「歯茎が腫れたり出血したりするのはなぜですか?
主な原因は、歯垢に含まれる細菌によって歯茎に炎症が起こる「歯肉炎」や「歯周炎」です。ただし、親知らずの周囲の炎症、歯の根の感染、歯磨きによる傷などでも、腫れや出血が起こることがあります。
歯磨きのときに少し血が出るだけでも、繰り返す場合は歯科医院で原因を確認しましょう。強い痛みや顔の腫れ、発熱がある場合は、早めの相談が必要です。
この記事を読むとわかること
- 腫れや出血の主な原因 → 歯周病のほかに、どのような状態が考えられるかを説明します。
- 受診を急ぐ目安 → 症状の強さや広がりに応じて、いつ相談すべきかを紹介します。
- 自宅でできる対応 → 出血しているときの歯磨きや、避けたい行動をお伝えします。
歯科医院での検査・治療 → 原因を確認したうえで、どのような処置を行うかを整理します。
腫れや出血は、お口の状態を見直すきっかけです。原因によって対応が変わるため、見た目だけで決めつけず、気になる変化を歯科医院に伝えましょう。
目次
歯茎が腫れたり出血したりするのはなぜですか?
歯茎の腫れや出血は、歯垢がたまって歯茎に炎症が起こることで生じる場合が多くあります。歯周病以外にも、歯の根の感染や親知らずの周囲の炎症、傷などが原因になることがあります。
主な原因は歯茎の炎症ですが、原因は一つではありません。
歯と歯茎の境目に歯垢が残ると、細菌の影響で歯茎が赤く腫れ、歯磨きの刺激で出血しやすくなります。炎症が歯茎に限られている状態を「歯肉炎」といいます。
炎症が進んで、歯を支える骨などにも影響が及んだ状態が「歯周炎」です。歯周炎は痛みが目立たないまま進むこともあります。
歯茎の腫れや出血には、次のような原因が考えられます。
似た症状でも必要な処置は異なるため、原因の確認が大切です。
| 考えられる原因 | 腫れや出血が起こる例 |
|---|---|
| 歯肉炎・歯周炎 | 歯垢などの影響で歯茎に炎症が起こり、歯磨きのときに出血することがあります。 |
| 親知らずの周囲の炎症 | 歯と歯茎の間に汚れがたまり、奥の歯茎が腫れたり痛んだりすることがあります。 |
| 歯の根の感染 | 歯の根の先に感染が起こり、その近くの歯茎が腫れることがあります。 |
| 歯茎への刺激や傷 | 歯ブラシの強い接触や、食べ物が刺さったことなどで出血する場合があります。 |
| 体調や薬の影響 | 妊娠などによる体の変化や、一部の薬の影響で、歯茎が腫れやすくなったり出血しやすくなったりすることがあります。 |
歯周病による炎症と、歯ブラシによる傷が重なることもあります。
血を止めることだけでなく、なぜ出血したのかを確かめましょう。
なお、血液を固まりにくくする薬などを服用している方は、薬の名前を歯科医院に伝えてください。自己判断で服用を中止せず、必要に応じて処方した医師にも相談します。
腫れ方や出血の場所で原因はわかりますか?
腫れや出血の場所、起こるタイミングは、原因を調べる手がかりになります。ただし、同じような症状でも複数の原因が考えられるため、場所だけで診断することはできません。
「どこが・いつ・どうなるか」を受診時に伝えましょう。
例えば、口全体の歯茎から歯磨きのたびに血が出る場合と、奥歯のさらに奥だけが急に腫れた場合では、歯科医院で確認したいことが変わります。
次の表は、原因を決めるものではなく、症状を伝えるための目安です。
鏡で見える範囲と、ご自身が感じる変化を確認してみましょう。
| 気になる場所・状況 | 受診時に伝えたいこと |
|---|---|
| 歯磨きのたびに複数の場所から出血する | いつ頃から続いているか、腫れや口臭も気になるかを伝えます。 |
| 奥歯のさらに奥が腫れている | 親知らずが生えているか、口を開けると痛むかを伝えます。 |
| 1本の歯の近くが繰り返し腫れる | 以前の治療歴や、噛むと痛むか、膿のようなものが出るかを伝えます。 |
| 歯と歯の間だけが痛む・出血する | 食べ物が挟まった後か、フロスを使ったときかなど、起きた状況を伝えます。 |
一度腫れが引いても、原因が残っていれば繰り返すことがあります。
「以前も同じ場所が腫れた」という情報も、診察の手がかりになります。
関連ページ:歯茎から膿が出る原因と注意点
どんな腫れや出血があるときに早く受診すべきですか?
