矯正歯科

インビザラインで治療期間が長引く場合の原因とは?

インビザラインで治療期間が長引く場合の原因とは?

インビザラインは、透明なマウスピースを用いた矯正治療法です。従来の金属製ブラケットと違い、見た目にも自然で、取り外し可能なため、食事や歯磨きがしやすいというメリットがあります。しかし、この治療方法にも、計画通りに進まないことがあり、予定していた治療期間が延びてしまうケースも少なくありません。では、その原因とは何でしょうか?

インビザライン治療期間が延びる原因

インビザラインは、目立たない透明なマウスピースを使って歯を少しずつ動かし、理想的な歯並びに導いていく矯正治療法です。インビザラインは目立ちにくく、取り外しが可能で日常生活に大きな支障をきたさない反面、治療期間が予定よりも延びてしまうことがあります。その原因についてご説明します。

  1. 患者さんの自己管理不足
  2. 歯の移動が予想よりも遅い
  3. 不正確な治療計画
  4. 口腔内の変化
  5. アタッチメントの問題

1. 患者さんの自己管理不足

インビザラインでの矯正治療は患者さんの自己管理が必要で、患者さんの協力に大きく依存します。インビザラインは1日に20?22時間以上の装着が推奨されており、これを守らないと治療期間が予定よりも長くなってしまう場合があります。特に、日中の食事や間食が原因で装着時間が短くなりがちですが、夜間だけではなく日中もしっかりと装着することが重要です。

2. 歯の移動が予想より遅い

歯の移動速度は、個人差が大きく、子供は歯が動きやすく、大人になると動きにくくなります。一般的に年齢が高いほど、歯の移動速度は遅くなる傾向にあります。

また、歯の重なりが大きかったり、歯を移動させる距離が長い場合には、予想よりも時間がかかることがあります。

稀に動きにくい歯がある場合がありますが、これは治療前にはわからないことが多く、インビザライン以外の矯正装置でも起こり得ることです。必要に応じて治療計画を作り直すこともあり、新しいアライナーが到着するまでの待ち時間もかかるため、治療期間が大幅に延びてしまいます。

3. 治療計画に問題があった

インビザラインでは最初に治療計画通りにマウスピースを作製しますので、治療を始める前の診断と治療計画が大変重要です。初期の診断が不正確であったり、治療計画に問題があると、治療途中で計画を見直す必要が出てきます。マウスピースを作り直す場合は、治療期間が延びてしまいます。

4. 虫歯や歯周病になった

治療中に新たに虫歯が発生したり、歯肉病が進行したりすると、これらの問題を先に治療する必要があります。これにより、インビザラインの治療が中断され、結果として治療期間が延長します。

5. アタッチメントの問題

インビザライン治療では、歯にレジンの小さなアタッチメント(突起)を取り付けることがあります。これは、マウスピースが歯にしっかりフィットし歯を動きやすくするためです。

しかし、これらのアタッチメントが取れたり、正しく取り付けられていなかったりすると、マウスピースによって歯に力をかけて歯列を動かす効果が十分に発揮されないため、治療期間が延びてしまいます。

治療期間を延ばさないための対策

これらの問題を避け、治療期間を延ばさないためには、以下の点が重要です。

  1.  インビザラインの装着時間を守る・・指示された時間、マウスピースを装着すること。
  2. 定期的なチェック・・定期的に歯科医師の診察を受け、治療の進行具合を確認すること。
  3. 口腔衛生の維持・・虫歯や歯肉病を防ぐために、丁寧に歯磨きをしてお口の中を清潔に保つこと。
  4. アタッチメントの管理・・アタッチメントが取れたり、破損したりした場合は、すぐに歯科医師に連絡すること。

インビザラインの治療期間を長引かせることなく、治療を順調に進めていくためには、患者さん自身の積極的な協力が不可欠です。

インビザラインの治療期間を短縮するには

インビザラインの治療期間を短縮する方法はいくつかあります。これらの方法は、治療の効率を高め、理想的な歯並びをより早く実現することを目的としています。以下に、主な方法を詳しく説明します。

