「歯列矯正で、歯や歯ぐきが出ているのも治るの?」とたくさんの相談をいただきます。
成人の方は歯の傾きだけが問題なら治せますし、成長期のお子さんなら上顎の骨が発育しすぎるのを抑えたり、下顎の骨の成長を促したりして治療していきます。大人の方は、ブラケットやマウスピースなどの矯正装置を付けて歯並びを整えます。上顎の骨格が前に出ている方は、外科手術で治す方法もあります。
出っ歯を歯ぐきの骨格から治す治療方法
歯を動かすためのスペースが足りない場合は、上下左右の小臼歯を抜歯してスペースを作ります。抜歯矯正を行うことで、少しは上顎が引っ込んで歯ぐきが下がって見えるようになります。
しかし口元が骨格から前に出ており、装置を付けて歯を動かすだけの治療では横顔のラインがきれいにならないケースがあります。上顎の骨格を大きく下げて横顔のラインをきれいに整えるためには、手術を伴う外科矯正が必要です。外科矯正は、当院のグループ歯科医院 カトレア美容・歯科クリニックにて日帰りの上顎セットバック手術を行っています。
歯だけが前に出ている出っ歯の治療方法
歯だけが前に出ている場合は、歯の角度を変えるだけで治ります。どの程度の角度を動かすかにもよりますが、前歯の両端をわずかに削ってスペースを作り、前歯に装置を取り付けて少しずつ前歯の角度を変えていきます。
治療方法は、以下の3種類です。
- ワイヤー矯正・・歯にブラケットを取り付けてワイヤーを通す矯正方法
- 裏側矯正・・歯の裏側にブラケットをつける
- マウスピース矯正・・透明なマウスピースを1日に22時間程度つけて頂く
成長期のお子さんの場合
お子さんの場合は、上顎や下顎の成長を促進させたり、逆に抑制するための様々な種類の装置があります。お子さんの口元の骨格をどのように成長させていけば良いか、担当医がお子さんに最適な装置を選択いたします。
PRO矯正とは
P → Posture(姿勢)
R → Respiration(呼吸)
O → Oral appliance(矯正装置)
生活習慣や癖(口呼吸、指しゃぶり、舌で歯を押すなど)が原因でお子さんの発育に問題が起こると、顎の成長や歯並びにも異常が起きます。
PRO矯正はお子さんの姿勢と呼吸を正しくし、バランスよく成長させることで、歯並びをキレイにするだけでなく、全身も健康にすることが目的です。
PRO矯正の治療法
PRO矯正はアクティビティと矯正装置の2つのアプローチで治療していきます。
アクティビティ(トレーニング)
アクティビティには5つのプログラムがあり、矯正担当医がプログラムの作成を行います。歯科医院でトレーニングの指導を受けたあとは、ご自宅で行って頂きます。
- 呼吸のプログラム(口呼吸を鼻呼吸にする)
- 舌のプログラム(舌の位置を良くし、舌の力も高め、舌のクセも治す)
- 嚥下のプログラム (正しい飲み込み方を覚える)
- 口周りの筋肉のプログラム (お口周りの筋肉を鍛える)
- 姿勢のプログラム (姿勢を改善する)
アクティビティはテキストにそって行いますのでわかりやすく、お子さんも楽しく取り組めます。
矯正装置(舌の癖を治して骨格を広げる)
マウスピース型の機能矯正装置を使用します。これらのマウスピースを主に寝ている間に付けて頂くことによって、舌の位置をいい位置にし、上アゴを発達させ、鼻呼吸が出来るように促します。
歯ぐきが出ているお悩みについて
歯ぐきが出ているというお悩みの方の大部分は上顎前突という不正咬合で、いわゆる出っ歯です。出っ歯は下顎と比べて上顎が発達しており、下の歯のアーチよりも上の歯のアーチが大きくなっています。
日本人は欧米人と比べて前歯が大きく、顎の骨自体は小さいために出っ歯になりやすい骨格をしているため、出っ歯でお悩みの方は大勢おられます。前歯が前に出ているだけでなく、歯茎の骨格が出ているタイプの方もおられます。
上顎が前に出ている骨格は、遺伝性のものもありますが、小さい頃から舌で前歯の裏側を押す癖がある方は、舌で押す力によって上顎の骨が成長してしまって出っ歯になっていることもあります。
また、笑うと上の歯茎が大きく見えてしまうガミースマイルの方もおられます。これも顎の骨のずれで起こるもので、ガミースマイルの方は笑う時に手で口元を隠すなど、コンプレックスになっている方が多いようです。
歯や歯茎が出ている場合の歯列矯正に関するQ&A
日本人は前歯が大きく、顎の骨自体が小さいため、出っ歯になりやすい骨格をしています。
ガミースマイルは、顎の骨のずれにより、笑うときに上の歯茎が大きく見える状態を指します。
PRO矯正のアクティビティには呼吸、舌、嚥下、口周りの筋肉、姿勢の5つのプログラムが含まれています。
まとめ
大人の方の「歯だけが前に出ている出っ歯の治療方法」はワイヤー矯正やマウスピース矯正等の矯正装置を使った方法となります。大人の方の「歯ぐきの骨格から出ている場合の治療方法」はセットバックという外科手術で治ります。
お子さんの場合は舌の位置が悪いことが多く、PRO矯正という姿勢と呼吸を正しくして歯並びを治す治療や、顎の骨の成長を促進させたり抑制したりする装置を使って治療を行います。