
歯並びの悪さと睡眠の質が関係しているって本当?
「眠りが浅い」「朝起きても疲れが取れていない」——こんな悩みを抱えている患者さんが、実は歯並びに問題があるケース、意外と多いんです。
不正咬合があると、舌の位置や呼吸の通り道(気道)に影響が出やすくなります。これは睡眠時無呼吸症候群やいびきの原因にもなり、深い眠り(ノンレム睡眠)が得にくくなることも。
目次
歯並びの悪さがなぜ睡眠の質に関係するのか?

歯並びの乱れ(不正咬合)は、見た目の問題だけではなく、口の中や顎の機能、さらには呼吸の質にも深く関係しています。では具体的に、なぜ「歯並びの悪さ」が「睡眠の質の低下」につながるのでしょうか?
歯並びが悪いと起こりやすい体の変化
歯並びが乱れていると、舌が正しい位置(上あごの前歯の裏側付近)に収まらず、気道を狭めてしまうことがあります。
不正咬合によって口が自然と開いたままになり、鼻呼吸がしにくくなって口呼吸が習慣化することがあります。口呼吸はいびきや無呼吸の原因になります。
出っ歯(上顎前突)や受け口(下顎前突)のような不正咬合では、下顎の位置が不安定になり、気道が狭くなって睡眠中の呼吸に支障をきたすことがあります。
噛み合わせが不安定な状態では、**睡眠中に無意識の筋緊張(歯ぎしり・食いしばり)**が起こりやすくなります。これが睡眠の質を下げる要因の一つになります。
歯並びと「呼吸・顎の緊張・睡眠の深さ」がリンクしている
歯並びの悪さは、単に歯の問題ではなく、呼吸経路・舌の位置・顎の動き・筋肉の緊張など、睡眠を支える多くの要素に影響を及ぼすんです。
その結果、
- いびきや無呼吸が起きやすい
- 深い眠りが得られず、疲れが取れにくい
- 就寝中のストレスが増し、朝のだるさに繋がる
といった症状が現れる可能性があります。
「睡眠の質がなんとなく悪い」と感じる方は、歯並びを見直すことが根本的な解決の一歩になるかもしれません。
放置するとどうなる?不正咬合による睡眠への影響

歯並びの乱れを放置すると、以下のようなリスクが出てきます。
気道が狭くなり、空気の通りが悪くなることでいびきが出やすくなります。
睡眠中に呼吸が止まる「睡眠時無呼吸症候群」の一因になる可能性があります。
眠りが浅くなることで、日中の生活の質にも影響します。
就寝中の歯ぎしりや食いしばりも、不正咬合があると起こりやすくなります。
これらの症状は慢性的な疲労やストレスの原因にもなり、生活の質(QOL)を下げる要因となります。
「よく眠れない…」実は歯並びが原因だった患者さんのケース
ある40代の患者さんは、「眠っても疲れが取れない」「肩こりがひどい」と訴えて来院されました。精査したところ、奥歯のかみ合わせにズレがあり、上下の歯がしっかり噛み合っていない状態でした。
マウスピース(スリープスプリント)で噛み合わせを一時的に調整したところ…
- いびきが減った
- 朝スッキリ起きられるようになった
- 肩こりや顎のだるさも軽減
という変化が見られました。
このように、歯科的なアプローチが睡眠の質改善に繋がるケースは多くあります。
歯科的アプローチで眠りの質が変わる理由
睡眠の質は「呼吸の質」によって大きく左右されます。歯並びを整えることが、気道の確保や顎のバランス改善につながり、次のようなメリットがあります。
舌の落ち込み防止 → 歯並びが整うことで舌が安定した位置に保たれ、気道をふさぎにくくなります。
鼻呼吸がしやすくなる → 不正咬合によって口呼吸になりがちだった人も、鼻呼吸がしやすくなります。
噛み合わせの安定 → 顎の筋肉がリラックスしやすくなり、無意識の歯ぎしり・食いしばりが減少します。
これらが総合的に「ぐっすり眠れる」体を作る土台になります。
快眠のためにできること:歯科からのサポート
歯並びと睡眠の関係を踏まえて、歯科では以下のようなサポートが可能です。
睡眠時の噛みしめ・歯ぎしりを軽減し、顎や歯の負担を減らします。
歯並びを整えることで、気道の確保や噛み合わせの安定が期待できます。
微妙な噛み合わせのズレを調整し、筋肉の過緊張を緩和します。
症状に応じて、連携している医科への紹介も行います。
どの対応も、眠りの質を上げることに直結していきます。
まとめ
気になる症状があれば、まずは相談を!
「ただの疲れかな」と見過ごされがちな睡眠の質の低下。でも、もしそれが歯並びの問題と関係しているなら、改善の道は歯科にあるかもしれません。
特に以下のような症状がある方は、一度歯科医師に相談してみてください。
- 起きたときに顎が疲れている
- 朝起きてもスッキリしない
- 寝ているときのいびきが気になる
- 日中、強い眠気や頭痛を感じる
睡眠時間は「人生の3分の1」にも及びます。だからこそ、快眠のための第一歩を歯並びから見直してみませんか?