小児歯科

子供の虫歯予防は歯医者で何をする?フッ素塗布・シーラント・家庭での対策を解説

子供の虫歯予防は歯医者で何をする?フッ素塗布・シーラント・家庭での対策を解説

梅田クローバー歯科クリニック 歯科医師 久野 喬

子供の虫歯予防は歯医者で何をするの?

子供の虫歯予防では、歯科医院で行うフッ化物塗布やシーラントと、家庭で行う仕上げ磨き・フッ化物配合歯磨き剤・食習慣の管理を組み合わせることが大切です。

歯科医院でフッ素を一度塗っただけで、虫歯を完全に防げるわけではありません。一方、毎日丁寧に磨いていても、奥歯の深い溝や歯と歯の間など、家庭のケアだけでは守りにくい部分があります。

歯科医院と家庭の役割を分けるのではなく、両方をうまく組み合わせることが、子供の歯を守る近道です。

この記事を読むとわかること

  1. 歯科医院で行う子供の虫歯予防
  2. フッ素塗布を始める時期と受ける頻度
  3. フッ素塗布と家庭用歯磨き剤の違い
  4. シーラントが向いている歯と注意点
  5. 年齢に合った歯磨き剤の濃度と使用量
  6. 家庭でできる仕上げ磨きや食生活の工夫
  7. 親子の食器共有と虫歯の関係
  8. 歯科医院へ通う頻度の考え方

 

目次

子供の虫歯予防は歯医者と家庭のどちらが大切?

子供の虫歯予防は歯医者と家庭のどちらが大切?の図解

歯科医院と家庭のどちらも大切です。一方だけで虫歯を十分に予防するのは難しいでしょう。

虫歯は一つの原因だけでできるものではありません。虫歯の原因となる細菌、糖質をとる回数、歯の強さ、唾液の働き、歯垢が歯に付着している時間など、複数の要因が重なって発生します。

そのため、「毎日磨いているから大丈夫」「定期的にフッ素を塗っているから安心」とは言い切れません。

子供の虫歯予防は、次の4つを柱にして考えるとわかりやすくなります。

  1. フッ化物を適切に利用する
    → 家庭ではフッ化物配合歯磨き剤を使い、必要に応じて歯科医院でフッ化物塗布を受けます。
  2. 歯垢をきちんと取り除く
    → 子供本人の歯磨きだけに任せず、保護者による仕上げ磨きや確認を行います。
  3. 甘いものをとる回数を管理する
    → 甘いものの量だけでなく、口にする頻度や、だらだら食べる習慣にも注意が必要です。
  4. 定期的にお口の状態を確認する
    → 虫歯だけでなく、生え替わり、奥歯の生え方、歯並び、仕上げ磨きの状態などを確認します。

虫歯予防を「歯磨きだけ」「フッ素だけ」で考えると、守りきれない部分が出てきます。

梅田クローバー歯科では、予防処置を行うだけでなく、その子供がどこを磨きにくいのか、どのような飲食習慣があるのかまで確認することが重要だと考えています。

歯科医院と家庭では、虫歯予防における役割が異なります。どちらかを選ぶのではなく、それぞれの得意な部分を組み合わせることが大切です。

虫歯予防の場所 主な対策 役割
歯科医院 虫歯リスクの確認 初期虫歯、磨き残し、奥歯の溝、生え替わりなどを確認します。
歯科医院 フッ化物塗布 歯に高濃度のフッ化物を作用させ、虫歯になりにくい状態を目指します。
歯科医院 シーラント 歯ブラシが届きにくい奥歯の深い溝を保護します。
歯科医院 歯磨き指導 子供ごとに磨き残しやすい部分と、仕上げ磨きの方法を確認します。
家庭 毎日の歯磨き フッ化物配合歯磨き剤を使い、歯垢を継続的に取り除きます。
家庭 仕上げ磨き 子供本人が磨ききれない部分を保護者が補います。
家庭 食習慣の管理 甘いものをとる時間や回数を整え、歯が酸にさらされる時間を減らします。

歯科医院でできることには限りがあり、家庭でできることにも限界があります。歯科医院で定期的に状態を確認しながら、家庭で無理なく続けられる方法を見つけることが、長期的な虫歯予防につながります。

歯医者では子供の虫歯予防として何をする?

