予防歯科・定期健診

歯科衛生士の仕事と役割とは?

歯科衛生士の仕事と役割とは?

近年、予防歯科に力を入れている歯科医院が増えており、予防歯科の担い手としての歯科衛生士の役割が欠かせないものになっています。歯科衛生士は、患者さんのお口の健康を守るために日々努力を重ねており、彼らは、患者さんの口腔内を丁寧にケアし、健康を支えるプロフェッショナルです。歯科衛生士が行う具体的な仕事と予防歯科における役割についてご説明します。

歯科衛生士とは?

歯科衛生士は、私たちの口腔健康を守る重要な役割を担っています。彼らは、歯科医師の指導のもと、患者さんの口腔内の健康維持や疾患予防に取り組む専門家です。歯科衛生士になるためには、専門の教育機関である歯科衛生士学校を卒業し、国家試験に合格する必要があります。この資格を得ることで、彼らは歯科医療現場で活躍することが出来ます。

歯科衛生士の主な仕事内容

歯科衛生士の仕事は、単に患者さんの口腔内を清潔に保つだけではありません。彼らは、患者さんの口腔衛生を向上させ、歯科疾患の予防と早期発見に貢献するために、歯科医院において広範囲に仕事を行います。

1. 患者さんの口腔内清掃

歯科衛生士は専門の器具を使用して、歯垢や歯石を除去します。これは、虫歯や歯周病の予防に不可欠です。

エアフローによるクリーニング

当院では主に歯のクリーニングにはエアフローと呼ばれる専用の器械を使用します。エアフローによるクリーニングは、高圧の水と細かい粉末を混合したジェット水流を使用して、歯の表面や歯間、歯茎の境界に付着した柔らかい歯垢や色素沈着を効果的に除去する方法です。

この処理は、特にコーヒー、紅茶、タバコなどによる着色や、普段のブラッシングでは取り除きにくい細菌の塊を除去するのに適しており、歯を本来の色に戻し、歯の表面をツヤツヤにして歯垢や汚れをつきにくくする。

・エアフローによるクリーニングの特徴
  • 非侵襲性・・エアフローは歯に対してやさしく、直接的な摩擦を最小限に抑えるため、歯や歯茎に傷をつけず、ダメージが少ないのが特徴です。
  • 速度・・ 従来のPMTCと比べて、エアフローによるクリーニングは時間がかからず、短時間で広範囲のクリーニングを効果的に行います。
  • 効果・・着色や歯垢を除去し、歯を本来の色に戻すことができます。また、口腔内を清潔にし、口臭の改善にもつながります。
・エアフローによるクリーニングの適応

エアフローによるクリーニングは、以下のような場合に特に有効です。

  • 色素沈着の除去・・コーヒー、紅茶、ワイン、タバコなどによる色素沈着
  • 歯垢の除去・・普段のブラッシングでは取り除けない部分の歯垢を除去
  • 予防歯科・・定期的なクリーニングにより、歯周病や虫歯のリスクを低減
・エアフローによるクリーニングの手順
  1. 診査・・歯科衛生士が患者さんの口腔内を詳しく診査し、磨き残しや歯石の有無をチェックする。歯垢を赤く染め出す薬を使用することもある
  2. クリーニング・・エアフローを使用して歯のクリーニングを行う。この時、粉末の種類や圧力などは、患者さんの状態に応じて調整される
  3. 仕上げ・・必要に応じて、スケーリングやフッ素塗布を追加で行う

PMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)

・ PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)とは

PMTCとは、「プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング」の略で、歯科衛生士が専門の器具を使用して行う歯のクリーニングのことです。この処置は、患者さん自身の日常的なブラッシングでは除去できない頑固な歯垢や歯石を取り除き、口腔内環境を改善することを目的としています。

・PMTCの主な目的
  • 歯垢と歯石の除去・・日常のブラッシングでは取り除けない歯垢や歯石を効果的に除去します。
  • 歯周病の予防と治療・・歯周病は、歯垢や歯石の蓄積が原因で発生することが多いため、これらを除去することで、歯周病の予防や治療を行うことが出来る
  • 虫歯の予防・・歯垢の中の細菌は虫歯を引き起こすため、これを除去することで虫歯のリスクを減少させる
  • 口臭の改善・・口腔内を清潔に保つことで、口臭の原因となる細菌の繁殖を抑制する
・PMTCの手順
  • 評価・・最初に患者さんの口腔内状態を詳しくチェックし、必要な治療範囲を決定する
  • スケーリング・・専用の器具を使用して、歯と歯茎の境界や歯の根部に付着した歯石を除去する
  • ポリッシング・・歯面を専用の研磨剤で磨き、滑らかにする。これにより、新たな歯垢の付着を防ぐ
  • フッ素塗布・・虫歯予防のために、研磨した歯面にフッ素を塗布する
・フッ素塗布

クリーニングの仕上げとして、虫歯の予防にフッ素を塗布することもあります。これにより、歯の表面を強化し、酸による侵食を防ぎます。フッ素のうがいを行っていただく場合もあります。

