虫歯治療後、歯に詰め物をする際に、保険適用の銀歯にする方も多くおられると思いますが、金属の詰め物とセラミックにはどんな違いがあるのかご説明します。
目次
銀歯について
銀歯は保険診療の場合の代表的な詰め物です。虫歯を削ったあと、型取りをして詰め物を作製し、出来上がった詰め物を歯に接着します。
銀歯のメリット
銀合金が主成分で、耐久性や耐蝕性に優れるため、歯科医療では良く使われる素材の一つです。硬度も高く、歯肉に対して優しいという面もあります。何よりも、保険適用ですので安価に治療出来ます。
銀歯のデメリット
- 二次虫歯になりやすい:銀歯は、経年劣化を起こして摩耗すると、銀歯と歯の間に隙間が出来てしまい、そこから虫歯菌が入り込んで二次虫歯を起こしやすいので、メンテナンスをしっかりする必要があります。
- 表面に歯垢などの汚れがつきやすい:銀歯の表面には歯垢がつきやすく、歯周病を起こしやすいというデメリットもあります。
- 金属アレルギーを起こすことがある:銀歯は、スウェーデンやドイツなどのヨーロッパ諸国では、歯科用金属としては不適切だとみなされ、10年以上前から使用禁止になっています。それらの国では、セラミックが一般的に使用されています。また、近年は金属アレルギーの方が増加しており、銀歯も金属アレルギーの原因となります。金属アレルギーは唾液で溶けた金属がタンパク質と結びついてアレルゲンとなって発症します。
- 銀色でとても目立つ:前歯の場合はプラスチック製の詰め物が保険適用で使用可能ですが、奥歯は基本的に銀色のパラジウム合金という金属が使用されます。
銀歯以外の自由診療の詰め物の素材は?
保険適用の詰め物は種類が限られてしまいますが、自由診療の場合は素材に制限がありませんので、合金、セラミック、樹脂、金属などがあります。
それぞれの素材の特徴を活かして、症例によって必要な材質の詰め物が使用されます。その一例として、合金は耐久性があり、壊れにくいという性質があります。セラミックは白くて審美性の高い素材ですが、硬度が高いために割れやすいということがあります。
メタルフリーの素材ならセラミック、ジルコニア
詰め物や被せ物に使われる金属の素材は、お口の中で唾液中に溶け出してしまい、体内に取り込まれて金属アレルギーの原因になります。(金属アレルギーを起こしにくい金属もあります。)
そのため、メタルフリーの素材を希望される患者さんも多くおられます。当院ではメタルフリーの詰め物・被せ物として、セラミックやジルコニアをご提案しています。
セラミック治療とは
セラミック治療とは、虫歯治療などの際に、陶器の素材であるセラミック製の詰め物・被せ物を用いる治療のことです。また、変色した歯の見た目を良くしたり、歯並びを良く見せるために、歯を削ってセラミック製の被せ物を用いる審美歯科治療を行う場合もあります。
セラミックには、オールセラミック、ジルコニアセラミックなどの種類があります。銀歯とセラミックでどちらにしようか迷っている方は、それぞれのメリットとデメリットをチェックしましょう。
セラミックのメリット・デメリットは?
セラミックのメリット
- 白くて美しい: セラミックは天然の白色を持ち、歯との馴染みも良く、審美性の高い素材です。前歯には特に適しています。
- 磨耗に強い: セラミックは耐磨耗性が高く、経年劣化が少ないため、長期間変わらない状態で使用することができます。
- 歯に合わせた色で作れる:詰め物をしていることがわからい位、歯に馴染んだ色調で作れます。
- 汚れがつきにくい:セラミックの表面には歯垢などの汚れが付着しにくいため、歯周病や周囲の歯の虫歯のリスクを低く出来ます。
- 着色しにくい:セラミックの表面は飲食による着色が起こりにくいため、白いきれいな状態を保ちます。
- 金属アレルギーの心配がない:セラミックは金属ではないため、金属アレルギーになる心配がありません。
セラミックのデメリット
- 割れやすい:セラミックは陶器ですので、強い衝撃や力が加わると割れやすいことがあります。歯ぎしり、食いしばりのある患者さんには、金属の詰め物をおすすめします。
- 保険がきかないので高額:保険のきかない自由診療なので、保険診療と比べると治療費が高くなってしまいます。
- 歯を多く削る必要がある:金属の詰め物と比べて、セラミックで詰める場合は、歯を多く削る必要があります。(セラミックは強度に乏しいので割れないように分厚く作らなければならないため。)
歯の詰め物の金属とセラミックの違いに関するQ&A
銀歯は保険診療の代表的な詰め物とされる理由は、耐久性や耐蝕性に優れているためです。銀合金が主成分であり、歯科医療でよく使われる素材です。また、保険適用であり比較的安価に治療することができるため、一般的な選択肢となっています。
銀歯は経年劣化を起こすと摩耗し、銀歯と歯の間に隙間ができることがあります。この隙間から虫歯菌が入り込み、二次虫歯を引き起こすリスクが高まります。そのため、銀歯を長持ちさせるためにはメンテナンスが重要であり、定期的な検診や清掃が必要です。
自由診療の場合は、合金、セラミック、樹脂、金属など、さまざまな素材が詰め物として使用されます。それぞれの素材には特徴があり、症例や患者のニーズに応じて適切な材料が選ばれます。
まとめ
銀歯とセラミックはそれぞれ特徴がありますので、患者さんのご希望や症例に応じてどちらを選ぶか、担当医とよくご相談下さい。特に前歯の場合や、歯ぎしりや食いしばりのある場合は、注意して詰め物・被せ物の素材を選ぶことが大切です。