インプラント

インプラント治療のメリット・デメリットを教えて

インプラント治療のメリット・デメリット

インプラント治療には多くの長所がありますが、反面いくつかの短所もあります。インプラント治療を検討されている方は、その長所・短所の両方を把握しておきましょう。

インプラント治療のメリット(長所)

インプラント治療には多くのメリットがあります。一つひとつみていきましょう。

長所①しっかり噛めて味わえる

おにぎり

インプラント体は骨と結合するため、歯槽骨に完全に固定されています。骨が噛む力をしっかりと受け止めますので、噛む力は天然歯とほぼ変わらず、歯を失う前と同じように噛むことができます。

入れ歯は歯茎に乗っている状態ですのでぐらつきやがたつきが生じることがあり、長期間使用している間に歯茎の形に合わなくなるということが起こりますが、インプラントではそのような心配はありません。

総入れ歯の場合は、上顎に分布する味蕾(味を感じる器官)が入れ歯の床縁で覆われて、味が分かりにくくなってしまいがちです。

しかし、インプラントは顎の骨に埋め込まれており、構造的に自分の歯と似ていますので、お口の中を大きく覆う必要はなく、食べ物の味や感触がよくわかります。

長所②外れる心配がない

食事の途中やくしゃみをした時に、総入れ歯が外れてしまうことがあります。インプラントは歯槽骨にしっかりと結合し、その上にアバットメントと被せ物が固定されていますので、
入れ歯のように外れる心配はありません。

そのため総入れ歯が人前で急に外れたらどうしようと、不安に思いながら過ごすようなストレスとは無縁になります。

長所③美しい自然な仕上がり

きれいな歯

インプラントは一般的にセラミックで被せ物を作ります。構造的に外からは被せ物しか見えないため、自然の歯とほぼ同じように見え、違いが殆どわかりません。

白い歯は健康のシンボルであり、人工の歯であることが外見からは全く分らないことは、インプラント治療の大きな魅力の一つです。

長所④歯槽骨が痩せるのを防ぐ

入れ歯を長年装着していると、歯槽骨が少しずつ吸収されていってしまいます。これは歯茎の上に乗っているだけという入れ歯の構造上の問題です。

インプラントの場合は天然歯と同じように歯槽骨の中に人工歯根が埋め込まれていますので、噛むときの力が歯槽骨に伝わり、歯槽骨の吸収を防いでくれます。

インプラント治療のデメリット(短所)

次に、インプラント治療のデメリット(短所)を上げていきましょう。

短所① 外科手術手術を含め、長期の治療期間が必要

インプラントの手術の前には、検査、診断、治療計画というステップが必要です。手術後もインプラント体が歯槽骨と完全に結合するには月単位での期間が必要で、それからアバットメント、被せ物を取り付けるという手順になります。

全体の治療期間としては、3〜10ヵ月程度かかることが多いです。

短所②治療に制限がある

全身の病気

インプラント手術はどなたでも受けることが出来るというわけではありません。

高血圧症、心疾患、脳血管障害、糖尿病、骨粗しょう症、消化器疾患、ウイルス性疾患、腎機能障害、気管支喘息、慢性閉鎖性肺疾患(COPD)、血流疾患、自己免疫疾患、アレルギー疾患、精神疾患などの持病のある人は、手術及び術後に危険を伴う恐れがある場合、手術ができないことや、投薬による持病のコントロールが必要なことがあります。

短所③インプラント周囲炎の恐れ

インプラントがもしきちんとメンテナンスされていない場合、「インプラント周囲炎」を起こす危険があります。

インプラント周囲炎とは、歯周病を引き起こす細菌の感染によって、インプラントの周囲の歯肉や歯周組織に炎症が起こることをいいます。

周囲炎の症状は歯周病に似ており、インプラント周囲の歯肉が腫れて歯周ポケットから出血や膿が出るようになります。そのまま周囲炎が進行していくと、歯槽骨が吸収されて最後にはインプラントが抜けてしまいます。

そうならないために、メンテナンスを必ず受けていただくことが重要になります。

短所④費用が高額

費用

インプラントはごく限られた条件の場合を除いて、基本的には健康保険が適用されない自由診療(自費診療)となります。自由診療は治療費の全額が患者さん負担ですので、かなり高額になってしまいます。