2. 歯石の除去と予防処置

スケーリングとルートプレーニング

歯石の除去とともに、歯の根を滑らかにする処置を行い、歯周病の治療と予防に努めます。

3. 患者さんの教育と相談

口腔衛生指導

正しい歯磨きの方法やデンタルフロスの使い方など、日々の口腔ケアに関する指導を行います。

栄養指導

口腔健康に影響する食生活についてのアドバイスを提供します。砂糖の摂取制限や、歯に良い食品の選択肢についてお話しします。

4. 歯周病治療のアシスト

歯周ポケットの測定

歯周病の進行具合を把握するために、歯周ポケットの深さを測定します。

治療計画の立案サポート

歯科医師と連携し、患者に最適な治療計画の提案をサポートします。

5. 歯科医療器具の管理と滅菌

器具の準備と管理

治療に必要な器具を準備し、使用後は適切に清掃、消毒、滅菌します。

診療環境の衛生管理

診療室の衛生状態を保ち、感染症のリスクを最小限に抑えます。

6. 歯科医師の治療アシスタント

必要に応じて歯科医師の治療のアシスタント業務を行います。歯科衛生士は患者さんのお口の中の処置が出来ますので、歯科医師の指示のもと、患者さんに対して必要な処置を行います。

歯科衛生士の役割は、口腔衛生の向上と疾患予防にとどまらず、患者さんの生活全体にわたって健康維持をサポートするものです。彼らは、歯科医師の指示のもと、患者さんに合わせたケアプランを実行し、口腔内だけでなく全身の健康に貢献しています。

患者さんのための教育と相談

さらに、歯科衛生士は患者さんに対する教育も重要な役割を果たします。正しい歯磨きの方法や、口腔衛生に関するアドバイスを提供し、患者さんが日々の生活の中で口腔健康を維持できるよう支援します。

特別な技能が求められる場面

歯科衛生士の業務は、時には特別な技能を要求されることもあります。例えば、歯周病治療における専門的なクリーニングや、歯科医師が行う治療のアシストなどが挙げられます。また、使用する医療器具の管理や滅菌も、安全で衛生的な治療環境を保つために欠かせない業務です。

歯科衛生士による予防処置とその重要性

歯科衛生士による予防処置は、虫歯や歯周病などの口腔疾患の発生を抑える上で大切なものです。定期的な口腔内クリーニングは、お口の病気を早期に発見し、適切な処置を行ったり、病気が進行するのを防ぐことが出来ます。また、患者さん自身が正しいセルフケアの方法を学ぶことができるよう、指導も行います。

1. 定期的なクリーニング

目的

歯科衛生士による定期的なクリーニング(エアフローやPMTCによるクリーニング)は、毎日のセルフケアでは除去し切れない歯石や歯垢を取り除くことを目的としています。

重要性

定期的なクリーニングによってお口の中を清潔に保つことで、虫歯や歯周病のリスクを大幅に下げることができます。また、口臭の予防や改善にも繋がります。

2. フッ素塗布

  • 目的・・フッ素塗布は、歯のエナメル質を強化し、酸による溶解を防ぐことで虫歯を予防します。
  • 重要性・・特に乳歯の虫歯予防において有効であり、大人の場合も小さな虫歯の進行を抑える効果があります。

3. 歯間清掃の指導

  • 目的・・歯ブラシだけでは落としきれない歯と歯の間の部分のケア方法を指導します。
  • 重要性・・歯間ブラシやデンタルフロスの正しい使用方法を学ぶことで、歯周病や虫歯の発生を防ぎます。特に歯間ブラシは適したサイズを使うことが大切で、歯科衛生士が患者さんに合ったサイズをお伝えします。

4. 正しいブラッシング方法の指導

  • 目的・・効果的な歯磨きのやり方を指導し、患者さんが毎日のセルフケアでお口の中をきれいに保つことを目指します。
  • 重要性・・正しい歯磨きの技術は、虫歯や歯周病予防の基本で、患者さん自身で出来る虫歯や歯周病予防の要となります。

5. 栄養指導と生活習慣のアドバイス

  • 目的・・お口の健康に影響を与える食生活や生活習慣についての指導を行います。
  • 重要性・・糖分の過剰摂取や喫煙、アルコールの摂取など、虫歯や歯周病のリスクを高める生活習慣を改善することで、口腔健康だけでなく全身の健康維持にも繋がります。

まとめ

歯科衛生士は、単にお口の中のクリーニングを担当するだけでなく、患者さんの生活全体にわたって健康をサポートする重要な役割を担っています。彼らは専門的な知識と技術によって、私たちが虫歯や歯周病にかからないようにするための大切な役割を果たします。

この記事の監修者
医療法人真摯会 梅田クローバー歯科クリニック
院長 久野 喬

2014年 松本歯科大学卒業卒業。日本障害者歯科学会 認定医。ACLS講習終了。日本口腔インプラント学会。日本小児歯科学会。日本接触嚥下リハビリテーション学会。

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梅田クローバー歯科クリニック

大阪矯正歯科グループ大阪インプラント総合クリニック