歯と口のトラブル

虫歯の治療法を教えて

虫歯の治療法とは?

梅田クローバー歯科クリニック 歯科医師 久野 喬

「この痛み、どうにかしたい…」あなたの気持ち、よく分かります

ガリッ……。
「あっ、痛っ!!」
アイスを食べた瞬間に、思わず顔をしかめたこと、ありませんか? それとも、朝のコーヒーを一口飲んだ瞬間、ズキンとしたことは?

気になりつつも、「そのうち良くなるだろう」「忙しいから後回し」と放置してしまいがちな虫歯。けれど、そのままにしていると、ある日突然、ズキズキと鋭い痛みに襲われ、何も手につかなくなってしまうことも……。

「痛いのは嫌だけど、歯医者に行くのも怖い」
そんな気持ち、すごくよく分かります。

でも、大丈夫。今の歯科治療は、あなたが思っているよりずっと進化していて、「痛くない」「怖くない」方法がたくさんあります。この記事では、虫歯の進行度別の治療法と、できるだけ痛みを抑える最新の治療について、わかりやすくお伝えします。

次の一口を、安心して楽しめる未来のために。
さあ、一緒に虫歯治療について学んでいきましょう!

虫歯の原因

虫歯はなぜできるのでしょうか? 実は、虫歯の発生には**「4つの要素」**が深く関わっています。

どうして虫歯になるの?

どうしてむし歯になるのかご存知でしょうか。
虫歯とは歯の感染症の一種で、歯をむしばむというところから虫歯と言われています。

虫歯菌(ミュータンス菌)は最初から口の中に存在しているのではなく、幼児の頃の口移しや食器の共有などが原因で感染すると言われています。
食べもの、とくに糖類や穀物はむし歯菌の好物で、細菌はこれらを食べて酸を分泌します。その酸が歯の表面の硬いエナメル質を溶かしていくのです。

細菌(ミュータンス菌)

口の中には無数の細菌が存在しています。その中でも「ミュータンス菌」は、糖を分解して酸を作り出し、歯を溶かしてしまう性質を持っています。

糖分(食べ物・飲み物)

糖分は、虫歯菌が酸を作り出すためのエネルギー源となります。特に、砂糖が多く含まれた食品やジュースなどを頻繁に摂取すると、虫歯のリスクが高まります。

歯の質(抵抗力)

歯の強さには個人差があり、エナメル質が弱い人は虫歯になりやすい傾向があります。また、唾液の量や質も歯の健康に大きく影響します。

時間(歯に残る時間)

食べ物のカスや糖分が長時間歯に付着していると、細菌が活発に活動し、虫歯が進行しやすくなります。特に、寝る前の歯みがきを怠ると、虫歯になりやすくなります。

虫歯はこれらの要素が重なることで発生しますが、しっかりとした予防策を取ることで防ぐことができます。

C0~C4の虫歯の進行とは?

虫歯はC0~C4の記号によって進行度を表します。虫歯の進行具合によって治療方法は変わり、重度の虫歯になると神経を取ったり、最悪の場合は抜歯になります。そのため、虫歯は出来るだけ早期発見し、早期治療が望ましいとされます。

虫歯の進行

歯がしみるといっても、それが虫歯のどの段階なのかを知っている人は意外と少ないです。ここでは、進行度ごとの症状をまとめました。

  • C0 (初期の虫歯) → 表面が白く溶け始めるが痛みはない
  • C1 (エナメル質の虫歯) → 穴が開き始めるが痛みはない
  • C2 (谷牙質まで進行) → 冷たいものや甘いものでしみる
  • C3 (神経に達する) → ズキズキとした痛みがある
  • C4 (歯の根まで侵食) → 神経が死んでまともにかめない

虫歯の進行別治療方法

歯がしみるといっても、それが虫歯のどの段階なのかを知っている人は意外と少ないです。ここでは、進行度ごとの症状をまとめました。

【C0】初期虫歯

  • フッ素塗布やシーラントを施し、虫歯の進行を防ぎます。
  • 歯の表面がわずかに溶けかかっている状態なので、適切な歯磨きとフッ素の活用で自然修復を促すことも可能です。

状態 → 歯の表面が白く濁った状態

治療 → フッ素塗布や唾液の力で自然に治癒が望めます

初期虫歯は唾液による再石灰化で自然に治る場合があるため経過観察となるケースがあります。削ってレジンで詰める場合もあります。

【C1】エナメル質の虫歯

状態 → 歯の表面に穴があいた状態

治療 → 黒ずんだ穴部分のみを削って、詰め物をします

エナメル質の虫歯はまだ穴が小さいため、歯を削る量が少なく済みます。削った部分は型取りをして金属やセラミックの詰め物を詰めて補います。

【C2】象牙質の虫歯

  • 虫歯がエナメル質を超えて谷牙質まで達した場合、レジン(プラスチック素材)を使用して詰める治療が行われます。
  • 詰め物の色は天然歯と馴染みやすく、見た目にも違和感が少ないため、前歯などにも適しています。

