歯と口の基礎知識

唾液腺マッサージとは?やり方と効果について

唾液腺マッサージとは?

梅田クローバー歯科クリニック 歯科医師 久野 喬

「最近、お口の中がなんだか乾く…」
朝起きたとき、口の中がネバネバする。食事のときに噛みにくい。喉の奥がいつもカラカラしている――そんな違和感を感じることはありませんか?

気づかないうちに、私たちの口の中では「唾液の分泌量」が減少していることがあります。特に、ストレスが多いときや加齢による変化、薬の副作用などが原因で、唾液が出にくくなってしまうことも。

「でも、そんなの気にしていなかった…」

そう思うかもしれません。でも、唾液はただの「水分」ではありません。実は、私たちの口の健康を守る「天然のバリア」として、驚くほど多くの役割を果たしているのです。

「唾液を増やせたら、お口の悩みが軽くなるかも?」
そんなあなたにおすすめしたいのが、「唾液腺マッサージ」。
これは、簡単なマッサージをすることで唾液の分泌を促し、口の中のうるおいを取り戻す方法です。

この記事では、唾液腺マッサージの具体的なやり方とその効果について、分かりやすくご紹介します。お口の健康を守る第一歩、一緒に始めてみませんか?

だんだんと暑くなり水分をよく摂取する時期ですが、唾液腺マッサージもお勧めです。手軽に行えますので、ぜひやり方を覚えて下さい。唾液を出すことで虫歯や歯周病の予防にもなります。

唾液の重要な役割とは?

唾液には以下のような重要な働きがあります。

消化を助ける:食べ物を分解しやすくし、消化をサポートします。

口の中を清潔に保つ:細菌の繁殖を抑え、虫歯や歯周病を予防します。

味を感じやすくする:食事の際に味覚を正常に保つ役割を果たします。

口臭を防ぐ:唾液の抗菌作用により、口臭を抑える効果があります。

粘膜を保護する:傷ついた口腔粘膜の回復を助けます。

唾液の分泌が減少すると、口の乾燥だけでなく、口臭の悪化や虫歯・歯周病のリスクが高まるため、適切なケアが必要です。

なぜ唾液が減ってしまうのか?

唾液の分泌が低下する原因として、以下のようなものが考えられます。

ストレスや緊張 → 自律神経のバランスが乱れ、交感神経が優位になることで唾液の分泌が抑制されます。

加齢年齢とともに唾液腺の機能が低下し、唾液の分泌量が減少します。

薬の副作用 → 抗うつ薬や抗ヒスタミン薬、高血圧の薬などが唾液の分泌を抑えることがあります。

水分不足 → 脱水状態になると唾液の分泌量が減ります。

口呼吸 → 口で呼吸する習慣があると、口の中が乾燥しやすくなります。

唾液腺マッサージとは?

唾液腺マッサージ
  • 顎下腺…耳の下から顎の下あたりを指先で押すようにします。
  • 耳下腺…指を頬に当てて、上の奥歯のあたりを回すようにマッサージします。
  • 舌下腺…顎(あご)の下を親指で押すようにマッサージします。

お風呂に入りながらマッサージするとリラックスして唾液が出やすく、気持ちがいいです。また、緊張すると唾液の量が減りますので、リラックスすることはとても大切です。また、高齢者の方は唾液が少ない傾向があります。

唾液腺を刺激することで唾液の分泌を促すことができます。以下の方法を試してみましょう。

耳下腺(じかせん)マッサージ

  • 場所:耳たぶの前、頬の上部(少し膨らんでいる部分)
  • やり方:指の腹を使って、円を描くように優しくマッサージ(5〜10回)

顎下腺(がっかせん)マッサージ

  • 場所:顎の骨の内側、少し奥のあたり
  • やり方:両手の親指で押しながら、軽く円を描くようにマッサージ(5〜10回)

舌下腺(ぜっかせん)マッサージ

  • 場所:顎の真下(喉の手前)
  • やり方:親指を当てて、ゆっくり押しながらほぐす(5〜10回)

ポイント:力を入れすぎず、心地よい程度の圧で行うことが大切です。

唾液腺とは

唾液腺の位置

唾液腺(だえきせん)は、唾液を分泌する腺です。大唾液腺(耳下腺、顎下腺、舌下腺)と小唾液腺とに分かれます。

唾液腺マッサージの効果

唾液腺マッサージのイメージ
唾液マッサージによって唾液を出すと、口腔内が潤いますので、様々な効果があります。

唾液分泌の促進

唾液腺を刺激することで、唾液の分泌が増え、口の中の乾燥を防ぎます。特に食事中や寝起きに口の中が乾燥しやすい方には即効性があるため、習慣的に行うことで違いを感じることができます。