お口の状態を調べ、歯磨き指導、クリーニング、フッ化物塗布、シーラントなどを必要に応じて行います。

歯科医院での虫歯予防は、フッ素を塗るだけではありません。すでに虫歯ができていないか、歯垢が残りやすい場所はどこか、奥歯の溝が深くないか、永久歯が正しく生えているかなどを確認します。

お口の状態と虫歯リスクを確認する

同じ年齢の子供でも、虫歯になりやすさは異なります。
歯科医院では、次のような項目を確認します。

  • 過去に虫歯ができたことがあるか
  • 歯垢が多く付着していないか
  • 歯と歯の間が詰まっているか
  • 奥歯の溝が深くないか
  • 生えたばかりの永久歯があるか
  • 甘い飲食物をとる回数が多くないか
  • 仕上げ磨きが難しくないか
  • 矯正装置を使用していないか

過去に虫歯ができた子供や、歯垢が残りやすい子供は、今後も虫歯になるリスクが高いと考えられます。

虫歯の有無だけを確認するのではなく、「なぜその場所に歯垢が残るのか」「家庭でどこを改善できるのか」を見つけることが予防の第一歩です。

歯磨きや仕上げ磨きの方法を確認する

子供が毎日歯磨きをしていても、歯ブラシを口に入れているだけになっている場合があります。

特に磨き残しやすいのは、次のような部分です。

  • 奥歯の噛む面
  • 歯と歯茎の境目
  • 歯と歯の間
  • 生えかけの永久歯
  • 歯並びが重なっている部分

歯科医院では、歯垢の付着状態を見ながら、歯ブラシの角度や動かし方を確認します。保護者の方には、子供を寝かせる姿勢や、奥歯を見やすくする方法などもお伝えします。

「もっと丁寧に磨いてください」と言うだけでは、家庭で何を変えればよいかわかりません。その子供の磨き残しが多い場所を絞って伝えることが、続けやすい予防につながります。

必要に応じて歯をクリーニングする

歯の表面に歯垢や着色が付着している場合は、必要に応じて歯のクリーニングを行います。

歯をきれいにしたうえでフッ化物を塗布すると、歯の表面へ作用させやすくなります。

ただし、子供が歯科医院に慣れていない場合は、無理にすべての処置を行うとは限りません。最初は診療台に座る、口を開ける、歯ブラシを当てるといった練習から始める場合もあります。

子供の虫歯予防では、一度の受診で完璧な処置を行うことより、歯科医院を怖い場所にしないことも重要です。

フッ化物塗布を行う

歯科医院では、家庭用の歯磨き剤よりも高濃度のフッ化物を歯の表面へ塗布します。

日本歯科医師会によると、歯科医院でのフッ化物歯面塗布には、9,000ppm程度の高濃度フッ化物製剤が使用されます。虫歯になりやすい子供や、生えたばかりの永久歯などに用いられる方法です。

フッ化物塗布の頻度は、すべての子供で同じではありません。虫歯リスク、歯の生え替わり、家庭でのフッ化物の使用状況などを確認して決めます。

必要に応じてシーラントを行う

奥歯の噛む面には、細く複雑な溝があります。歯ブラシの毛先よりも細い溝には、食べかすや歯垢が入り込みやすく、丁寧に磨いていても虫歯になることがあります。

シーラントは、この深い溝を歯科用の樹脂などで埋め、歯垢が入り込みにくい状態にする予防処置です。すべての奥歯に必ず行うものではなく、溝の深さや虫歯リスクを確認して必要性を判断します。

子供のフッ素塗布はいつから始める?

乳歯が生え始めた後から検討できます。1歳6か月頃の歯科健診を受診のきっかけにする方法もあります。

フッ化物配合歯磨き剤は、最初の乳歯が生えた時期から使用できます。歯科医院でのフッ化物塗布も、歯が生え始めた後から、お口の状態や虫歯リスクに応じて検討できます。

日本歯科医師会の一般向け情報では、上下の前歯が生えてくる1歳6か月頃を、歯科医院でフッ化物塗布を始める一つのきっかけとして紹介しています。

ただし、「1歳6か月になったら、すべての子供が必ずフッ素塗布を受けなければならない」という意味ではありません。

  1. 生えている歯の本数
  2. 甘いものを食べ始めた時期
  3. 歯垢の付着状態
  4. 家庭で使っている歯磨き剤
  5. 虫歯になりやすさ
  6. 子供が歯科医院に慣れているか

