
「保険の入れ歯で十分なの?」「やっぱり自費の方が快適?」
入れ歯を検討している多くの患者さんが、最初にぶつかるのがこの疑問です。
実はこの迷いは、とても自然なことです。価格や機能、見た目など、比べるポイントが多いため、一人で決めるのは難しく感じてしまうものです。
入れ歯には保険適用のものと自費診療のものがあり、入れ歯を検討される場合には、保険の入れ歯にするのか、それとも自費の入れ歯にするのかで、つけ心地や噛み心地が違ってきます。保険と自費の入れ歯についてのメリット・デメリットについてご説明します。
お金のこと、見た目のこと、心配は尽きませんよね
年齢を重ねるにつれて、歯の健康への不安は増えていきますよね。
「毎日の食事が楽しめるようにしたい」「人前で笑えるようにしたい」そんなお気持ち、とてもよくわかります。
そして現実問題として「費用」も大きなテーマです。
特に中高年世代になると、こんな悩みをよく伺います。
見た目が不自然な入れ歯は使いたくない
食べづらい入れ歯はストレスが溜まる
保険診療と自費診療、費用に見合った価値があるか分からない
どれも、心から共感できるお悩みばかりです。
まずは、保険適用の入れ歯と自費診療の入れ歯がどう違うのかを知っておくことが大切です。それぞれにメリット・デメリットがあり、どちらが優れているというものではありません。
患者さんの希望や生活スタイル、噛み合わせの状態によってベストな選択は変わってきます。
保険適用の部分入れ歯

金属製のバネ(クラスプ)を歯に引っ掛けて固定するのが特徴です。
メリット:リーズナブルで安心感もある選択肢
→ 保険診療では、国が費用の大部分を負担してくれるため、自己負担は3割(※年齢や所得によって異なる場合あり)で済みます。
→ たとえば、総入れ歯でも数千円〜1万円台程度で作ることが可能です。これなら、年金生活の方や急な治療が必要な方でも対応しやすいですね。
→ 保険の入れ歯は、設計や素材がある程度決まっているため、型取りから完成までがスムーズ。
→ 特に「早く咬めるようになりたい」という方には心強い選択肢です。
→ どの歯科医院でも同じルールに基づいて作られるため、万が一の引っ越しや転院時にも、対応してもらいやすいというメリットがあります。
保険の入れ歯は「経済性」「スピード」「安心感」がポイント。特に「費用をなるべく抑えたい」「まずは基本的な機能を確保したい」という方には非常に向いています。
デメリット:見た目・快適性にはやや妥協が必要
→ 保険診療では素材の自由度がなく、主にレジンという硬めのプラスチックを使用します。
→ この素材は厚みが必要になるため、どうしても「口の中がモコモコする」「違和感がある」と感じる方が多くなります。
→ 部分入れ歯の場合、残っている歯に金属のバネを引っかけて固定するため、笑ったときや会話中にバネがチラリと見えてしまうことも。
→ 特に前歯にバネがかかるタイプだと、見た目を気にされる方にとってはストレスになりがちです。
→ レジン素材は強い力が加わると、割れたり欠けたりすることがあります。また、毎日の使用で少しずつ変形することもあり、定期的な調整が必要です。
保険の入れ歯は、コスト面では非常に優秀ですが、「見た目」や「快適さ」「耐久性」ではどうしても限界があります。長期間の使用を考えると、将来的な作り直しや調整が必要になる可能性も視野に入れておきたいところです。
自由診療の入れ歯は保険適用の入れ歯と何がちがうの?
自由診療の入れ歯では、保険適用では使用できない材料であるゴールドやコバルトクロムが使えるため、失った歯の本数や部位や周囲の歯の状況に適した入れ歯を作ることが出来ます。
また、総入れ歯の形状も、保険診療では上顎の床がプラスチック製で分厚く、口蓋を大きく覆ってしまうのに対して、自由診療の総入れ歯は金属が使えたり、マグネットデンチャーにしたりと、保険診療の総入れ歯と比べて快適な使い心地になります。
自由診療の部分入れ歯

バネを金属ではなく樹脂で作製することが出来ます。
メリット:見た目も快適性も“自分仕様”にできる
→ 金属バネのない「ノンクラスプデンチャー」や、歯ぐきの色をリアルに再現する素材を使用できるため、人前でも自信を持って笑えるようになります。
→ 見た目にこだわる方や、お仕事で人と接する機会が多い方には大きなメリットです。
→ 自費診療では金属床(チタンやコバルトクロムなど)を使えるため、薄くて軽い仕上がりになります。
→ その結果、「つけている感覚がない」「しゃべりやすい」「食べ物の温度が伝わる」といった自然な装着感が得られます。
→ 保険では難しい複雑な設計も可能なので、「咬みにくい」「残っている歯が弱い」といった個別の事情に合わせた作りができます。
→ まさに「自分だけの入れ歯」と言える仕上がりになるのが魅力です。
→ 高品質な素材を使うことで、破損や変形のリスクが減り、長く使い続けることができます。メンテナンスをしながら、10年以上使っている患者さんもいます。
自費の入れ歯は、見た目・装着感・耐久性、すべてにおいてハイクオリティ。「どうせ作るなら、満足度の高いものを」という方には、最適な選択肢と言えるでしょう。
デメリット:費用面と納期は覚悟が必要かも?
→ 使う素材や技工内容によって価格は変わりますが、部分入れ歯でも10万円〜30万円、総入れ歯なら50万円以上になることも珍しくありません。
→ 定期的な健診や調整も自費になるケースが多いため、維持費も含めて考えておく必要があります。
→ 精密な型取りや噛み合わせの調整など、ステップが多いため、保険の入れ歯よりも完成までに2〜3倍の期間がかかることもあります。
→ 特に「仮の入れ歯」で一時的に過ごす期間が必要になることもあるので、時間的な余裕も見ておくと安心です。
→ 特殊な設計や素材を使っている場合、修理に時間がかかることもあります。また、対応できる歯科医院が限られている場合もあるため、作成した医院でのメンテナンスが基本となります。
自費診療の入れ歯は、その分満足度が高いですが、「費用」と「完成までの時間」にしっかり向き合う必要があります。「高いから良い」というわけではなく、ご自身のニーズと予算のバランスを考えて選びましょう。
これらの違いを踏まえると
「見た目」や「快適性」を重視する方は自費診療の入れ歯、
「費用」や「短期間での対応」を優先したい方は保険適用の入れ歯が向いているといえます。
もちろん、医師と相談しながらじっくり検討することが重要です。
納得して選ぶために、まずは相談から始めましょう
ネットやチラシだけではわからないことも多く、実際にお口の中の状態を確認しなければ判断できない場合もあります。まずは信頼できる歯科医院で、しっかりとカウンセリングを受けましょう。
そして、以下のポイントを遠慮なく相談してみてください。
- ご予算の上限
- 見た目のこだわり
- 食事中の快適性
- 入れ歯を使う頻度や生活スタイル
患者さん一人ひとりの背景やニーズに寄り添って、最適な選択肢をご提案するのが、歯科医院の大切な役目です。
まとめ

入れ歯を快適に使うことはもちろん大切ですが、部分入れ歯の方は残っている歯を長持ちさせることも考えなければなりません。入れ歯がどうしても合わない方は、入れ歯以外の治療としてブリッジ、インプラントも考慮しなければなりません。歯のお悩みがありましたら、相談ダイヤルまでお気軽にご相談くださいね。