虫歯の治療が遅れたために手遅れになってしまうことがあります。虫歯の手遅れとはどのような状態で、どのような影響があるのでしょうか? その状態と対処法を把握し、早期治療の重要性を知っていただきたいと思います。
虫歯の初期症状と進行
C0・・初期虫歯
歯の表面が白く濁っている状態。唾液の力やフッ素塗布で、自然治癒が望めます。
C1・・エナメル質の虫歯
歯の表面だけ虫歯になった状態。虫歯を削り、詰め物(インレー)を詰めます。
C2・・象牙質の虫歯
エナメル質の下にある象牙質に虫歯が広がった状態。冷たい物などがしみることがあります。虫歯を削り、詰め物(インレー)を詰めます。
C3・・神経に達した虫歯
象牙質の中にある歯髄(神経)に虫歯が達した状態。激しく痛みを感じたり、頭痛を誘発するなどします。細菌で炎症を起こした歯髄の中を洗浄・消毒する治療をしたあと、被せ物(クラウン)を被せます。
C4・・・大部分が溶けてしまった虫歯
歯根部分のみが残り、歯がほとんど残っていない状態。神経も腐っているため、痛みは感じませんが、歯の根っこに膿がたまると再び激痛がします。多くの場合、抜歯することになります。
虫歯が手遅れになるとはどのような状態?
「虫歯が手遅れになる」とは具体的にどういう状態を指すのでしょうか。
「虫歯が手遅れになる」とは、虫歯が進行しているため虫歯を削って被せ物を被せるという一般的な治療法では既に効果が期待できない状態のことをいいます。
虫歯がかなり進行した状態では、歯の神経まで虫歯が達しており、激しい痛みが起こることがあります。虫歯が歯の中心部から更に奥へ進行して歯の根が虫歯になっている場合は、抜歯しなければなりません。
虫歯が手遅れになったときの体への影響
虫歯が手遅れになり、神経などの歯の深部まで虫歯菌が達すると、、虫歯菌は歯茎や歯から毛細血管に入り込み、血流に乗って全身に広がっていきます。その結果、心臓病や脳血管疾患等の全身疾患のリスクを高める可能性があります。
このように、虫歯が手遅れになってしまうと、単なる口腔内の問題にとどまらず、全身の健康に深刻な問題を引き起こします。そのため、虫歯は出来るだけ初期段階で見つけて適切に対処しなければなりません。
手遅れの虫歯の治療方法
虫歯が進行して手遅れの状態になってしまった場合、虫歯を削って詰めるという一般的な虫歯治療よりもさらに専門的な治療が必要になります。
1.根管治療
根管治療は虫歯が歯の神経に達してしまった場合に行われる治療です。根管治療では歯の内部を掃除し、虫歯菌をきれいに除去した後、充填材で埋めます。この治療は複数回に分けて行う必要があり、何度か通院する必要があります。根管治療が終わった後は、その上に被せ物(クラウン)を被せることが多いです。
2. 抜歯
虫歯が進行すると歯そのものを保存することが困難になり、抜歯が必要となる場合があります。抜歯後は、インプラントやブリッジ、入れ歯などの治療をすることによって噛む機能と見た目を回復します。
3. 歯周病治療
虫歯が進行すると、歯周病を引き起こすことがあります。その場合は、歯周病の治療も行わなければなりません。歯周病の治療は主に歯科衛生士によって専用の器械を使って行われます。それにはスケーリングやルートプレーニングといったプロのクリーニングが含まれます。
虫歯が手遅れになる前に行うべき予防法は?
虫歯が手遅れになってしまう前に行える予防法についてご説明します。
1.歯みがき
毎日2回以上、食後と就寝前に歯を磨くことが歯みがきの基本です。虫歯予防のためにはフッ素入りの歯磨き粉を使用し、ブラシは出来るだけ毎月新しいものに交換しましょう。
2.デンタルフロスや歯間ブラシの使用
歯ブラシだけでは歯と歯の間の汚れをきれいに除去することが出来ません。そのため、デンタルフロスや歯間ブラシを併用します。一日一回の使用でも効果がありますが、気になる場合は歯みがきの前に毎回行うようにしましょう。
3.定期的な歯科健診
1年に2~4回の歯科健診を受けましょう。虫歯を早い段階で見つけることができれば、手遅れるなる程症状が進行する前に、適切な治療を受けることができます。
4.食習慣の見直し
甘い食べ物の飲食は控えめにしましょう。砂糖を多く含む飲食物は虫歯の原因となります。食後に歯を磨く習慣をつけるとお口の中をきれいな状態に保つことが出来ます。
5. フッ素塗布やシーラント
歯科医院でフッ素塗布やシーラント(歯の表面に塗るプラスチックのような物質)を行うと、虫歯予防に効果的です。
あとがき
虫歯が手遅れになることの深刻さがおわかりいただけましたか。歯は一度失えば二度と戻らない大切なものです。出来るだけ歯の定期健診を受けて頂き、虫歯の早期発見・早期治療を行って、大切な歯を守りましょう。