こうした点を確認して、無理のないタイミングを決めます。

幼い子供が診療室で泣いてしまうことは珍しくありません。泣くこと自体は悪いことではなく、成長とともに少しずつ歯科医院へ慣れていく子供がほとんどです。

最初からすべての処置を完璧に受けることより、「歯医者では口を見てもらう」「終わったら褒めてもらえる」という経験を積むことも、将来の虫歯予防につながります。

フッ素塗布にはどのような効果がある?

フッ素の働き

フッ化物には、再石灰化を助け、歯を酸に溶けにくくし、虫歯菌の働きを抑える作用があります。

食事やおやつをとると、虫歯の原因となる細菌が糖質を利用して酸をつくります。その酸によって、歯の表面からカルシウムなどが溶け出すことを脱灰といいます。

唾液には、溶け出した成分を歯へ戻す再石灰化という働きがあります。フッ化物は、この再石灰化を助け、歯を酸に強い状態へ近づけます。

日本歯科医師会は、フッ化物の主な虫歯予防作用として、歯を酸に溶けにくくする作用と、初期虫歯の再石灰化を助ける作用を説明しています。

歯の再石灰化を助ける

歯の表面では、食事のたびに脱灰と再石灰化が繰り返されています。

脱灰が進み続けると虫歯になりますが、初期の段階であれば、唾液やフッ化物の働きによって歯の表面が修復される可能性があります。

フッ化物は、溶け出したカルシウムやリンが歯へ戻る再石灰化を助けます。

歯を酸に溶けにくくする

フッ化物が歯の表面に作用すると、歯は虫歯菌がつくる酸に対して溶けにくい状態になります。

特に乳歯や生えたばかりの永久歯は、歯の表面が成熟途中で、虫歯になりやすい時期です。この時期にフッ化物を適切に利用することには意味があります。

虫歯菌が酸をつくる働きを抑える

フッ化物には、虫歯の原因となる細菌が酸をつくる働きを抑える作用もあります。

ただし、フッ化物を使っているからといって、甘いものを好きなだけ食べてもよいわけではありません。糖質をとる回数が多く、歯垢が付着した状態が続けば、フッ化物を使っていても虫歯になることがあります。

歯医者のフッ素塗布と家庭用歯磨き剤は何が違う?

歯科医院では高濃度のフッ化物を定期的に塗布し、家庭では低濃度のフッ化物を毎日使います。

歯科医院で行うフッ化物塗布と、家庭で使うフッ化物配合歯磨き剤は、どちらか一方を選ぶものではありません。

家庭で毎日フッ化物を使用することを基本にし、虫歯リスクに応じて歯科医院でのフッ化物塗布を組み合わせます。

歯科医院のフッ素塗布と家庭用歯磨き剤の違いを、次の表で比較します。目的や使用頻度が異なるため、それぞれの特徴を理解して使い分けましょう。

比較項目 歯科医院でのフッ化物塗布 家庭用フッ化物配合歯磨き剤
使用する場所 歯科医院 家庭
フッ化物濃度 家庭用より高濃度 年齢に合った低濃度
使用頻度 虫歯リスクに応じて数か月ごと 就寝前を含めて基本的に1日2回
使用する人 歯科医師または歯科衛生士 本人または保護者
主な役割 歯へ高濃度のフッ化物を定期的に作用させる 毎日繰り返しフッ化物を歯へ作用させる
注意点 塗布を受けただけで虫歯を完全に防げるわけではない 年齢に合った濃度と使用量を守る必要がある

歯科医院でフッ素を塗ってもらった日は虫歯予防を意識していても、その後の家庭ケアが曖昧になってしまうことがあります。虫歯予防においては、数か月に一度の処置だけでなく、毎日の小さな積み重ねが重要です。

家庭ではフッ化物配合歯磨き剤をどう使う?

