「親知らずが虫歯になっちゃった…抜かないとダメかな?」
そんな風に不安を感じている方、実はとても多いです。
親知らずは奥にあるぶん歯磨きがしづらく、虫歯になりやすい歯。でも「親知らず=すぐ抜歯」だと思い込んでいませんか?
実は、親知らずの虫歯も状態によっては治療して残すことが可能なんです。
逆に、放置すると痛みや腫れがひどくなったり、隣の歯までダメージを受けることも…。
この記事では、「親知らずが虫歯になったときの治療法」や「抜歯の判断基準」、「放置によるリスク」など、患者さんが知っておくべきポイントをわかりやすく解説していきます。
目次
親知らずが虫歯になったら、まずは歯科医院へ!

親知らずが虫歯になったとき、真っ先にすべきことは歯科医院での診察です。自己判断で放置したり、市販薬で済ませたりすると、状態が悪化する可能性があります。治療法は親知らずの生え方や虫歯の進行度によって大きく異なるため、専門的な判断が不可欠です。
親知らずの虫歯はまず歯科医院での診察を受けるのが最優先です。
なぜ親知らずは虫歯になりやすいのか?

親知らずは、歯磨きがしづらい場所にあり、歯垢がたまりやすいため、虫歯になりやすい歯のひとつです。特に、斜めや横向きに生えている場合、歯と歯の間に汚れがたまり、磨き残しが生じやすくなります。また、痛みが出るまで気づきにくいのも問題です。
親知らずは位置的に歯垢がたまりやすく、虫歯になりやすい歯です。
虫歯になりやすい理由の例:
- 歯磨きが難しい位置にある → 一番奥にあり、歯ブラシが届きにくい
- 生え方が不完全 → 歯肉に半分埋もれていて清掃困難
- 隣の歯との隙間に汚れがたまりやすい → 食べかすや歯垢が蓄積しやすい
これらの理由から、親知らずは他の歯に比べて虫歯や炎症が起こりやすい状況にあります。
親知らずの虫歯治療は「残す or 抜く」の判断が重要

