
保険診療と保険外診療の違いとは?
歯科治療を受ける際、「これは保険診療でできます」「こちらは保険外診療です」と説明を受けることがあります。では、両者は何が違うのでしょうか?
保険診療は「最低限の機能回復を目的とした治療」であり、国が定めた基準に従い費用が一部だけ自己負担となります。一方、保険外診療は「見た目や機能性、快適性をより高めるための治療」であり、費用は全額自己負担となるものの、選択肢や質が大きく広がります。
この記事はこんな方に向いています
- 歯科医院で「保険と自費の違い」を説明されて戸惑った方
- 費用だけでなく治療の質や選択肢の違いを知りたい方
- 自分に合った治療を選びたいと考えている方
この記事を読むとわかること
- 保険診療と保険外診療の基本的な違い
- それぞれのメリット・デメリット
- よくある治療例と費用の違い
- どんな場合に保険診療、どんな場合に保険外診療が向いているのか
目次
なぜ歯科治療には「保険診療」と「保険外診療」があるの?
日本の歯科医療制度は、すべての患者さんが最低限の機能を回復できるように保険診療を設けています。しかし、美しさや快適さ、最新の技術を希望する場合は、保険外診療が必要となります。これは、国が「公平に誰もが受けられる治療」と「個々の希望に合わせた治療」を区別しているためです。
保険診療は最低限の治療を公平に提供する仕組みで、保険外診療は希望に応じた質の高い治療です。
保険診療と保険外診療の大きな違いは何?
保険診療と保険外診療の最大の違いは「費用負担の仕組み」と「治療の自由度」にあります。
保険診療は国が治療の内容・材料・方法・費用を定めており、患者さんはそのうちの一部(1〜3割)だけを自己負担します。そのため費用が抑えられる一方で、材料や治療方法には制限があります。
一方、保険外診療(自由診療)は制約がなく、患者さんの希望に合わせて最新の治療法や高品質な材料を選ぶことができます。その分、費用は全額自己負担になりますが、見た目の自然さや快適さ、耐久性などの点で優れた結果を得られる可能性が高いです。
違いは「費用」と「選べる治療の自由度」です。
1. 費用の違い
保険診療
- 国が治療ごとの点数(診療報酬)を決めており、全国一律の価格です。
- 患者さんの自己負担は年齢や所得に応じて1〜3割。残りは健康保険から支払われます。
例:虫歯の銀歯 → 数千円程度
保険外診療
- 費用は全額自己負担。
- 歯科医院ごとに自由に価格を設定できるため、治療費は医院によって差があります。
例:セラミックの被せ物 → 8〜12万円程度
費用を抑えられるのは保険診療ですが、長期的に考えると保険外診療の方が結果的に経済的な場合もあります。
2. 治療の自由度の違い
保険診療
- 使用できる材料や方法は「機能回復」に必要な最低限に限られます。
例:奥歯の被せ物は金属(銀歯)が基本。前歯のみ白い樹脂が使える。
保険外診療
- 制限がないため、見た目や機能性を重視した治療が可能。
例:セラミックの被せ物で自然な色合いを再現、インプラントで自分の歯に近い感覚で噛める。
保険診療は「誰でも受けられる最低限の治療」、保険外診療は「患者さんの希望に応じた最良の治療」という位置づけです。
3. 耐久性・仕上がりの違い
保険診療
- 材料が安価なため、摩耗や劣化が比較的早いことがあります。
- 銀歯は数年で再治療になることも。
保険外診療
- セラミックやジルコニアなど強度と審美性に優れた材料を使用。
- 長期間安定した使用が期待でき、虫歯の再発リスクも低い傾向があります。
長持ちしやすい点では保険外診療に軍配が上がります。
4. 受けられる範囲の違い
保険診療で受けられるもの
- 虫歯・歯周病治療
- 入れ歯
- 歯の神経治療(根管治療)
保険外診療でしか受けられないもの
- インプラント
- ホワイトニング
- マウスピース矯正
- セラミックやジルコニアの被せ物・詰め物
特に「見た目」や「噛みやすさ」を求める治療は保険外診療に多く含まれます。
保険診療と保険外診療の大きな違いは、「費用を抑えて最低限の機能を回復するか」「費用はかかっても見た目や快適さを重視するか」という考え方にあります。
つまり、前者は国が定めた標準的な治療、後者は患者さんの希望に合わせた選択肢の広い治療です。
どちらが良い・悪いというものではなく、患者さん自身が何を優先するかで選ぶことが大切です。
保険診療ではどんな治療ができるの?