子供の年齢に合ったフッ化物濃度と使用量を守り、就寝前を含めて1日2回使用します。

「子供用」と書かれている歯磨き剤であっても、フッ化物の濃度や対象年齢は製品によって異なります。

パッケージに記載された「ppmF」という表示を確認し、年齢に合った製品を選びましょう。

厚生労働省の情報では、歯が生えてから2歳までは900~1,000ppmFを米粒程度、3~5歳では同じ濃度をグリーンピース程度、6歳以上では1,400~1,500ppmFを歯ブラシ全体程度使用する方法が示されています。

年齢別のフッ化物濃度と使用量をまとめました。家庭で使用している歯磨き剤の表示と見比べながら、適切な量になっているか確認してください。

年齢 フッ化物濃度 使用量 使用方法
歯が生えてから2歳 900~1,000ppmF 米粒程度(1~2mm程度) 保護者が磨き、歯磨き後にティッシュなどで軽く拭き取っても構いません。
3~5歳 900~1,000ppmF グリーンピース程度(約5mm) 子供が歯磨き剤を吐き出せない場合は、使用量に注意して保護者が仕上げ磨きをします。
6歳以上 1,400~1,500ppmF 歯ブラシ全体程度(1.5~2cm程度) 歯磨き後は軽く吐き出し、うがいをする場合は少量の水で1回程度にします。

フッ化物配合歯磨き剤を使った後に、何度もうがいをすると、お口の中に残るフッ化物が少なくなります。

子供がうがいをできる年齢であっても、少量の水で1回程度にするのが目安です。就寝中は唾液が少なくなるため、特に寝る前の歯磨きではフッ化物配合歯磨き剤を使用しましょう。

なお、幼い子供が大量に飲み込まないよう、歯磨き剤は子供の手の届かない場所に保管してください。

シーラントはどのような子供に必要?

奥歯の溝が深い子供や、生えたばかりの6歳臼歯がある子供などで検討されます。

奥歯の噛む面には、複雑な溝があります。この溝が深いと、歯ブラシの毛先が奥まで届かず、食べかすや歯垢が残りやすくなります。

シーラントは、虫歯になりやすい溝を歯科用の樹脂などで埋め、汚れが入り込みにくくする予防処置です。

次のような歯では、シーラントを検討することがあります。

  1. 生えたばかりの6歳臼歯
    → 6歳臼歯は一番奥に生えるため、保護者が生えたことに気づきにくく、歯ブラシも届きにくい歯です。
  2. 溝が深い乳歯の奥歯
    → 乳歯であっても、溝が深く虫歯リスクが高い場合はシーラントを行うことがあります。
  3. 過去に虫歯ができたことがある子供
    → すでに虫歯を経験している子供では、ほかの奥歯も虫歯になるリスクを考えて予防処置を検討します。
  4. 仕上げ磨きが難しい子供
    → 口を開けるのを嫌がる、嘔吐反射が強いなど、家庭で奥歯を磨きにくい場合があります。

シーラントは、歯を大きく削って詰め物をする治療とは異なります。ただし、すでに虫歯が深く進んでいる歯にはシーラントでは対応できません。虫歯の有無を確認したうえで処置を行います。

シーラントをすれば奥歯は虫歯にならない?

シーラント

シーラントは溝の虫歯予防に役立ちますが、歯と歯の間や歯の側面の虫歯までは防げません。

シーラントを受けた後に、「この歯はもう虫歯にならない」と安心してしまう保護者の方もおられます。しかし、シーラントで保護できるのは、主に奥歯の噛む面にある溝です。

次の部分は、シーラントをしていても虫歯になる可能性があります。

  • 歯と歯の間
  • 歯と歯茎の境目
  • 歯の側面
  • シーラントが欠けたり外れたりした部分
  • シーラントの周囲に歯垢が残っている部分

また、シーラントは永久に取れない処置ではありません。噛む力や歯ぎしり、歯の生え方などによって、少しずつすり減ったり、欠けたり、外れたりすることがあります。

処置後も定期的に状態を確認し、必要に応じて補修します。

シーラントは歯磨きの代わりではなく、「歯ブラシだけでは守りにくい深い溝を補助的に守る方法」と考えましょう。

家庭でできる子供の虫歯予防は?

