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歯の治療を放置してしまう人が4割?そのリスクと将来の影響とは

歯の治療を放置してしまう人が4割?

なぜ、歯の治療を後回しにしてしまうのか?

「歯がちょっとしみるけど、まあ我慢できるし…」
「忙しいから、今度時間ができたときに行こう」
こうした理由で、歯の治療を先延ばしにしてしまう患者さんは少なくありません。

実際に、ある調査では約4割の方が、歯の不調を感じながらも歯科受診をしていないという結果が出ています。
日常生活にある調査では約4割の方が、歯の不調を感じながらも歯科受診をしていないという結果が出ています。追われていたり、「怖い・痛そう」といったイメージがあることで、受診のハードルが上がってしまうんですよね。

さらに、「お金がかかりそう」「歯医者が苦手」「前に行ったとき嫌な思いをした」といった心理的要因も、治療を遠ざける原因になっています。

でも、ちょっと待ってください。
歯のトラブルは、放っておいても自然には治りません。むしろ、静かに、でも確実に悪化していくのが口の中の病気の怖いところなんです。

放置が引き起こす深刻なリスクとは?

放置が引き起こすリスク

歯の治療を放置することで起きるリスクは、想像以上に多岐にわたります。
以下に代表的なリスクを詳しくご紹介します。

進行性の虫歯が手遅れになるリスク

初期の虫歯(C1・C2)であれば、小さな詰め物で治療可能

でも放置すると神経まで進行(C3)し、根の治療(根管治療)+被せ物が必要に

さらに悪化すれば抜歯になることも(C4)

初期なら1回の通院で済んだはずが、数回~十数回の通院+高額な費用が発生するケースもあります。

歯周病が進行し、歯を失うリスク

歯垢や歯石が蓄積して歯ぐきに炎症が起こる

歯周ポケットが深くなり、歯を支える骨が少しずつ溶けていく

最終的には歯がグラつき、抜けてしまうことも

しかも、歯周病は痛みが少なく進行するため、気づいたときには重症になっていることが珍しくありません。

噛み合わせの乱れ(不正咬合)

1本でも歯が抜けると、その隣や上下の歯が倒れたり伸びたりしてしまいます。
その結果、以下のようなトラブルが起こります。

食べ物がしっかり噛めなくなる

顎関節に負担がかかる

見た目のバランスが悪くなる(顔がゆがむことも)

被せ物や詰め物の劣化・脱落

被せ物や詰め物が合わなくなったり、欠けてしまうことで、再治療の範囲が拡大することもあります。しかも、再治療のたびに歯の寿命が少しずつ縮んでしまうのです。

全身への悪影響

近年では、歯周病と全身疾患との関係も明らかになってきています。

糖尿病の悪化

心筋梗塞・脳梗塞などのリスク上昇

妊婦さんの早産リスク

つまり、口の中だけの問題にとどまらず、全身の健康にも影響を及ぼす可能性があるということですね。

こうしたリスクは、放置期間が長ければ長いほど深刻化していきます。
「もっと早く治療しておけばよかった…」という後悔は、実は多くの患者さんが経験しています。

放置が習慣化すると…

「もう少し様子見でいいか」
この“少しの先延ばし”が、知らないうちに「放置グセ」になってしまうことがあります。

最初は小さな違和感だったものが、
気づけば1年、2年…と、何年も歯科医院に行っていないという方も実は少なくありません。

こんなサイクルに陥っていませんか?

  1. 忙しい・面倒 → 治療を後回し
  2. 痛みが引いたからそのままに
  3. 行かなきゃと思いつつ、日々の優先順位から外れる
  4. 久しぶりに行くのが「気まずい」
  5. 結果的にさらに放置…

このように、「後回し」が「放置」に変わり、それが“習慣”として定着してしまうと、健康に大きな影響が出る可能性があります。

“歯の不調に慣れてしまう”怖さ

虫歯や歯周病は、進行しても急に強い痛みが出るとは限りません。
少しずつ悪くなっていく変化に、人間の身体は“慣れ”てしまうんです。

「昔よりちょっと噛みにくいけど、こんなもんかな」
「なんか変な味がするけど、気のせいかも」

そうやって異変を放置してしまうと、気づいたときには取り返しのつかない状態になっていることも。

治療の先延ばしは「自分への負担を積み立てている」ようなもの

先送りにすることで、

  • 治療の範囲が広がる
  • 回数が増える
  • 費用も高くなる

という「三重苦」がのしかかってきます。

歯の治療は、時間が経つほど“損をする”仕組みなのです。

今からでも遅くありません!