親知らずの虫歯治療では、「抜歯」か「保存(治療して残す)」かの判断がカギになります。虫歯が初期段階で、親知らずの位置や形態に問題がない場合は、詰め物や被せ物での治療も可能です。ただし、深い虫歯や歯並び・噛み合わせへの悪影響がある場合には、抜歯が推奨されることが多いです。
親知らずの虫歯は、抜歯か保存かの判断が治療方針を左右します。
判断基準のチェックポイント
以下のような要素が、親知らずの保存・抜歯を決める大きなポイントです。
- 虫歯の進行度
- 表面だけなら詰め物や被せ物で治療可能
- 神経まで達している場合は抜歯になることが多い
- 生え方
- まっすぐ正常に生えていれば残せる可能性あり
- 横向き・斜め・半埋伏は抜歯が推奨されやすい
- 噛み合わせや不正咬合への影響
- 噛み合わせに貢献している場合は保存が有効
- 隣の歯を押していたり、不正咬合を悪化させるなら抜歯が望ましい
- 清掃性(歯磨きのしやすさ)
- 奥まっていて歯磨きしにくいと、再度虫歯になるリスクが高い
- 自分でしっかり磨ける位置であれば、保存もしやすい
- 患者さんの年齢・全身状態
- 若年層(10〜20代)は抜歯後の回復も早く、抜歯が選ばれやすい
- 高齢の場合や持病がある方は保存を検討することもある
ケース別の例でイメージしてみよう
状況 | 治療の選択 |
---|---|
まっすぐ生えていて、虫歯が浅い | 詰め物や被せ物で治療し、保存可能 |
横向きで手前の歯に食い込んでいる | 抜歯が推奨される |
虫歯が進行し、神経まで感染 | 保存は困難、抜歯が一般的 |
口腔清掃が難しく、再発リスクが高い | 将来的なトラブルを防ぐために抜歯 |
親知らずの治療方針は、「見た目」や「痛みの有無」だけでは決められません。レントゲンや歯科医師による総合的な診断が必要です。
「抜かなくてすむかも」と期待する気持ちも、「すぐ抜かれるのは怖い…」という不安も、しっかり伝えてOK。納得して治療を受けることが何より大切です。
抜歯以外の治療法はある?保存できるケースとは
すべての親知らずが抜歯対象ではありません。まっすぐに生えていて、周囲の歯と正常に噛み合っている親知らずであれば、虫歯になっても一般的な治療(詰め物や被せ物)で対応できます。治療後は再発を防ぐために、定期的な健診と丁寧な歯磨きが必須です。
親知らずでも状態が良ければ、抜かずに治療することが可能です。
保存できるケースの具体的な特徴
次のような条件を満たす場合、親知らずの保存(=抜かずに治す)を選ぶことがあります:
親知らずがまっすぐ正しく生えている
- 他の歯と同じようにしっかり噛み合っている
- 歯ブラシが届く位置にある
虫歯の進行が浅い(エナメル質・象牙質レベル)
- 神経(歯髄)まで達していない
- 痛みや腫れが出ていない
清掃環境が良好
- 毎日の歯磨きでしっかりケアできる
- 定期的に健診を受けてチェックができる
将来的にブリッジの支台歯や移植歯として使える可能性がある
- 他の奥歯が失われた際に役立つ場合もある
保存治療として行われる主な方法
保存を選択した場合、以下のような一般的な虫歯治療が行われます。
- 詰め物(コンポジットレジンや詰め物)
→ 虫歯が比較的小さい場合に使用され、1回の治療で完了することもあります。 - 被せ物(被せ物)
→ 虫歯が広範囲に進行している場合、歯を削って金属やセラミックなどの被せ物を装着します。 - 根管治療(歯の神経の治療)
→ 虫歯が神経まで進行している場合は、神経を取り除く治療が必要になります。ただし、親知らずは根の形が複雑で、根管治療の難易度が非常に高いため、保存が難しくなるケースも多いです。
治療後に気をつけたいこと
保存できたとしても、治療後のケアが不十分だと再び虫歯や炎症が起こるリスクがあります。
注意すべきポイント:
- 奥歯まで丁寧に歯磨きを行う
- 歯間ブラシやフロスを活用する
- 歯科医院で定期的に健診を受ける
- 違和感や痛みを軽視しない
「抜くしかない」と思われがちな親知らずですが、状態や環境が整っていれば“残す選択”も十分ありえます。ただし、根管治療の難しさや、再発リスクもあるため、保存を選ぶ場合は患者さん自身のケア意識も重要になります。
歯科医師としっかり相談し、「残すことで得られるメリット」と「今後のリスク」を天秤にかけて、納得のいく選択をしていきましょう
親知らずの虫歯を放置すると起こるリスクとは?
虫歯になった親知らずを放置すると、炎症が進行し、激しい痛みや膿の蓄積、顎の腫れ、さらには隣の歯まで虫歯にしてしまう可能性があります。また、親知らずの周囲の骨や歯肉がダメージを受け、将来的な歯の寿命に悪影響を及ぼすこともあります。
放置すると痛みや炎症が広がり、隣の歯にも悪影響が及ぶリスクがあります。
放置による主なリスク:
- 歯肉の炎症(智歯周囲炎)
- 痛みや腫れ、発熱
- 隣の歯が虫歯や歯周病になる
- 口臭の悪化
- 食事や会話に支障が出る
その結果、治療がより困難になり、抜歯や長期的な通院が必要になるケースも少なくありません。
後悔しないために、早めの健診を!
親知らずに違和感があったり、痛みが出たりした場合は、放置せずに早めに歯科医院で相談しましょう。特に20代?30代のうちにレントゲンで位置や状態を把握しておくことが、後悔しないポイントです。虫歯になる前から予防を意識することで、将来的なトラブルを回避できます。
親知らずの状態は早めに把握しておくことが大切です。
判断のポイント:
- 定期的な健診を受ける
- 親知らずの位置や状態をレントゲンで確認
- 痛みや違和感を軽視しない
- 歯磨きをていねいに行う(特に奥歯)
親知らずは、生えている場所や形状によって個人差が大きい歯です。抜くべきか、残すべきかを自分で判断するのは難しいため、歯科医院での相談がベストです。
親知らずの虫歯治療に関するQ&A
虫歯の進行具合や親知らずの生え方によります。まっすぐ生えていて虫歯が浅い場合は、詰め物や被せ物で治療可能です。ただし、位置や形状によっては治療器具が届きにくく、通常の歯より難易度が高いこともあります。
痛みがなくても虫歯が進行している場合や、今後悪化する可能性があるなら、抜歯が検討されることがあります。とくに清掃が難しく再発リスクが高い場合は、将来のトラブルを防ぐためにも抜歯がすすめられることがあります。
放置すると炎症(智歯周囲炎)や膿がたまり、激しい痛みや顔の腫れを引き起こすことがあります。さらに隣の歯まで虫歯が広がったり、口臭や咀嚼障害などのリスクも高まります。早めの対処が大切です。
神経まで達している場合、根管治療が必要になりますが、親知らずは根の形が複雑なため治療が難しいことも。治療が困難と判断されれば、抜歯を提案されるケースが多いです。
条件が良ければ、将来的にブリッジや移植用として活用できる場合があります。ただし、虫歯や歯周病のリスクが高い場合は、残すメリットよりもデメリットの方が上回る可能性もあります。歯科医師とよく相談しましょう。
まとめ
親知らずが虫歯になった場合、放置せずに歯科医院を受診することが何より大切です。
抜歯が必要な場合もあれば、保存できるケースもあります。大事なのは、患者さんの状態に合わせた適切な判断とケア。
「親知らず=すぐ抜く」ではなく、「どう扱うべきか?」をしっかり考えることが、将来の健康な口内環境を守るカギです。気になる症状がある場合は、迷わず相談してみてくださいね!