口臭の軽減

唾液の抗菌作用が高まり、口臭の原因となる細菌の増殖を抑えます。特に、夜間の口臭が気になる方は、寝る前にマッサージを行うことで、朝の口臭を軽減できます。

食事のしやすさ向上

口の中が潤うことで、食べ物を飲み込みやすくなります。特に高齢の方や、飲み込みが苦手な方にとっては、誤嚥(ごえん)のリスクを低減する効果も期待できます。

虫歯・歯周病の予防

唾液の自浄作用が働き、細菌の増殖を抑えることで口腔内の健康を維持できます。唾液が増えることで、歯の再石灰化が促進され、虫歯の予防にもつながります。

リラックス効果

マッサージを行うことで副交感神経が優位になり、リラックス効果が得られます。ストレスが原因で唾液が減ることもあるため、リラックスしながらマッサージを行うことで、より効果が高まります。

このように、唾液腺マッサージは口腔内の健康維持だけでなく、全身の健康にも良い影響を与えることが期待されます。

  • 唾液を出して歯の再石灰化を起こりやすくする→虫歯予防になる
  • 唾液が出るので乾燥気味だった粘膜や舌などの口腔ケアができる
  • 唾液の自浄作用によって細菌が減り、口臭を防ぐ
  • お口の中の乾燥による痛みなどがやわらぐ
  • お口の中が潤うことでお口周りの筋肉がほぐれる
  • 唾液が出やすくなり、消化を助ける

唾液マッサージの歯への効果

唾液には、歯についた食べ物を洗い流す作用や、細菌の繁殖を抑制する作用などの役割があります。唾液が出にくい状態になってお口の中が乾燥すると、ドライマウスという症状を起こし、食べ物が飲み込みにくくなるだけでなく、虫歯や歯周病になりやすかったり、口臭が発生しやすくなります。

唾液を出すその他の方法

唾液腺マッサージに加えて、日常的にできる唾液分泌を促す方法も試してみましょう。

よく噛んで食べる

咀嚼(そしゃく)回数を増やすことで、唾液腺が刺激され、自然と唾液が分泌されやすくなります。特に、ガムを噛む、根菜類やナッツなどの硬めの食材を取り入れることで、より効果的です。

水分をこまめに摂る

脱水を防ぐために、意識的に水を飲むことが大切です。特に、コーヒーやアルコールは利尿作用があり、体内の水分を失いやすいため、水やノンカフェインのお茶をこまめに摂取しましょう。

リラックスする

ストレスが原因で交感神経が優位になると、唾液の分泌が抑制されます。深呼吸をする、軽いストレッチを行う、好きな音楽を聴くなど、リラックスできる時間を意識的に作りましょう。

口呼吸を改善する

口呼吸をしていると、口の中が乾燥しやすくなります。鼻呼吸を意識し、寝るときは口テープを使うなどして、口呼吸を防ぐ工夫をしましょう。

唾液腺を刺激する食材を摂る

酸味のある食材(梅干し、レモン、グレープフルーツなど)を取り入れることで、唾液の分泌を促すことができます。ただし、過剰に摂取すると歯のエナメル質にダメージを与える可能性があるため、適量を心がけましょう。

まとめ

唾液腺マッサージ

唾液は口の健康を守る重要な役割を持つ。

さまざまな理由で唾液が減ることがある。

唾液腺マッサージは簡単で即効性がある。

生活習慣の改善も合わせるとより効果的。

今日からできることを少しずつ試してみませんか? 毎日数分のケアで、お口の健康を守ることができます!

このように、唾液は健康を守る大切な役目を持っており、歯や歯ぐきの健康の為にもしっかりと唾液を出す必要があります。また、唾液には免疫をあげる効果が期待できるともいわれています。

唾液マッサージはどなたでもすぐに行うことが出来、健康に役立ちますので、ぜひお試しください。

この記事の監修者
医療法人真摯会 梅田クローバー歯科クリニック
院長 久野 喬

2014年 松本歯科大学卒業卒業。日本障害者歯科学会 認定医。ACLS講習終了。日本口腔インプラント学会。日本小児歯科学会。日本接触嚥下リハビリテーション学会。

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梅田クローバー歯科クリニック

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