「これまで何年も行ってないし…」という方も大丈夫。
歯科医院では、長いブランクがあっても丁寧に対応してくれます。

「どうしてもっと早く来なかったの!」と、歯医者で怒られたら…、と怖くなってしまう方もおられるかもしれません。でも、そうやって叱るのは、歯科医師の親心。決して本心から腹を立てているわけでも、あなたを責めているわけでもありません。

むしろ、勇気を出して一歩踏み出したのは、すごいこと!
今このタイミングで、自分の歯のことを「ちゃんと考えてみよう」と思ったあなたなら、もう習慣は変えられます。

早期治療で得られる、こんなに大きなメリット

早期治療のメリット

歯の不調に気づいたとき、すぐに対応することで得られるメリットは数多くあります。

身体的・精神的な負担が軽い

  • 痛みが少ない段階で処置できる
  • 治療時間が短くて済む
  • 「治療への恐怖心」が少なくて済む

治療回数・費用が抑えられる

  • 初期の虫歯なら1~2回で完了
  • 根管治療やインプラントと比べて費用も数分の一

歯の寿命を延ばせる

歯を削る量が少なくて済む

  • 神経を残すことができる
  • 自分の歯で食べる力が維持できる

口臭や見た目の改善

  • 歯垢や歯石を取り除くことで口臭対策に
  • 歯の変色や形の変化も抑えられる

こうしたメリットを知っていただくことで、「歯医者は怖い場所」から「未来の安心を守る場所」へ意識が変わると嬉しいです。

まずは気軽な健診からスタートしよう

「でも、いきなり治療は不安…」という方も多いはず。
そんな方には、まず健診だけでも受けてみることをおすすめします。

健診の目的は、「すぐに治療を始めること」ではなく、
まずは口の中の現状を知ることです。

痛みの原因は何か

どのくらい進行しているのか

治療の必要性があるかどうか

将来的に問題になりそうな点があるか

こうした情報を知っておくだけでも、心の準備ができますし、トラブルの早期発見にもつながります。

歯科医師との信頼関係も、こうした健診の場から築いていけるので、相談しやすくなるというメリットもありますよ◎

あなたの大切な歯を守るために、今できること

歯の治療を放置してしまうことは、「いつか」の自分への負担を増やす選択になってしまうかもしれません。

「今は大丈夫」「まだ痛くないから」と思っていても、知らず知らずのうちに進行しているケースが本当に多いのです。

今できるアクションチェックリスト

□ 最後に歯医者に行ったのは1年以上前

□ 気になる違和感があるけど、放置している

□ 被せ物・詰め物が外れたままになっている

□ 歯ぐきが腫れている or 出血がある

□ 「ちょっと怖くて行けない」と感じている

ひとつでも当てはまった方は、ぜひ「健診の予約」を入れてみてください。
たった1本の歯を守ることが、健康的な未来への第一歩になります。

まとめ

歯の治療を放置すると、

  • 痛み
  • 治療の負担
  • 費用
  • 生活の質

あらゆる面での「損失」につながる可能性があります。

でも逆にいえば、「今」動き出すことで、

  • 健康な口腔環境
  • お金も時間も無駄にしない治療
  • 毎日の食事や会話の楽しみ

が守られるということでもあります。

歯医者を怖がらなくても大丈夫。
あなたのお口の健康のために、私たち歯科のプロが全力でサポートします。

この記事の監修者
医療法人真摯会 梅田クローバー歯科クリニック
院長 久野 喬

2014年 松本歯科大学卒業卒業。日本障害者歯科学会 認定医。ACLS講習終了。日本口腔インプラント学会。日本小児歯科学会。日本接触嚥下リハビリテーション学会。

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梅田クローバー歯科クリニック

大阪矯正歯科グループ大阪インプラント総合クリニック