歯と口のトラブル

ブリッジによる負のスパイラルとは?

ブリッジによる負のスパイラルとは?

梅田クローバー歯科クリニック 歯科医師 久野 喬

ブリッジによる治療は将来的に更に歯を失うことに繋がるということを聞かれたことがあるかもしれません。それは本当なのか、どういう理由で歯を失うことに繋がるのか、ご説明します。

大事なのは歯を抜けたまま放置しないこと

口腔内環境を良くして歯周病を防ぎ、歯を長持ちさせることが健康長寿に繋がることは、良く知られていると思います。しかし実際に歯を失ってしまった場合に、心がけなければいけないことがあります。

それは、歯を抜けたままで放置してはいけないということです。歯を失った後に、どのような治療を受けるかが、今後の食生活を含んだ人生に大きな影響を与えます。

歯を失っても義歯を作ってしっかり装着している方は、歯を失ったままで放置している方と比べると、認知症のリスクが少ないという調査結果があります。

ブリッジでの治療とは

セラミックの被せ物(ブリッジ)歯を1~2本失った時に、歯科で一般的に行われる治療法がブリッジです。
まず失った歯の両隣の歯を削って土台を作ります。そして土台を連結させた形の人工の歯をかぶせて、抜けた部分を補います。失った歯が1本の場合は、3本連結のブリッジということになります。

ブリッジの治療の流れ

土台となる歯を削らなければなりませんが、ブリッジは見た目も自然で違和感の少ない治療法ですので、歯を失った場合に最初に選択肢にあげられることが良くあります。保険適用で治療出来ることも、ブリッジのメリットとしてあげられます。

さて、ブリッジは一見良さそうな治療ですが、何故負のスパイラルを起こすと言われるのでしょうか?

ブリッジのデメリット

ブリッジの図

ブリッジで治療するためには、失った歯の両隣の歯を削る必要があることは先に述べました。

ブリッジの支え(土台)にする両隣の歯はかなり大きく削らなければならず、そこで支えるので物を噛んだときに支えの2本の歯に対して3本分の負荷がかかります。そのため支えの歯の寿命は、削ったことによるダメージと合わせて短くなるというリスクがあります。

その寿命はブリッジの設計や支えている歯の強さ、メンテナンスの度合い等によりますが、数年しか持たない場合もあります。状態がよければもう少し長持ちしますが、限界はあります。

その支えの歯がぐらぐらになり、限界が来て抜歯になったとします。すると再度ブリッジで治療する場合は今まで支えにしていた隣の歯を新たな支えの歯として、4本連結のブリッジになります。その支えの歯の負担は4連結のブリッジにした分、さらに大きなものとなって、弱るのが早くなるリスクがあります。

このように、ブリッジは支えの歯の負担が大きく、何年か後には支えの歯がダメになってしまう可能性が高いです。歯にバネをひっかけるタイプの部分入れ歯でも、同じことが起こり得ます。

ブリッジや部分入れ歯は、周りの歯で支えるため、他の歯に負担をかけてその歯の寿命を削ってしまい、総入れ歯への道につながってしまうといわれています。これがブリッジによる「歯を失う負のスパイラル」ということになります。

ブリッジに関するQ&A

抜歯後どのくらい経てばブリッジに出来ますか?

抜歯後は歯茎が怪我をした状態になっていますので、歯茎が治るのを待ってからブリッジの治療に入ります。前歯の場合は目立つため、歯のない状態を避けるために一旦仮歯をおつけします。

ブリッジによる治療は将来的に歯を失うことに繋がるのでしょうか?

はい、ブリッジによる治療は支えとなる両隣の歯を削る必要があります。この削られた歯には負荷がかかり、歯の寿命が短くなる可能性があります。

ブリッジで治療した後、支えている歯が抜歯になった場合はどうなりますか?

支えていた歯が抜歯になった場合、再度ブリッジ治療が必要となり、新たな支えの歯として4本連結のブリッジになる可能性があります。

まとめ

歯を失った場合の治療としてブリッジを選ぶと、将来的にブリッジの土台となっている歯を失うリスクがあります。隣の歯を傷めない治療を選ぶ場合は、インプラントをお勧めしています。

この記事の監修者
医療法人真摯会 梅田クローバー歯科クリニック
院長 久野 喬

2014年 松本歯科大学卒業卒業。日本障害者歯科学会 認定医。ACLS講習終了。日本口腔インプラント学会。日本小児歯科学会。日本接触嚥下リハビリテーション学会。

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