インプラント

インプラントがダメになった場合はどう対処する?失敗への対処

インプラントがダメになった場合はどう対処する?

梅田クローバー歯科クリニック 歯科医師 久野 喬

インプラントがダメになった場合はどう対処する?

インプラントが機能しなくなった場合や、抜けてしまった場合でも、再治療の選択や入れ歯・ブリッジなど他の治療法を検討できます。早めに専門医へ相談し、状態や希望に合った最適な方法を選ぶことが大切です。

この記事はこんな方に向いています

  • インプラントが抜けた・グラグラして困っている方
  • インプラント治療後にトラブルが起きて不安な方
  • インプラントがダメになった場合、どんな治療法があるのか知りたい方

この記事を読むとわかること

  1. インプラントがダメになる原因と予防策
  2. 再治療の可否や流れ、費用の目安
  3. 入れ歯やブリッジなど代替治療法の実例
  4. 専門医が推奨する選択肢のメリット・デメリット

専門的でわかりやすい解説により、インプラントのトラブル時に後悔しない治療選びができるようになります。

関連ページ:インプラントとは?

インプラントがダメになる主な原因

インプラントがダメになる原因

ダメになる原因はさまざまですが、主に以下のようなものが考えられます。

インプラント周囲炎(感染症)

  • 歯周病と似た状態で、インプラントの周りに細菌が繁殖し、炎症が起こる。
  • 初期段階では歯茎の腫れや軽い出血が見られますが、進行すると痛みやぐらつきが発生することもあります。
  • 適切な歯磨きや定期的な健診を怠ると、歯垢が蓄積し、細菌が繁殖しやすくなります。
  • 進行するとインプラントが支えを失い、最終的には抜け落ちてしまう可能性があります。

骨との結合不良(オッセオインテグレーションの失敗)

  • インプラントは顎の骨と結合することで安定しますが、まれにこの結合がうまくいかないことがあります。
  • 骨の密度が低い方や、喫煙・糖尿病などの全身的要因を持つ方は特に結合不良が起こりやすいとされています。
  • 結合が不十分な場合、グラついたり、しっかり噛めなかったりすることがあります。
  • 骨を増やす治療(骨造成)を事前に行うことで、結合不良のリスクを軽減できます。

噛み合わせの問題や過度な力がかかる

  • 噛み合わせが適切でないと、特定のインプラントに過剰な力がかかり、緩みや破損の原因になります。
  • 特に食いしばりや歯ぎしりの癖がある方は、インプラントに負担がかかりやすく、長持ちしにくくなります。
  • ナイトガード(マウスピース)の使用や、定期的な噛み合わせの調整が予防策となります。
  • インプラントは天然歯よりも力の分散が難しいため、力のかかり方に注意が必要です。

インプラント体や被せ物の破損

  • インプラント自体が物理的な衝撃を受けて折れる、または被せ物が割れることもあります。
  • 硬いものを噛む習慣(氷やナッツなど)や、事故・転倒による衝撃が破損の原因になります。
  • 被せ物が割れた場合は新しいものに交換することで対処できますが、インプラント体が破損した場合は再手術が必要になることがあります。
  • 材質の選択によって耐久性を向上させることができるため、歯科医と相談して適切な素材を選ぶことが大切です。

メンテナンス不足

  • 天然の歯とは異なり、歯垢が付きやすく、定期的な健診とクリーニングが欠かせません。
  • 自宅での歯磨きだけでなく、歯科医院での専門的なクリーニングが必要になります。
  • 定期健診を怠ると、小さなトラブルが見逃され、結果としてインプラントの寿命を縮めることになります。
  • 患者さん自身のケアと歯科医院でのサポートの両方が、長期的な安定性を左右します。

このような原因によってインプラントが機能しなくなることがありますが、適切な対応を行えば再治療や他の方法で改善することが可能です。

関連ページ:インプラントのリスクとは?

グラグラしてきた時の対策

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「インプラントがなんとなく動く感じがする」「違和感がある」といった症状がある場合、早めに対処することが大切です。

1. すぐに歯科医院を受診する

  • グラつく場合、何らかのトラブルが発生している可能性があります。
  • 自己判断せず、歯科医院でレントゲンやCT検査を受けて原因を特定しましょう。
  • 早期発見が、インプラントの寿命を延ばす鍵となります。

2. インプラント周囲炎が原因の場合の対処

  • 軽度の炎症なら、クリーニングや抗生物質の処方で改善できることもあります。
  • 重度の場合は、感染部分を取り除く手術が必要になることも。
  • 炎症を放置すると、抜け落ちるリスクが高まるため、早めの治療が重要です。

3. ネジの緩みが原因の場合の対処

  • 被せ物を固定するネジが緩んでいる場合、歯科医院で締め直すことで改善できることがあります。
  • 早めに対応すれば、インプラント本体を温存できる可能性が高まります。
  • 違和感がある場合は放置せず、すぐに歯科医院へ相談しましょう。

4. 骨との結合が不十分な場合の対処

  • インプラントが顎の骨としっかり結合していないと、グラつきが生じることがあります。
  • その場合、一度インプラントを取り除き、骨を再生させる治療を行ってから再埋入することが検討されます。
  • 骨の状態によって治療方針が変わるため、専門医の診察を受けることが大切です。

インプラントがダメになったときの対処法

インプラント

もしインプラントがダメになってしまった場合、どのように対処すればよいのでしょうか?

