「子どもの矯正治療は何才頃になったら始められますか?」といったご質問を受けることがあります。
親御さんの中には、乳歯はどうせ抜けて生え変わるので、矯正治療は永久歯が生え揃ってからで良いとお考えの方もおられます。子どもの矯正はどのタイミングで始めるのが良いのか、ご説明します。
子どもの矯正は何才からがいいのか?
子どもの成長は一人ひとり違いますので、一概に何才から始めるのが正解とは言えません。しかし顎が小さくて乳歯の歯並びが悪い場合は、顎の発達が充分でない為に、永久歯の歯並びも悪くなることが予想できます。永久歯に生え変わってからの矯正では、治療に時間がかかってしまう場合がありますので、5才頃になったら一度矯正歯科に相談してみてはいかがでしょう。
5歳という年齢には理由があります。子どもの上顎が一番成長するのが5才~10才の間だからです。この5才~10才の期間の事を、歯科矯正のゴールデンエイジと呼んでおられる先生もおられます。子どもの脳の発達と共に上顎が成長するのが10才頃までといわれています。その後、身体が成長するにつれて下顎も成長していきます。
下顎の骨の大きさは上顎の骨の大きさに合わせて大きくなっていきます。逆に言えば、上顎が大きくならないと下顎も大きくなりません。健康な身体であれば、成長期には骨が大きく太く育っていき、9才頃までに自然に発達していきます。
子どもの矯正の特徴
子どもの矯正の特徴は、一期治療と二期治療に分かれていることです。一期治療では主に永久歯が生えそろうための顎骨の成長を促す矯正を行い、二期治療では歯並びを整えるための矯正を行います。
一期治療(5~12才くらい)
一期治療は混合歯列器(乳歯が永久歯に生え変わる途中)に行います。子どもの成長は個人差が大きく、歯の生え変わり時期も実際のところ一概に何才と言えません。乳歯から永久歯へ生え変わると同時に、顎の骨が大きく成長する時期を対象としており、永久歯がきれいに並びきるだけのスペースを確保できるだけの大きさに顎の骨格を整えていくことを目的としています。
幼少期の指しゃぶりや舌で歯の裏側を押す癖などがあると、歯並びに悪い影響を与えますので、それらの癖や習慣も正しくしていきます。
二期治療(12歳~成人)
二期治療は永久歯が生え揃ってから歯並びを整えていきます。そのため12才頃からの子どもを対象としており、歯列の美しさと咬み合わせの両方を整えていきます。矯正治療の方法は、ほとんど成人矯正と同様になります。
二期治療を始める時点で歯が重なったりガタガタになっている場合は、抜歯をしてスペースを作るケースもあります。
小児矯正のメリット
顎を拡大しやすい
小さいお子さんは成長期にあるので顎が発達する時期にあたります。そのため5~10才位の間に一期治療を始めて頂くと、永久歯がきれいに並ぶだけのスペースを作ることが出来ます。10才前後からは顎の成長が緩やかになっていくので顎の拡大が難しくなってきます。
歯が動きやすい
子どもの歯周組織は柔らかいので歯が動かしやすいという特徴があります。そのため大人の矯正と比べると僅かな力で歯を動かすことが出来、痛みも少ないです。
抜歯するリスクが低い
一期治療で顎の拡大が出来ていると、抜歯せずに永久歯を全てきれいに並べることが出来ます。
適応能力が高い
大人と比べると子どもは矯正装置に慣れるのが早く、違和感を感じにくいためスムーズに矯正治療が進みます。
治療費が抑えられる
大人と比べると子どもの歯はスムーズに移動しますので、治療期間が短く、治療費を抑えられる傾向があります。
子どもの矯正は保険がきく?きかない?
子どもの咬み合わせを良くするための歯科矯正は、原則として保険適用外です。
保険診療の対象になるのは、「顎の外科手術が必要な顎変形症の手術前後の矯正治療」や「前歯の永久歯が3本以上、正常に生えてこないことに起因する、咬み合わせ異常」「厚生労働省が定めた疾患に起因する、咬み合わせ異常」等の特別な場合となります。
保険適用の場合は厚生労働大臣が定めた施設基準を満たしている医療機関での診療のみとなります。
子どもの矯正治療は何歳から始めるに関するQ&A
矯正治療の始まりは一概に決められませんが、歯並びや顎の成長状態に応じて、5歳頃から始めることを一度検討することが推奨されています。
子供の矯正の一期治療は顎骨の成長を促し、永久歯が生えそろうための矯正を行い、二期治療は歯並びを整えるための矯正を行います。
子供は顎が拡大しやすく、歯が動きやすい、抜歯のリスクが低い、矯正装置に適応しやすく、治療費が抑えられる等が挙げられます。
まとめ
小児矯正は装置の種類が多数あり、矯正担当医がお子さんに最適なものを選びます。お子さんの成長や歯の生え変わり具合によって矯正治療を始める時期は異なりますので、まず無料の矯正相談に行かれることをおすすめします。