フッ素入り歯磨き粉

仕上げ磨き、デンタルフロス、フッ化物、間食の管理、甘い飲み物への注意が基本です。

歯科医院で虫歯予防の処置を受けても、家庭での生活習慣が整っていなければ虫歯になる可能性があります。

反対に、すべてを厳しく制限する必要もありません。

子供が無理なく続けられ、保護者にとっても大きな負担にならない方法を選ぶことが大切です。

保護者が仕上げ磨きをする

子供は、歯ブラシを上手に持てるようになっても、奥歯や歯と歯の間まで十分に磨けるとは限りません。

特に小学校低学年頃までは、本人が磨いた後に保護者がお口の中を確認し、必要な部分を仕上げ磨きしましょう。

年齢だけで仕上げ磨きを卒業するのではなく、次の点を見て判断します。

  1. 奥歯まで歯ブラシが届いているか
  2. 歯と歯茎の境目を磨けているか
  3. 生えかけの永久歯を磨けているか
  4. 歯磨き剤を適量使えているか
  5. 磨き残しを自分で確認できるか

子供が自分で磨きたがる気持ちも大切です。

まず本人に磨いてもらい、最後に保護者が「確認する」という形にすると、子供の自立心を保ちながら不足部分を補えます。

歯と歯の間にはデンタルフロスを使う

歯と歯の間が詰まっている部分には、歯ブラシの毛先が入りません。

乳歯の奥歯は、歯と歯が接している部分から虫歯になることがあります。見える面はきれいでも、歯と歯の間で虫歯が進んでいる場合があるため注意が必要です。

毎日すべての歯にフロスを通すのが難しい場合は、奥歯の間など、歯科医院で磨き残しを指摘された部分から始めてもよいでしょう。

甘いものは量だけでなく回数に注意する

虫歯予防では、甘いものを食べた総量だけでなく、口にする回数が重要です。

少量のお菓子でも、長時間だらだら食べ続けると、お口の中が酸性になる時間が長くなります。

例えば、おやつを食べるなら、

  • おやつの時間を決める
  • 食べる量を先に取り分ける
  • 食べ終わったら水やお茶を飲む
  • 次の食事まで何度も食べ直さない

といった工夫ができます。

お菓子を完全に禁止すると、子供にも保護者にも負担になります。「食べない」ではなく、「時間と回数を決める」という考え方の方が続けやすいでしょう。

甘い飲み物を水分補給代わりにしない

ジュース、乳酸菌飲料、スポーツドリンクなどには、糖分が含まれているものがあります。これらを少しずつ何度も飲むと、歯が酸にさらされる時間が長くなります。

普段の水分補給は、水や無糖のお茶を基本にし、甘い飲み物はおやつの時間などにまとめることをおすすめします。

スポーツドリンクは運動時や体調不良時に役立つ場合がありますが、日常の水分補給として常に飲むものではありません。

就寝前の飲食を見直す

寝ている間は、日中よりも唾液の分泌が少なくなります。

唾液には、酸を中和したり、歯の再石灰化を助けたりする働きがあります。そのため、寝る直前に甘いものを食べたり飲んだりすると、虫歯リスクが高まりやすくなります。

厚生労働省も、夜間は唾液分泌が減少するため、寝る前の甘い飲食物や授乳が乳歯の虫歯リスクを高める要因になると説明しています。

歯磨き後は、水や無糖のお茶以外の飲食を控えることを基本にしましょう。

年齢によって虫歯予防のポイントは違う?

乳歯が生え始める時期、生えそろう時期、永久歯への生え替わりで、注意する場所が変わります。

子供のお口は成長とともに変化します。同じ予防方法を続けるだけでなく、その時期に虫歯になりやすい場所へ重点を移すことが大切です。

年齢ごとの代表的な変化と虫歯予防のポイントをまとめました。年齢はあくまで目安であり、歯が生える時期には個人差があります。

時期 お口の変化 虫歯予防のポイント
乳歯が生え始める頃 下の前歯など、最初の乳歯が生え始めます。 歯が生えたらフッ化物配合歯磨き剤を少量使い、保護者が優しく磨きます。
1~2歳頃 前歯から奥歯へ、乳歯の本数が増えます。 甘い飲み物を頻繁に与えないよう注意し、寝る前の歯磨きを習慣にします。
3~5歳頃 乳歯が生えそろい、歯と歯の間が詰まる場合があります。 仕上げ磨きに加え、必要に応じてデンタルフロスを使います。
6歳頃 一番奥に第一大臼歯が生え、前歯の生え替わりが始まります。 生えかけの奥歯へ歯ブラシを横から当て、シーラントの必要性を確認します。
小学校低学年 乳歯と永久歯が混在し、歯の高さが不ぞろいになります。 本人磨きだけに任せず、保護者が生えかけの永久歯を確認します。
小学校高学年以降 永久歯が増え、本人が歯磨きを管理する割合が高くなります。 歯磨き方法に加え、間食や部活動中の飲み物についても本人へ説明します。

