歯磨きをしていてもとても虫歯になりやすい方がおられる反面、歯磨きをサボりがちなのに虫歯にならない方もおられます。虫歯になりやすいのはどういう方なのか、ご説明します。
目次
どうして虫歯になりやすいの?
虫歯菌たちがもっとも好むエサは糖で、砂糖、果糖、糖質、糖分と、様々な種類の糖があります。虫歯菌が好む糖の中には、私たちの主食に含まれる炭水化物も含まれています。
炭水化物は人体のエネルギー源となる糖質と、エネルギー源とはならない食物繊維が混ざった栄養素です。食物繊維は虫歯菌の栄養にはなりませんが、糖質は虫歯菌のエサになります。
炭水化物をはじめとした糖の摂取をやめることが出来れば、虫歯菌を増殖させたり、虫歯菌が酸を出しにくくすることが出来るのではないかと考えられますが、逆に考えると炭水化物を摂取している限り、甘いものを断っても虫歯予防には余り効果がないのではとも思えます。
そのように考えると、人間の口の中は虫歯菌にとっては最高に住みやすい環境といえます。人間の食べ物には炭水化物が豊富に含まれているからです。
虫歯の予防はどうやったらいいの?
虫歯を予防するためには、虫歯になる要因に対してのアプローチが必要です。
①歯垢を出来る限り除去する
歯垢がたまりやすい場所は虫歯の出来やすい場所です。歯の表面は唾液に洗われるので歯垢はたまりません。
歯垢がたまりやすいとされている場所は以下のようなところです。
- 奥歯の噛む面の溝
- 歯と歯の隣り合う面
- 一番奥の歯の後ろ面
- 親知らずが傾いて生えているところ
- 歯周病で歯肉が下がってできた隙間
- 歯並びが悪く歯が重なっているところ
これらの場所は特に気をつけて歯磨きしましょう。市販されているプラークチェッカーと呼ばれる赤い染め出し液を使うと、磨き残しが赤く染まるので、普段磨けていない部分が良く分かります。
②シュガーコントロール
現代人の食事は、加工された炭水化物や糖質が過多になりがちで、それだけで虫歯のリスクは高くなります。
虫歯を予防するためには、糖分の量を控えるだけではダメで、摂取する頻度を少なくすることが大切です。
殆どの食事には砂糖などの糖分が含まれているため、一度食べ物や飲み物が口に入ると、歯垢の中にいる細菌が糖分を代謝して酸を作り、歯面を酸性に傾け歯を脱灰します。
唾液の力などにより、食後30分ほどでお口の中は中性に戻りますが、再び何かを飲食すると酸性に傾いてしまいます。つまり、ダラダラと飲食し続けていると、pHが酸性で、歯が溶かされる時間がずっと続いたままになります。
頻繁に飲食を繰り返したり、ダラダラ食べ続ける、飲み続けると虫歯になりやすいということを覚えておきましょう。
③歯質の強化、唾液の作用
歯質自体を強化して酸に対する抵抗性を高めるには、フッ化物が有効です。虫歯のリスクの高い方は、必ずフッ化物配合の歯磨き剤を使いましょう。
また、唾液が酸性に傾いた環境を回復させてくれますが、夜寝ている間は唾液が出る量が極端に低下します。そのため就寝中は、お口の中で菌が繁殖しやすく、虫歯が進行しやすい時間帯なので、就寝前には飲食しないようにしましょう。就寝前に必ず歯磨きをすることで、就寝中に虫歯になるリスクを減らすことが出来ます。
以上の①から③に気をつけて、生活習慣を改善し、虫歯を予防しましょう。
「虫歯にならないためには歯を磨いて甘いものを控える」は正しい?正しくない?
「歯を磨かなければ虫歯になる」
「甘いものを食べると虫歯になる」
虫歯になる要因として真っ先にあげるのはこの2つではないでしょうか。
では、逆に、歯をきちんと磨いて甘いものを食べないようにすれば、虫歯にならないのでしょうか? 実は、歯をきちんと磨いて甘いものを食べなくても、虫歯になってしまいます。
一方では、あまり歯を磨かず、甘いものも自由に食べているのに虫歯にならない方がおられます。どうしてそうなるのでしょうか?
まず、「歯磨きを行い、甘いものを控えると虫歯になりにくい」というのは正しいです。虫歯にならないようにするには、歯磨きすることと甘いものを控えることは必要です。
しかし、虫歯にならないための条件は、そう単純ではありません。虫歯の原因となる虫歯菌を、効果的に減らし、繁殖させないということが必要になります。
虫歯のメカニズムとは?
私たちの口の中には500~700種類の細菌が棲息していて、その総数は1000億匹以上になるといわれています。
虫歯の原因となるのは、この中の一部の最近です。一番有名なのはミュータンス菌(ストレプトコッカス・ミュータンス)で、便宜的にミュータンス菌は虫歯菌と呼ばれます。
他にもストレプトコッカス・ソブリナスやラクトバチルスといった虫歯菌もいます。
これらの虫歯菌たちが、口内にある食べカスをエサにして酸を出し、歯を溶かしていくというのが虫歯のメカニズムです。
歯磨きは虫歯菌たちのエサとなる食べカスを清掃してきれいに除去するのが目的です。いくら歯磨きをしても、やり方が悪くてお口の中がきれいになっていないと、虫歯の予防にはなりません。
虫歯になりやすい理由に関するQ&A
虫歯になりやすい理由は、口内に存在する虫歯菌が食べカスをエサにして酸を出し、歯を溶かすことにより生じます。虫歯菌は口内に多く存在し、特に糖を好んで摂取し、酸を生成することで歯を傷つけます。また、歯の表面の歯垢がたまりやすい場所や歯並びの悪さなども虫歯の発生を促す要因です。
虫歯の予防には歯磨きや甘いものの制限が重要ですが、虫歯の発生は単純な要因だけで決まるわけではありません。虫歯の発生には個人の口内環境や免疫力、歯の質なども関与しています。したがって、歯を磨いて甘いものを控えていても、他の要因が影響して虫歯になることがあります。
虫歯の発生は個人の口内環境や免疫力、歯の質などによって異なります。一部の人は、口内環境が虫歯になりにくい状態にあるため、歯を磨かずに甘いものを食べていても虫歯にならない場合があります。また、免疫力が高く、歯の質が強い人も虫歯になりにくい傾向があります。
まとめ
虫歯になる理由やタイミングを知ることで、効果的に虫歯予防が出来ます。虫歯のリスクを高めるような週間がないか見直して、出来るだけリスクを減らすようにして虫歯にならないようにしましょう。