インプラントを1本埋入する治療では、費用の目安は医療機関によって違いますが、およそ30万円~60万円です。被せ物(上部構造)の材質によって少し金額が変動します。更に、増骨(造骨)の手術の有無や、特別な麻酔を必要とするかどうかによっても金額が変わります。

なお、インプラント治療は高額医療費として認められており、確定申告の際に医療費控除の申告をすれば(一般に1年間の医療費が10万円以上200万円まで)控除を受けることが出来ます。

インプラント治療とは

インプラントの構造

インプラント治療とは、歯が抜けた部分にインプラント(人工歯根)を埋め込むことで失った歯の機能を補う治療法です。インプラントは顎骨に埋め込まれた後、骨と結合して固定され、しっかりと噛めるようになります。

インプラントの上にはセラミックなどで作られた被せ物(上部構造)を取り付けます。セラミックで作れば隣の歯とほぼ同じ色に仕上げることが出来るため、見た目が美しいだけでなく、噛み心地も天然の歯と変わりません。

インプラント

インプラント手術を受ける際の注意点

インプラント手術は外科手術ですので、手術前後にいくつか注意すべきポイントがありますのでご説明します。

  1. 手術前日は十分な睡眠を取って体調を整える。
  2. 静脈鎮静法の麻酔を受ける場合は、帰宅時は車の運転を避ける。自転車も避け方が良い。
  3. 手術当日は出血しやすいため、うがいは控えめにし、強く行わない。
  4. 手術後の痛みや腫れには、痛み止めを服用し、部位を軽く冷やす。痛みがなければ不要。
  5. 抗生物質は指示通りに服用する。自己判断で中断しない。
  6. 上顎の手術後は鼻血が出やすいので、強く鼻をかまない。
  7. 喫煙は傷の治癒を遅らせ、骨とインプラント体の結合を妨げるため、手術後は控える。
  8. 飲酒、入浴、激しい運動は避ける。シャワーを推奨。
  9. 治療箇所を舌や指で触らないようにする。
  10. 手術後は治療箇所でものを噛まないようにする。
  11. インプラント治療完了後は定期的なメンテナンスを受ける。インプラントを長持ちさせ、歯科医院の保証を受けるために必要になる。
  12. 帰宅後に異常を感じたらすぐに担当医に連絡して指示を仰ぐ。

インプラント治療のメリット・デメリットに関するQ&A

インプラント治療の最大のメリットは何ですか?

インプラント治療のメリットは多岐にわたりますが、その中でも特に、天然歯に近い噛む力を得られること、外れる心配がないこと、美しい見た目を持つこと、歯槽骨が痩せるのを防げることが挙げられます。

インプラント治療を受けるための制限は何ですか?

インプラント治療は高血圧症、心疾患、脳血管障害、糖尿病、骨粗しょう症、消化器疾患、ウイルス性疾患、腎機能障害、気管支喘息、慢性閉鎖性肺疾患(COPD)、血流疾患、自己免疫疾患、アレルギー疾患、精神疾患などの持病がある人には制限があります。

インプラント治療は見た目にどのような影響を与えますか?

インプラント治療は非常に自然な見た目を提供します。セラミックで作られた被せ物は自然の歯とほぼ同じ色に仕上がり、人工の歯であることが外見からはほとんど分かりません。

まとめ

インプラント治療は、歯が抜けた部分に人工歯根を埋め込む手法で、噛む力や見た目が天然歯に近いという長所があります。さらに、総入れ歯が外れる心配がなく、食事の味を感じやすい、自然な外観が得られるというメリットも存在します。一方、治療期間は長く、一部の慢性疾患の患者には適用できないなどの制約があります。インプラント周囲炎のリスクも存在し、良好な口腔ケアが必要です。また、保険適用外で費用が高いこともデメリットとなりますが、医療費控除の対象となる場合があります。

この記事の監修者
医療法人真摯会 梅田クローバー歯科クリニック
院長 久野 喬

2014年 松本歯科大学卒業卒業。日本障害者歯科学会 認定医。ACLS講習終了。日本口腔インプラント学会。日本小児歯科学会。日本接触嚥下リハビリテーション学会。

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梅田クローバー歯科クリニック

大阪矯正歯科グループ大阪インプラント総合クリニック