状態 → 虫歯の穴がエナメル質の下にある象牙質まで広がった状態

治療 → 虫歯部分を削って、詰め物または被せ物をします

象牙質はエナメル質よりも柔らかいため、虫歯の進行が速いので注意が必要です。虫歯をきれいに削り取った後、型取りをして詰め物か被せ物で治療します。

【C3】歯の神経に達した虫歯

  • 虫歯が歯の神経(歯髄)にまで進行すると、ズキズキとした強い痛みが生じます。
  • この段階では「根管治療(こんかんちりょう)」が必要になります。
  • 根管治療では、感染した神経を除去し、消毒した後に密閉することで歯を残せる可能性があります。

状態 → 象牙質の中にある歯の神経まで虫歯が届いた状態

治療 → 汚染された神経を取り除き、消毒後、薬剤を詰めて被せ物をします

歯の神経に虫歯が達すると、ズキズキと強い痛みが起こる場合があり、虫歯を削り取った後、歯の神経を取る抜髄の処置が必要になります。抜髄のためには通院回数が数回必要になり、神経を取った歯は感染に弱くなるため、出来るだけC2の段階での治療が好ましいです。

【C4】歯の根だけが残った虫歯

  • 歯の根の部分まで虫歯が進行し、神経が完全に死んでしまうと、抜歯が必要になることがあります。
  • 抜歯後は、インプラントやブリッジ、入れ歯といった補綴治療(ほてつちりょう)が選択されます。
  • 最近では、できる限り歯を残すための方法として「根面被覆(こんめんひふく)」などの歯周外科治療が行われることもあります。

状態 → 歯の神経が死に、歯が半分以上機能していない状態

治療 → ほとんど場合が抜歯になります

虫歯が進行して歯の根だけが残った状態になると、抜歯が必要になります。抜歯後の治療はブリッジ、入れ歯、インプラントの3つから選択しなければなりません。どの治療方法にもメリットとデメリットがありますので、抜歯後の治療については担当医とよく話し合ってお決めいただきたいと思います。

脱灰と再石灰化とは?

歯の再石灰化と脱灰

歯が少し溶けた状態を脱灰といい、ペーハー4以下の酸性で始まります。食事をしただけで、口の中はペーハー4になります。脱灰してもすぐ虫歯になるわけではないですがそれは、その部分が再石灰化するからです。

つまり、エナメル質に酸が付着すると、歯の表面からミネラルやイオンなどが流れ出します。これが脱灰です。

この一度は溶け出たイオンやミネラルが、再び歯の表面に戻って、溶かされた歯の表面を修復する作用が再石灰化です。これは食事のたびに繰り返されます。

そして修復が間に合わないと、次第に穴となっていきます。脱灰と再石灰化のバランスが取れている時には、虫歯にはなりません。ところが歯みがきが十分に出来ていない場合に、細菌が増殖してバイオフィルムをつくります。

バイオフィルムとは?

バイオフィルムとは微生物の集合体のことで、歯の表面に薄い膜のような形でくっついています。バイオフィルムは歯みがきでは取れないので、そこに着いた細菌の酸によって歯がどんどん溶かされて虫歯になってしまいます。

このバイオフィルムや歯垢をとるのが当院で歯科衛生士がやっているPMTCという歯の徹底クリーニングです。これを定期的に受けることにより、虫歯を防ぎいつまでも長持ちする健康な歯にすることができます。

ただし、毎日の歯みがき等のセルフケアが最も大事なのは言うまでもありません。
当院では歯みがき指導もおこなっていますので、正しいみがき方でプラークを徹底的に落として歯をきれいに保ってくださいね。

虫歯の治療法に関するQ&A

C0の虫歯の状態とは何ですか、そしてどのように治療されますか?

C0の虫歯は歯の表面が白く濁った状態を指し、フッ素塗布や唾液の力で自然に治癒が望めます。

C3の虫歯の治療法は何ですか?

C3の虫歯では、汚染された神経を取り除き、消毒後、薬剤を詰めて被せ物をします。

C4の虫歯の状態と治療法は何ですか?

C4の虫歯は歯の神経が死に、歯が半分以上機能していない状態を指し、ほとんどの場合は抜歯になります。

まとめ

虫歯の進行と治療についてご説明しました。虫歯はC0の初期虫歯は自然に治ることはありません。そのため、定期健診で虫歯予防をしながら、もし虫歯になってしまっても進行する前の軽い状態で治療出来るようにしましょう。

この記事の監修者
医療法人真摯会 梅田クローバー歯科クリニック
院長 久野 喬

2014年 松本歯科大学卒業卒業。日本障害者歯科学会 認定医。ACLS講習終了。日本口腔インプラント学会。日本小児歯科学会。日本接触嚥下リハビリテーション学会。

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