1. アライナーの装着時間を守る

アライナーの積極的な装着

インビザラインは1日に20?22時間以上の装着が推奨されています。この装着時間を正確に守ることで、治療期間が短縮できる可能性があります。食事や歯磨きの時間以外は、常に装着し続けることが重要です。

2. ゴムかけの時間を守る

ゴムの積極的な装着

治療計画のある段階で、歯科医師からインビザラインのアライナーを歯に装着すると共に、アライナーにゴムをかける指示を受けることがあります。

これは歯をより強く引っ張り、スムーズに歯を動かすための処置となります。ゴムは患者さん自身でかけていただき、食事や歯磨きの時には外します。

ゴムかけをサボると歯が計画通りに動きませんので、ゴムかけの時間もしっかりと守りましょう。

3. 定期的に診察を受ける

必ず定期的に診察を受ける

定期的に診療を受けることにより、治療の進行状況を確認し、必要に応じて計画を調整します。

このプロセスを通じて、治療の効率を最大化し、期間を短縮できます。

4. 口腔衛生の徹底

口腔衛生の管理

毎日のセルフケアを徹底して行いお口の中を清潔に保つことで、虫歯や歯肉病のリスクを減らし、治療の中断を避けることに繋がります。インビザラインを装着する前後には外出中であっても出来る限り歯磨きやフロスによるケアを行いましょう。

5. アタッチメントの適切な管理

アタッチメントのケア

アタッチメントがあることで、マウスピースが歯に適切にフィットし、歯がスムーズに動きます。アタッチメントが取れたり、損傷した場合は治療に影響がデル場合がありますので、直ぐに歯科医院に連絡しましょう。

6. 加速装置の利用

治療加速装置の使用

当院では矯正治療を当院で受けていただいている患者さん向けに、PBMヒーリングという名前の光加速装置を販売しています。装置を使用すると、歯に特定の光を当てることで歯が動きやすくなり、インビザラインの治療期間の短縮に繋がります。

7. 患者と歯科医師の密接なコミュニケーション

問題が起こった場合の早期報告

治療中に気づいた問題や不安に思うことがあれば、すぐに歯科医師に相談しましょう。早期に問題を解決することで、治療の遅れを防ぐことが出来ます。

インビザラインとは?

透明なマウスピースを使った矯正治療インビザラインに対する詳しい解説はこちらをご覧ください。

まとめ

インビザライン治療期間が延びる原因は様々ですが、患者さん自身の自己管理が一番大事なポイントとなります。治療期間を延ばさずに治療計画通りに治療を進めるためには、このコラムでご説明した内容に注意しましょう。

インビザラインで治療期間が長引く原因として、いくつかの要因が考えられます。

1. [Djeu et al., 2005]によれば、インビザラインは従来の矯正装置よりもマルチファセットの歯列矯正に対応するのが困難で、特に大きな前後方向のずれや咬合接触に関しては修正が難しく、治療期間が長引く可能性があります。

2. [Giancotti et al., 2006]は、インビザライン治療中に上部第一小臼歯の抜歯を行うケースでは、歯の位置や傾きの調整に時間がかかり、治療の完了にさらなる固定装置の段階が必要となることを示しています。

結論として、インビザラインでの治療期間が長引く原因は、治療の難易度や複雑さ、また特定の矯正技術の限界などによるものです。

この記事の監修者
医療法人真摯会 梅田クローバー歯科クリニック
院長 久野 喬

2014年 松本歯科大学卒業卒業。日本障害者歯科学会 認定医。ACLS講習終了。日本口腔インプラント学会。日本小児歯科学会。日本接触嚥下リハビリテーション学会。

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梅田クローバー歯科クリニック

大阪矯正歯科グループ大阪インプラント総合クリニック