小児歯科

歯科医院での子供の虫歯予防について教えて

歯科医院での子どもの虫歯予防について教えて

歯科医院で行っている子供の虫歯予防の代表的な方法として、フッ素塗布とシーラントについてご説明します。

歯科医院での子供の虫歯予防

歯科医院で行う子供の虫歯予防のための処置として代表的なものは、①フッ素塗布 ②シーラント です。フッ素はドラッグストアで様々なフッ素入りの歯磨き剤やデンタルリンスが販売されていますが、歯科医院では子供用の高濃度のフッ素配合の歯磨き剤も販売されていますので、気になる方は歯科でお尋ねください。

フッ素塗布での虫歯予防

フッ素塗布はいつ頃からするの?

子供へのフッ素塗布は、できればなるべく早い時期に行うことをお勧めしますが、具体的な時期に関してはまず歯科医師に相談しましょう。

フッ素塗布は3ヶ月に1回程度継続して行って頂くと効果が期待出来ます。
その際に歯科医師が定期健診として子供の歯の状態を診ますので、虫歯や永久歯への生え変わりや歯並びの状態を確認いたします。

フッ素の働き

歯科医院で行うフッ素塗布はどう違うの?

歯科医院ではフッ素塗布の前に歯垢を除去して歯をきれいな状態にします。その後高濃度のフッ素を綿球や歯ブラシを使って歯に直接塗布しますので、効果が高くなります。歯でトレーを噛んで行う方法もあります。

フッ素塗布の効果

フッ素は歯の再石灰化を防ぐと共に、虫歯菌が酸を作り出すのを抑制しますので、フッ素を直接歯に塗布することは、乳歯か永久歯かに関わらず虫歯予防の定番と考えられています。

フッ素塗布にはそれ以外にも、歯の質を強化する効果がありますので、歯の質が弱い方にはフッ素塗布はとても効果があります。もちろん子供だけでなく大人にも効果があります。

歯の表面に作用してエナメル質を強くする

乳歯や生え代わったばかりの歯は弱く虫歯になりやすい状態です。この時期にフッ素を使うとエナメル質が強くなって虫歯になりにくい状態を作ります。

虫歯菌が歯を溶かす酸を作るのを防ぐ

虫歯は虫歯菌が出す酸によって歯が溶かされる病気です。フッ素は虫歯菌が酸を作り出すのを抑制しますので、虫歯が出来にくい状態になります。

再石灰化をすすめる

毎日の食事のたびに歯の表面では、脱灰と再石灰化が起こっています。フッ素は歯の表面のリンやカルシウムと結合して酸に強い膜を作りますので、歯の修復を助けます。

自宅でフッ素を塗れますか?

フッ素入り歯磨き粉

ご自宅で塗布が出来るものとしては、フッ素入り歯磨き粉やフッ素スプレーがあります。お近くのドラッグストアで購入出来ます。

歯医者で販売している物は市販のものよりもフッ素の濃度が高く効き目も強いです。

シーラントでの虫歯予防

シーラント

シーラントの効果

奥歯の咬合面には複雑な形の溝があり、歯ブラシの毛が溝の奥まで届きにくいことから、虫歯になりやすいというリスクがあります。
シーラントは、奥歯の溝を埋めることで、食べかすが歯の溝に詰まったり、歯みがきできれいに歯垢を落としきれないことを防ぐ方法です。

その他の方法で虫歯予防

フッ素塗布とシーラント以外の虫歯予防策として、キシリトール入りのガムと乳酸菌タブレットをご紹介します。

キシリトール入りガム

日常の虫歯予防として、食事やおやつの後に口腔内での酸の発生を防ぐキシリトールガムを噛むという方法もあります。

フィンランドやスウェーデンでは、出産3ヶ月後から2年まで母親が一日2~3回キシリトールガムを噛むことによって、二歳児時点での母子感染率の低下に効果をあげています。

乳酸菌タブレット

乳酸菌タブレットWB21は虫歯菌を殺菌する効果があり、低いpHでも生きられるため胃酸で殺されることがないという特徴があります。
WB21乳酸菌はもともと唾液の中に存在している善玉菌です。WB21乳酸菌基礎研究で、ピロリ菌、虫歯菌、歯周病菌、カンジダ菌に対する効果が確認されており、福岡歯科大学、九州大学、東北大学で、口臭、歯肉出血を抑える効果が確認されています。北海道医療大学、福岡歯科大学では、虫歯菌を抑える効果が確認されています。

1日一錠を舐めることを習慣づけると、お口の中が善玉菌で満たされた環境になりますので、悪玉菌が入ってきても増殖させない効果が期待できます。

生活習慣

毎日の生活習慣も虫歯予防に密接につながっています。虫歯にならないために以下の点を注意しましょう。

  • おやつや食事は時間を決めて食べましょう
  • 糖分の多い甘いおやつや飲み物はなるべく控えましょう
  • 食後は歯磨きをしてしっかりプラークを落としましょう

赤ちゃんへの虫歯の感染はお母さんなど周囲の大人から

生まれたばかりの赤ちゃんのお口には虫歯菌はいないというのは、今では多くの方がご存じだと思います。赤ちゃんが虫歯菌に感染してしまうルートは、お父さん、お母さんなどの身近な大人からです。

コップやお皿などの食器や、スプーンやお箸を共用すると大人から赤ちゃんへ虫歯菌がうつってしまいます。それ以外には、大人が噛んで小さくした食べ物を与えたり、赤ちゃんへのキスなどが考えられます。

食器の共有をやめ、赤ちゃんの身近にいる大人の方は虫歯治療を行って、歯医者のメンテナンスに通うようにしましょう。

歯科医院での子供の虫歯予防に関するQ&A

フッ素塗布の虫歯予防効果とは?

フッ素塗布は歯の再石灰化を防ぎ、虫歯菌が酸を作り出すのを抑制します。また、歯の質を強化し、虫歯になりにくい状態を作ります。

フッ素塗布はいつから始めるべきですか?

フッ素塗布はできるだけ早い時期から始めることが推奨されます。具体的な時期については、歯科医師に相談するのが最善です。

お母さんやお父さんは子供の虫歯予防にどのように関わることができますか?

虫歯治療を行い、歯医者のメンテナンスに通うことで、大人は子供の虫歯予防に貢献できます。食器の共有を避けることも重要です。

まとめ

フッ素塗布やシーラントなど、歯科医院での代表的な子供の虫歯予防についてご説明しました。その他、キシリトール入りのガムや乳酸菌タブレットも効果的です。また、生活習慣の中にも虫歯になる原因が潜んでいますので、おやつの習慣などを見直し、甘いものをだらだらと食べたり飲んだりせずに時間を決めて与えましょう。

 

この記事の監修者
医療法人真摯会 梅田クローバー歯科クリニック
院長 久野 喬

2014年 松本歯科大学卒業卒業。日本障害者歯科学会 認定医。ACLS講習終了。日本口腔インプラント学会。日本小児歯科学会。日本接触嚥下リハビリテーション学会。

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梅田クローバー歯科クリニック

大阪矯正歯科グループ大阪インプラント総合クリニック