1. まずは歯科医院を受診

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違和感があったり、ぐらつきを感じたりした場合は、すぐに歯科医院で診察を受けましょう。

  1. 専門的な検査(レントゲン・CT)を受け、状態を正確に把握する。
  2. 進行度に応じた治療方針を決定。

早めの診察が、インプラントの再利用や回復の可能性を高めます。

2. インプラント周囲炎の治療

もし感染症が原因でインプラントがダメになっている場合、まずは炎症を抑える治療が必要です。

  1. 軽度の場合 → 専門的なクリーニングと抗生物質の使用。
  2. 重度の場合 → インプラントを一時的に除去し、感染部位の治療後に再埋入を検討。

インプラント周囲炎を放置すると、他の健康な歯や骨にも影響を及ぼすため、早めの対応が肝心です。

3. 骨の状態に応じた再治療

外れてしまった場合でも、再治療が可能なことが多いです。

  • 骨が十分に残っている場合 → 新しいインプラントを埋入できる。
  • 骨が足りない場合 → 骨造成(骨移植や骨再生療法)を行い、一定期間回復を待つ。

4. 他の選択肢を検討

「もうインプラントは無理かも…」と思われるかもしれませんが、他の治療法もあります。

ブリッジ

  • 両隣の歯を支えにして、失った歯を補う方法。
  • 健康な歯を削る必要があるが、手術不要。

入れ歯(義歯)

  • 取り外し可能で、インプラントが難しい場合の選択肢。
  • 近年は精度の高い入れ歯も多く、違和感が少ないものも。

どの治療を選択するかは、患者さんの口腔内の状態や希望に応じて決まります。歯科医としっかり相談しましょう。

インプラントがダメになった場合の再治療と代替治療法の比較表

インプラントがダメになった際には、再治療や代替治療など複数の選択肢があります。各治療は特徴や費用、治療期間が異なるため、ご自身の状況や希望に合わせて選ぶことが大切です。

治療法 特徴・内容 治療期間の目安 メリット デメリット
インプラント再治療 既存インプラント撤去+骨造成+再埋入 3〜6ヶ月程度 自然な噛み心地・見た目良好 治療期間が長い・身体的負担が大きい
ブリッジ 健康な隣接歯を削って橋渡しで補う 約2週間 治療期間が短い・見た目は比較的良好 隣の歯に負担・将来的なリスクあり
入れ歯(義理) 取り外し可能な部分入れ歯 約1〜2ヶ月 入れ歯の種類によっては治療開始が早い・保険適用可能な場合もある 違和感・手入れが必要・見た目が劣る場合あり

それぞれの治療法にはメリット・デメリットがあります。専門医とよく相談の上、長期的な口腔健康を維持できる最適な治療計画を立てましょう。

治療法選択の判断基準

インプラントがダメになった場合、どの治療法を選ぶかは複数の基準をもとに判断されます。主に以下のポイントが重要です。

インプラント周囲炎の進行度や骨の状態

骨吸収の程度や歯周組織の健康状態によっては、再インプラントが難しい場合があります。骨が十分でなければ、骨造成が必要になることもあります。

患者様の全身状態や年齢

糖尿病や喫煙習慣など全身疾患がある場合、再治療のリスクや成功率に影響します。高齢の場合は体力面も考慮されます。

患者様の希望や生活スタイル

再手術を好まない方や治療期間を短くしたい方は、入れ歯やブリッジを選択することもあります。費用や将来的なメンテナンスのしやすさも判断材料になります。

治療の安全性や費用、術後のメインテナンスの難易度

再インプラントは外科手術が伴うため、リスクや費用、患者さんがどの程度セルフケアを実行できるかなどを踏まえて選択されます。

これらを歯科医師と患者さんが十分に話し合い、最適な治療法を選ぶことが後悔のない治療につながります。※インプラントの再治療の場合は、歯科医院の保証制度によりどの程度カバーできるかを確認しましょう。

長持ちさせるための予防策

長持ちさせるために

長く使い続けるためには、日々のケアと定期的なチェックが欠かせません。

  1. 毎日の歯磨きの徹底 → インプラント周囲に歯垢が溜まるのを防ぐ。
  2. 定期的な健診を受ける → 3〜6ヶ月ごとにプロのクリーニングを受ける。
  3. 噛み合わせのチェック → 食いしばりや歯ぎしりがある場合は、ナイトガードの使用を検討。
  4. 生活習慣の改善 → 喫煙や過度な飲酒は、インプラントの寿命を縮める要因に。

このような対策をしっかり行うことで、トラブルを未然に防ぐことができます。

まとめ

インプラントがダメになった場合、原因を特定し、適切な対処を行うことが重要です。

主な原因 → インプラント周囲炎、骨との結合不良、過剰な力、破損、メンテナンス不足。
対処法 → 早めの受診、感染症の治療、再治療の検討、他の選択肢(ブリッジ・入れ歯)。
予防策 → 毎日の歯磨き、定期健診、噛み合わせの調整、生活習慣の改善。

「インプラントがダメになったらどうしよう…」と不安な患者さんも、まずは歯科医に相談してみてください。適切な対応を取ることで、再び快適な生活を取り戻すことができますよ!

この記事の監修者
医療法人真摯会 梅田クローバー歯科クリニック
院長 久野 喬

2014年 松本歯科大学卒業卒業。日本障害者歯科学会 認定医。ACLS講習終了。日本口腔インプラント学会。日本小児歯科学会。日本接触嚥下リハビリテーション学会。

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