歯磨き時の出血や軽い腫れでも、繰り返す場合は歯科医院で確認しましょう。強い痛み、膿、顔に広がる腫れ、発熱がある場合は、早めに連絡する必要があります。
症状が強いときや、腫れが広がるときは早めに相談しましょう。
歯周病は、痛みが少ない時期にも進行することがあります。「血は出るけれど痛くないから大丈夫」と考えず、診療時間内に予約して確認しましょう。
受診の急ぎ方は、腫れの範囲や全身の症状によって変わります。
予約時に、いつからどのような症状があるかを伝えてください。
| 症状 | 相談・受診の目安 |
|---|---|
| 歯磨きのときに出血する、軽い腫れが続く | 診療時間内に歯科医院へ連絡し、診察を予約しましょう。 |
| 強い痛み、膿、歯のぐらつき、大きな腫れがある | 早めに歯科医院へ連絡し、症状を伝えて受診してください。 |
| 顔まで腫れている、発熱がある、口が開けにくい | 当日中を目安に歯科医院へ相談し、受診先の指示を受けてください。 |
| 息がしにくい、飲み込みにくい、多量の出血が止まらない | 救急医療機関へ連絡し、緊急性が高い場合は119番に相談してください。 |
歯の周囲の感染が広がると、顔や顎まで腫れることがあります。
呼吸や飲み込みに支障がある場合は、通常の歯科予約を待たずに救急対応が必要です。
関連ページ:親知らずが痛いときの応急処置と受診を急ぐ症状
歯茎が腫れて出血しているときも歯磨きは続けていいですか?
軽い出血であれば、歯磨きをやめず、やわらかい歯ブラシで歯と歯茎の境目を優しく清掃しましょう。強い痛みや出血が続く場合は、無理に触らず歯科医院へ相談してください。
出血を恐れて磨かないのではなく、刺激を抑えて清掃しましょう。
歯肉炎がある部分を避け続けると、歯垢が残りやすくなります。一方、出血を止めようとして強く磨くと、歯茎を傷つけることがあります。
受診までの間は、次の点を意識してください。
- やわらかめの歯ブラシを使います → 毛先を歯と歯茎の境目に軽く当て、小さく動かして磨きます。
- 歯と歯の間も無理のない範囲で清掃します → フロスや歯間ブラシを強く押し込まず、サイズや使い方がわからない場合は歯科医院で確認しましょう。
- 少量の出血は清潔なガーゼで押さえます → 出血が止まりにくい、量が多い、繰り返す場合は歯科医院に連絡します。
- 腫れた部分を押したり、膿を出そうとしたりしません → 痛みが強い部分を傷つけるおそれがあるため、そのまま診察を受けましょう。
自宅での清掃は、原因を取り除くための大切な一歩です。ただし、歯石や歯の根の感染は歯磨きだけでは対処できません。症状が続く場合は、ケアを続けながら歯科医院に相談してください。
歯科医院では原因をどのように調べますか?
