐきが腫れることがあります。
  4. 歯ぐきに小さなできものができる
    → 根の先にたまった膿の出口が歯ぐきにできる場合があります。痛みが弱くても感染がなくなったとは限りません。
  5. 噛んだ瞬間だけピンポイントで痛む
    → 根の炎症だけでなく、噛み合わせや歯の亀裂なども確認する必要があります。

痛みの強さだけではなく、「噛んだとき」「何もしなくても」「腫れを伴う」など、どのような場面で痛むかを伝えることが診断の助けになります。

痛み方と考えられる状態を整理すると、次のようになります。

ただし、症状だけで原因を断定することはできないため、あくまで受診時に伝えるための目安として考えてください。

症状 確認したいこと
噛むと痛い 根の先の炎症や噛み合わせ
何もしなくても痛い 炎症が強くなっていないか
歯ぐきが腫れる 根の周囲に炎症や膿がないか
歯ぐきにできものがある 膿の出口ができていないか
噛んだ瞬間だけ強く痛む 歯の亀裂や噛み合わせも確認する

「根管治療をした歯だから、痛みの原因は必ず根の中」とは限りません。
そのため、痛み方と画像検査、被せ物の状態などを組み合わせて診断します。

根管治療後に痛みが再発したら、すぐ再治療が必要ですか?

痛みが再発したからといって、すぐに根管治療をやり直すとは限りません。

まず、

  1. 痛みがいつから始まったか
  2. 噛んだときに痛むか
  3. 歯ぐきに腫れや膿がないか
  4. 被せ物や詰め物に問題がないか
  5. 根の先に炎症がないか
  6. 歯に亀裂がないか

などを確認します。

必要に応じてレントゲンなどの画像検査を行い、原因を調べます。
再感染や未処置の根管が原因と判断された場合には、再根管治療が検討されます。

再根管治療では、以前に入れた材料を取り除き、根管内部を改めて確認します。そのうえで感染源を取り除き、洗浄・消毒して再び根管を封鎖します。

再治療で大切なのは、「また根管治療をすること」ではなく、「なぜ痛みが再発したのか」を確認してから治療方法を決めることです。

原因が噛み合わせであれば調整が必要になることがありますし、歯の亀裂が原因なら根管治療だけでは解決できない場合もあります。
つまり、再発した痛みの原因に合った治療を選ぶことが重要です。

根管治療が終わった歯は、痛みを感じにくくなる一方で、再感染や破折などのトラブルに気づきにくいことがあります。治療後の注意点については、神経を抜いた歯はメンテナンスが大事?長持ちさせるためのポイントと予防策をご覧ください。

どんな症状なら早めに歯科医院へ相談した方がいいですか?

根管治療後に一度治まった痛みが再び出てきた場合は、強くなるまで我慢する必要はありません。
とくに、痛み以外の症状を伴う場合は早めに確認してもらいましょう。

「痛みが弱いから大丈夫」とは限りません。歯ぐきの腫れや膿の出口がある場合は、痛みが少なくても感染が続いている可能性があります。

次のような症状があれば、治療した歯科医院や歯内療法を行っている歯科医院へ相談してください。
症状が強い場合だけではなく、以前と違う変化が続いている場合も受診の目安になります。

症状 対応の目安
一度治まった痛みが再び出てきた 歯科医院で原因を確認する
噛むたびに痛む 早めに相談する
歯ぐきが腫れている 炎症の有無を確認してもらう
歯ぐきにできものがある・膿が出る 痛みが弱くても受診する
痛みや腫れが強くなっている 早めに歯科医院へ連絡する

「そのうち治るかもしれない」と長期間様子を見るより、原因を早めに確認した方が治療方針を立てやすくなることがあります。

根の先に炎症が起こると、歯ぐきが腫れたり、噛んだときに痛みや違和感が出たりすることがあります。歯の根の先に膿がたまる状態については、歯ぐきが腫れたときに考えられる根尖病巣についてもご覧ください。

まとめ

根管治療後に痛みが再発する理由とは?

根管治療後にいったん治まった痛みが再発する場合には、**根管内に残った感染、未処置の根管、被せ物などからの再感染、新しい虫歯、歯の亀裂など**が原因として考えられます。

大切なのは、治療直後の一時的な痛みと、一度落ち着いたあとに再発した痛みを分けて考えることです。

特に、

  1. 一度治まった痛みが再び出てきた
  2. 噛むと痛い
  3. 歯ぐきが腫れている
  4. 膿が出る、できものがある
  5. 痛みや腫れが強くなっている

といった場合は、歯科医院で状態を確認してもらいましょう。

痛みが再発しても、必ず抜歯になるわけではありません。原因によっては再根管治療などを行い、歯を残せる可能性があります。

根管治療後の痛みが再発したときは、単に同じ治療を繰り返すのではなく、「なぜ再発したのか」を確認してから適切な治療方法を選ぶことが大切です。

この記事の監修者
医療法人真摯会 梅田クローバー歯科クリニック
院長 久野 喬

2014年 松本歯科大学卒業卒業。日本障害者歯科学会 認定医。ACLS講習終了。日本口腔インプラント学会。日本小児歯科学会。日本接触嚥下リハビリテーション学会。

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梅田クローバー歯科クリニック

大阪矯正歯科グループ大阪インプラント総合クリニック

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