保険診療では、虫歯治療や歯周病治療、被せ物・詰め物、入れ歯などが対象となります。ただし、使用できる材料や方法は限定されます。たとえば前歯は白い樹脂が使えますが、奥歯は銀歯が基本です。
保険診療でできる治療例
- 虫歯の治療(コンポジットレジン、銀歯)
- 根管治療(神経を取る治療)
- 部分入れ歯・総入れ歯
- 歯周病治療(歯垢や歯石の除去)
こうした治療は費用が抑えられる一方で、見た目や快適性に制限があります。
保険診療は基本的な虫歯・歯周病治療や入れ歯などが対象です。
保険外診療にはどんな選択肢があるの?
保険外診療は、審美性や快適性を重視する治療が中心です。セラミックの被せ物やインプラント、マウスピース矯正などが代表例です。
保険外診療の例
- セラミックの被せ物や詰め物(自然な見た目)
- インプラント(自分の歯のように噛める人工歯根)
- マウスピース矯正(透明で目立たない矯正治療)
- ホワイトニング(歯を白くする治療)
これらは見た目や機能性の改善に優れており、生活の質を大きく向上させます。
保険外診療は、セラミック、インプラント、矯正など見た目や機能を重視した治療です。
費用はどのくらい違うの?
費用の差は非常に大きいです。保険診療は一部負担(1〜3割)で済みますが、保険外診療は全額自己負担です。例えば、銀歯は数千円ですが、セラミックの被せ物は10万円前後かかることもあります。
治療内容 | 保険診療の費用目安 | 保険外診療の費用目安 |
---|---|---|
奥歯の被せ物 | 3,000〜5,000円 | 80,000〜120,000円 |
部分入れ歯 | 5,000〜15,000円 | 100,000円以上 |
インプラント | ×(対象外) | 300,000〜500,000円 |
保険診療は数千円、保険外診療は数万円〜数十万円かかります。
それぞれのメリット・デメリットは?
保険診療のメリットは「費用が安い」「誰でも同じ基準で受けられる」ことです。デメリットは「見た目や耐久性に制限がある」点です。
保険外診療のメリットは「見た目が自然」「快適で長持ちしやすい」こと。デメリットは「費用が高額」「医療機関によって差がある」点です。
保険診療のメリット・デメリット
- メリット → 費用が安い、安心感がある
- デメリット → 材料や方法に制限、見た目が劣ることも
保険外診療のメリット・デメリット
- メリット → 自然で美しい見た目、耐久性や快適性が高い
- デメリット → 費用が高額、医院によって技術差がある
保険診療は安いが制限あり、保険外診療は高いが質が高い。
どんな人が保険診療を選ぶべき?どんな人が保険外診療を選ぶべき?
保険診療は「費用を抑えたい人」「最低限の治療で十分な人」に適しています。保険外診療は「見た目にこだわる人」「長持ちする治療を希望する人」「最新の治療を受けたい人」におすすめです。
保険診療が向いている人
- とにかく費用を抑えたい
- 機能が回復すれば十分
保険外診療が向いている人
- 自然な見た目を重視したい
- 長期的に快適さを求めたい
- インプラントや矯正などを希望する
費用を抑えたいなら保険診療、見た目や快適性を求めるなら保険外診療。
まとめ
自分に合った治療法を選ぶために大切なこと
保険診療と保険外診療には、それぞれの役割と特徴があります。大切なのは「自分が何を重視するか」です。費用を優先するのか、見た目や快適性を優先するのかを考え、歯科医師と相談しながら選択することが、後悔しない治療につながります。
自分の希望や優先順位に合わせて選ぶことが大切です。