歯茎の腫れや出血の場所を確認し、歯垢や歯石の付着、歯周ポケットの深さ、歯の動きなどを調べます。必要に応じてレントゲンを撮り、歯を支える骨や歯の根の状態も確認します。
歯茎だけでなく、歯や骨の状態も合わせて調べます。
歯科医院では、まず「いつから腫れているか」「歯磨きのときだけ出血するか」「同じ場所が繰り返し腫れるか」などを伺います。服用している薬や持病、妊娠中であることなども、診察に役立つ情報です。
歯周病が疑われる場合は、歯と歯茎の境目にある溝の深さを測り、出血や歯のぐらつきも確認します。歯周ポケットの深さは参考になりますが、その数値だけで歯周病の進行度を決めることはできません。
検査が痛そうで心配な場合や、触れるだけで強く痛む場合は、診察前にお伝えください。必要な検査を説明したうえで、お口の状態を確認します。
関連ページ:歯周病の検査内容と歯周ポケット・レントゲンでわかること
歯茎の腫れや出血はどのように治療しますか?
歯肉炎や歯周炎では、毎日の歯磨きの改善と、歯科医院での歯垢・歯石の除去が基本になります。歯の根の感染や親知らずの周囲の炎症が原因の場合は、それぞれに合った治療を行います。
原因を調べ、それに合った治療を選びます。
歯肉炎は、歯垢などの原因を取り除き、適切な清掃を続けることで改善が期待できます。歯周炎では、歯を支える骨の状態も確認しながら、継続して治療・管理を行います。
腫れや出血に対する治療は、原因によって異なります。
検査結果をもとに、必要な処置を相談しながら進めます。
| 主な原因 | 治療・対応の例 |
|---|---|
| 歯肉炎 | 歯磨きの方法を確認し、必要に応じて歯垢や歯石を除去します。 |
| 歯周炎 | 歯周ポケット内の清掃や歯石の除去を行い、状態に応じて歯周外科治療などを検討します。 |
| 親知らずの周囲の炎症 | 周囲を清掃し、炎症や歯の生え方によっては抜歯を検討します。 |
| 歯の根の感染 | 歯の根の治療などを行い、感染の原因に対応します。 |
| 歯茎の傷・合わない詰め物など | 傷の原因を確認し、必要に応じて清掃方法や修復物を調整します。 |
腫れが引いても、治療の途中で通院をやめると、原因が残ることがあります。
治療後も、お口の状態に合った間隔で健診を受け、再び炎症が起きていないか確認しましょう。
なお、検査や清掃の方法、保険適用の範囲、費用は、お口の状態や診療内容によって異なります。気になる場合は、処置の前にお尋ねください。
関連ページ:梅田クローバー歯科の歯周病治療
まとめ|歯茎の腫れや出血に気づいたら、どうすればよいですか?
歯茎の腫れや出血は、歯垢による歯肉炎・歯周炎のほか、親知らずや歯の根の感染、傷などでも起こります。症状の場所や続いている期間を伝え、歯科医院で原因を確認しましょう。
腫れや出血が続くときは、原因を調べることが大切です。
歯磨きのたびに出血する場合や、同じ場所が繰り返し腫れる場合は、痛みが軽くても一度相談しましょう。受診までの間は、強くこすったり腫れを押したりせず、できる範囲で優しく清掃します。
梅田クローバー歯科クリニックでは、歯茎の状態や症状を確認し、原因に合わせた治療をご案内します。「歯磨きのときだけ血が出る」「前にも同じ場所が腫れた」といった小さな変化も、遠慮なくお伝えください。
参考文献・情報源
- 英国国民保健サービス(NHS)「Gum disease(歯周病)」(英語)
歯茎の腫れや出血などの症状、歯科医院への相談が必要な状態について解説しています。 - 米国国立歯科・頭蓋顔面研究所(NIDCR)「Periodontal(Gum)Disease(歯周病)」(英語)
歯周病の原因や症状、歯周ポケットの検査、歯石除去などの治療について解説しています。 - 英国国民保健サービス(NHS)「Dental abscess(歯や歯茎の膿瘍)」(英語)
歯や歯茎の感染によって膿がたまった場合の症状と、緊急の対応が必要な状態について解説しています。 - 英国国民保健サービス(NHS)「How to find an NHS dentist in an emergency(歯科の緊急受診)」(英語)
歯茎の腫れや出血を含む歯科の緊急症状と、救急対応が必要な状態について解説しています。
※本記事は上記の情報源などを参考に、一般の方にわかりやすい内容となるよう編集・構成しています。