特に注意したいのが、6歳頃に生える第一大臼歯です。

乳歯のさらに奥から生えるため、生えてきたことに気づきにくく、歯の高さも低いため、通常の歯磨きでは毛先が届きにくくなります。生えかけの時期は、歯ブラシを横から入れて磨くなどの工夫が必要です。

親子で食器を共有すると子供が虫歯になる?

虫歯の原因菌が伝わる可能性はありますが、食器の共有だけで虫歯になるわけではありません。

虫歯の原因となる細菌は、養育者など身近な人から子供へ伝わることがあります。食器やスプーンの共有も伝播の機会の一つと考えられますが、日常生活の接触を完全に避けることは困難です。

日本小児歯科学会も、食具を共有しないことだけに限定するのではなく、養育者が歯科健診を受け、虫歯や歯周病のないお口を保ちながら子育てをすることが大切だと説明しています。

食器共有だけを心配するより、次の対策も優先しましょう。

  1. 保護者自身の虫歯や歯周病を放置しない
  2. 子供にフッ化物配合歯磨き剤を使う
  3. 仕上げ磨きを行う
  4. 甘いものをとる回数を決める
  5. 子供のお口を定期的に確認する
  6. 家族全体で定期健診を受ける

同じスプーンを使ってしまった、子供へキスをしてしまったという理由で、保護者が自分を責める必要はありません。

虫歯は、細菌が伝わったかどうかだけで決まるものではありません。細菌が増えにくい環境をつくり、歯をフッ化物で守り、糖質をとる回数を管理する方が現実的で効果的です。

子供の虫歯予防にキシリトールは必要?

キシリトールは補助的に使えますが、歯磨きやフッ化物の代わりにはなりません。

キシリトールは、虫歯の原因となる細菌が酸をつくる材料として利用しにくい甘味料です。年齢的に安全にガムを噛める子供であれば、砂糖入りのお菓子やガムの代わりとして使える場合があります。

ただし、キシリトール入りと表示されていても、ほかの糖質が含まれている製品があります。購入時には原材料や栄養成分表示を確認しましょう。

また、キシリトールを食べれば歯磨きをしなくてもよいわけではありません。

虫歯予防の優先順位は、次のように考えるとよいでしょう。

  • 年齢に合ったフッ化物配合歯磨き剤
  • 仕上げ磨きと歯垢の除去
  • 甘いものをとる回数の管理
  • 定期的な歯科受診
  • キシリトールなどの補助的な製品

虫歯予防の商品を増やすことより、毎日の基本を無理なく続ける方が大切です。

子供はどのくらいの頻度で歯医者に通う?

一般的には数か月ごとに確認しますが、適切な頻度は虫歯リスクや生え替わりの状態によって異なります。

子供の定期健診は、全員が同じ間隔で受けなければならないものではありません。

虫歯リスクが低く、家庭で十分にケアできている子供と、過去に何度も虫歯ができている子供では、適切な受診間隔が異なります。

短めの間隔での確認が必要になりやすいのは、次のようなケースです。

  • 過去に虫歯の治療を受けた
  • 初期虫歯がある
  • 歯垢が多く付着している
  • 甘いものをとる回数が多い
  • 奥歯の溝が深い
  • 生えたばかりの永久歯がある
  • 矯正装置を使っている
  • 仕上げ磨きが難しい
  • シーラントの確認が必要
  • 永久歯への生え替わりが進んでいる

虫歯予防の通院では、虫歯ができていないかを見るだけではありません。子供の成長に合わせて、フッ化物の使い方、仕上げ磨き、デンタルフロス、間食、歯並びなどを確認します。

受診のたびに同じ処置を繰り返すのではなく、その時期に必要な予防へ内容を変えていくことが重要です。

子供の虫歯予防にデメリットや注意点はある?

