
虫歯になっても初期虫歯ならば自然に治ることがあります。しかし歯に穴があいてしまうと歯医者で歯を削らなければなりません。虫歯の自然治癒についてご説明します。
初期の虫歯は再石灰化で治ることがある
歯に穴があいてしまった虫歯は、歯を削って詰め物や被せ物の処置をしなければなりませんが、C0と呼ばれる初期虫歯であれば、歯を削らなくても自然に治ることがあります。
虫歯にはC0~C4までの5段階があり、進行度によって分類されます。C0はこの中でも最も初期の段階で、歯の表面が白く濁って透明感がないが、まだ虫歯の穴はあいていないという状態です。
C0の虫歯は削ることはせず、経過観察となりますので、歯の表面を修復させるための再石灰化を積極的に起こすことで、自然治癒させましょう。
初期虫歯を自然に治すには?
初期の虫歯を悪化させずに自然治癒させるためにはどうすれば良いのでしょうか?
1.歯磨きを徹底して歯垢を残さない
歯垢の中では細菌が繁殖し、中でも虫歯菌は糖から酸を作り出して歯を溶かし、虫歯にしてしまいます。
虫歯を初期の段階で自然治癒させるためには、虫歯の原因となる歯垢をしっかりと除去しなければなりません。
歯面から歯垢がなくなると、唾液中のリンやカルシウムなどが初期虫歯の表面から取り込まれて、虫歯の進行を抑えます。
2.フッ素を効果的に使おう
フッ素には虫歯の発生と進行を防ぐための3つの効果があります。
- エナメル質の修復を促進・・歯から唾液中に溶け出したカルシウムやリンを再び歯に取り込む再石灰化を促進します
- 歯の質を強化・・歯の表面のエナメル質を酸に強い性質に変えて虫歯になりにくくします
- 虫歯菌の働きを弱める・・虫歯菌の働きを弱めて酸が作られにくくします
3.間食、甘いものを控える
ものを食べると、お口の中は酸性になって歯の表面が僅かに溶かされます。その後、唾液中のミネラルが歯面に吸収される再石灰化が起こり、歯の表面は修復されて元の状態に戻ります。

しかし、間食が多く長時間飲食を繰り返していると、歯は修復が間に合わず溶け続けることになってしまいます。歯の自然治癒である再石灰化を行うには、食事と食事の時間をあけなければなりません。
4.キシリトールガムを活用する
虫歯の発生や進行を遅らせるものに、キシリトールという成分があります。キシリトールはガムを噛むのが一般的ですが、歯科医院ではタブレットも販売されていますので、ガムが苦手な方はタブレットをお求めください。
キシリトールは100%のものが効果的で、砂糖を含んでいるものは逆に虫歯になる危険がありますので、ご注意ください。
その痛みは虫歯じゃなくて知覚過敏かも?
知覚過敏になると、虫歯のようなキーンとした痛みが起こります。知覚過敏は虫歯ではなく、力を入れて歯磨きをし過ぎたり、酸味の強いものを飲食し過ぎたときなどに、エナメル質が薄くなって象牙質が露出することで起こります。
加齢や歯周病によって歯茎が痩せたために、歯茎の上に象牙質が露出した状態になった状態でも、知覚過敏が起こります。
また、歯ぎしりや噛みしめによってエナメル質が薄くなって知覚過敏が起こることもありますので、歯がしみる方は、まず歯科医院にご相談下さい。
初期虫歯の自然治癒に関するQ&A
適切な歯磨き方法は、虫歯を自然に治癒させるために重要です。歯ブラシを適切に使い、歯垢をしっかりと除去することが大切です。歯面のすみずみまで歯ブラシを当て、歯と歯茎の境目や噛み合わせの隙間もきれいに磨きましょう。また、歯磨き後にはフッ素配合の歯磨き粉や口をうがいすることで、虫歯の再石灰化を促すことができます。
フッ素は初期虫歯の自然治癒を促進する上で重要な役割を果たします。フッ素は再石灰化を促進し、歯から溶け出したカルシウムやリンを再び歯に取り込むことで、エナメル質の修復を促します。また、フッ素は歯の質を強化し、酸に強い性質に変えて虫歯の発生を抑えます。さらに、フッ素は虫歯菌の働きを弱め、酸が作られにくくする効果もあります。
食事や間食による酸性環境は、歯の表面を溶かし、虫歯の進行を促します。しかし、適切な時間をあけて食事や間食を行い、それによって酸性環境が一定の時間で中和されると、再石灰化が起こります。再石灰化によって歯の表面が修復され、虫歯の自然治癒が促進されます。したがって、間食や甘いものを控えることは初期虫歯の自然治癒にとって重要です。
まとめ

虫歯を自然に治すためには、しっかりと再石灰化を促進することが大切です。ただし、歯科医院の観察の元で行わないと、再石灰化が間に合わず、虫歯が進んでしまう場合もありますので、定期健診を受けて歯の状態を確認するようにしましょう。