予防処置には大きな利点がありますが、フッ素やシーラントだけに頼らないことが大切です。

フッ化物塗布やシーラントは、適切に行えば子供の虫歯予防に役立ちます。

一方、予防処置を受けたことで安心し、家庭でのケアがおろそかになると、別の場所に虫歯ができる可能性があります。

注意したい点は、次のとおりです。

  1. フッ素塗布だけでは虫歯を完全に防げない
    → フッ化物は歯を守りますが、歯垢や糖質をとる回数など、ほかの虫歯要因がなくなるわけではありません。
  2. シーラントで歯全体を覆うわけではない
    → 奥歯の溝を守る処置であり、歯と歯の間や歯茎の近くは引き続き歯磨きが必要です。
  3. シーラントは外れることがある
    → 定期的に状態を確認し、必要に応じて補修します。
  4. 歯磨き剤は多ければよいわけではない
    → 年齢に合ったフッ化物濃度と使用量を守り、子供の手の届かない場所に保管します。
  5. 子供を無理に押さえつけない
    → 緊急性がない予防処置では、歯科医院への恐怖心を強めないよう、子供の発達や慣れ具合に配慮します。
  6. 虫歯予防は、子供に我慢を強いることが目的ではありません。
    → 歯科医院へ通うことや歯磨きを、強い苦痛として記憶させない工夫も、長い目で見れば大切な予防です。

子供の虫歯予防にかかる費用・時間・通院回数は?

処置内容や保険適用の範囲、自治体の医療費助成、虫歯リスクによって異なります。

子供の定期健診や予防処置にかかる費用は、診察内容や歯科医院、地域の制度によって異なります。自治体の子供医療費助成を利用できる場合でも、フッ化物塗布などの予防処置は助成や保険の対象外になることがあります。

費用については、受診する歯科医院へ事前に確認するのが確実です。

1回の受診では、一般的に次のような内容を行います。

  1. お口の状態の確認
  2. 虫歯や初期虫歯の確認
  3. 歯垢や歯磨き状態の確認
  4. 歯磨き・仕上げ磨きの指導
  5. 必要に応じたクリーニング
  6. フッ化物塗布
  7. 必要に応じたシーラント
  8. 生え替わりや歯並びの確認

受診時間は、子供の年齢や処置内容、歯科医院への慣れ具合によって変わります。

幼い子供の場合、予定していたすべての処置が一度にできないこともあります。その場合は、複数回に分けて少しずつ練習することがあります。

通院回数をなるべく少なくすることだけを優先すると、子供に無理をさせてしまう可能性があります。処置の速さだけでなく、今後も安心して通えることを重視しましょう。

まとめ

子供の虫歯予防では、歯科医院で行うフッ化物塗布やシーラントと、家庭で行う毎日のケアを組み合わせることが大切です。

歯科医院では、虫歯の有無だけでなく、歯垢が残りやすい場所、奥歯の溝、生え替わり、歯並び、食習慣などを確認します。必要に応じてフッ化物塗布やシーラントを行い、家庭での仕上げ磨き方法も見直します。

家庭では、年齢に合ったフッ化物配合歯磨き剤を使用し、保護者が仕上げ磨きを行いましょう。歯と歯の間にはデンタルフロスを使い、甘い飲食物は量だけでなく、食べる時間や回数にも注意します。

また、親子の食器共有だけを過度に心配する必要はありません。家族全体のお口を健康に保ち、子供のフッ化物利用や食習慣を整える方が、現実的な虫歯予防につながります。

子供の虫歯予防で大切なのは、特別な商品や一度の処置に頼ることではありません。

子供の成長や歯の生え替わりに合わせて、「今、どの歯をどのように守るべきか」を歯科医院と家庭で共有し、無理なく予防を続けていきましょう。

関連ページ:梅田クローバー歯科の小児歯科治療

この記事の監修者
医療法人真摯会 梅田クローバー歯科クリニック
院長 久野 喬

2014年 松本歯科大学卒業卒業。日本障害者歯科学会 認定医。ACLS講習終了。日本口腔インプラント学会。日本小児歯科学会。日本接触嚥下リハビリテーション学会。

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梅田クローバー歯科クリニック

大阪矯正歯科グループ大阪インプラント総合クリニック